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【Shooto2020#07】清水清隆に快勝、平良達郎─01─「現時点で、僕と扇久保さんには差があります」

【写真】初回は僅差で清水につけたジャッジが2人いたが、15分の勝負としてラウンドマストでしっかりと勝ち切った (C)KEISUKE TAKAZAWA

23日に東京都文京区の後楽園ホールで開催されたShooto2020#07で、平良達郎が清水清隆から判定勝ちを収めた。

キャリア7戦目の20歳が、パンクラス&修斗でフライ級のトップで戦い続けてきた清水をほぼ危なげなく倒すというサプライズ。沖縄に戻った平良に清水戦、そして──これからを尋ねた。


──平良選手、申し訳ありませんでした!!

「えっ、何がですか?」

──試合前のインタビューの際、あれだけ自信たっぷりに話してくれていて、その言葉を掲載させてもらったのですが、本心では『そうは言っても、右を当てられて、テイクダウンもできず負けちゃうんだろうなぁ』と思っていました。

「えぇ!! 本当ですか……そうなんですか?」

──いやぁ、昨年の11月、そして今年の1月と比較しても、別人のように成長していたと思います。

「ありがとうございます!!」

──というか、私の目が節穴で1月の試合でもここまで戦えるようになる可能性を見いだせていなかったです。

「周囲の人もそうだったと思います。試合が終わってからの反応で、それは感じました。自分としては判定勝ちだったので、見ている人の記憶に残らない試合になってしまったと思っていたのですが、意外とSNSで反響があって。判定勝ちでもこんなに評価してもらえるんだ……って。つまり、皆は清水選手が勝つって予想していたんだと分かりました(笑)」

──フィニッシュあるいは、接戦になって傷つきながら勝利した方が会場も盛り上がるかもしれないです。ただこの試合では2R以降は清水選手のパンチが何かの拍子で当たらないと、平良だと感じることができる試合になりました。結果、これからへの期待値がグンと増したんだと思います。

「ありがとうございます!! 総合的に……全て通用しました。もうちょっと、頑張ることになる試合も覚悟していたのですが、意外と思った通りに戦えました」

──どのように攻略しようと考えていたのでしょうか。

「作戦っていうのは、それほど立てていなくて……打撃をやっているときはKOを狙う。寝技だと一本を狙う。それを繰り返していたら、フィニッシュできると思って戦っていました」

──清水選手の右を警戒する。それが貰わないだけでなく、カウンターを合わせることまで含まれているとは思っていなかったです。

「当てることができたのは、最後ですよね。3Rは長南さんの『行け、行け』っていう声が聞こえてきて、清水選手も焦っているように感じたので、自分は余裕が持てるようになったんです。

飛び込んでくるのに合わせる練習はしていました。それが3Rに出た感じです。最初は警戒していましたが、2Rがほとんどグラウンドで──そうですね、飛び込みのスピードは凄く速いと思いましたが、3Rに入ると右への怖さはなくなっていました」

──もう1つ、警戒すべき点として挙げていたローキックですが、逆に平良選手の方が右ローを入れていました。

「ローはもっと蹴るべきでした。貰ったのは一発ぐらいでしたね」

──圧力、距離、どちらで自分の試合ができたと思いますか。

「距離ッスね。距離を取りながら入ってきたところで下がるか、合わせるのか。そうやって対処できたので」

──試合前のインタビューをアップしてすぐに、砂辺選手が連絡をくれました。「キュキュッとやられているので、達郎には勝ってもらわないと立場がなくなる」と。と同時に平良選手があれだけ真面目に練習するのは、寝技になると松根さんが負けないからだとも言われていました。

「松根さんは強いです……。敵わないです。『まだまだだ』って言われ続けていて、その通りなんです。道着でやったら当然ですし、グラップリングでも敵わないです……本当に強いッス」

──その松根さんは、砂辺選手が打撃の指導をしっかりしてくれることを勝因の一つに挙げていました。

「砂辺さんとは週に1、2回、ボクシングであったり、清水選手はローが強いからキックボクシングを教えてくれて、それは凄く大きかったです。ただ見合うよりも手数を出しながらカウンターを狙うということ……カウンター狙いだけだとずっと待つことになって見切られるので、手を出して誘うという指導をしてもらいました。

宮城さんともMMAのスパーリングをさせてもらって……。宮城さんって僕が修斗を始めて1年も経たない頃にVTJ沖縄大会(2015年10月3日)があって、松根さんの引退試合で(※カナ・カナットに腕十字で一本勝ち。本人は引退を公言はしていない)。あの時に宮城さんが凄いKO勝ちをしていたんです。

その宮城さんと練習して、通用していることは試合に向けて自信になりました。3月の時も凄く練習はしていたのですが、あの時より強くなって試合ができ──結果的に良かったと思います」

──ランキング1位の選手に勝ったので、もう世界戦しか見ていないかと思いますが、キャリア7戦ということを考えるとどのような相手と戦う必要があると思っていますか。

「経験値を上げるためには、レスラータイプというか組みの強い選手と戦いたいです。そういう試合をすれば、さらに強くなれると思います」

──修斗フライ級にそういうタイプの選手は……。

「僕の中では扇久保さんが近いです」

──つまり、戦いたいのは扇久保選手ですか。

「扇久保さんがベルトを返上しなくて、修斗フライ級で福田(龍彌)選手と統一戦を戦い──そこで勝つのであれば、挑戦させてくださいということです」

──仮に福田選手と戦うようになると、自信のほどは?

「福田選手は以前から修斗フライ級のランカーで一番強い、扇久保さんの次に厳しい相手になると思っていたんです。ただ今は前田吉朗選手に勝った試合の映像を視られていないので、ちょっと分からないところがあって。あの試合の映像は視たいです、凄く気になるので」

──扇久保選手と福田選手、どちらと戦いたいというのはありますか。

「う~ん、美味しいのは扇久保さんです。RIZINでタイトルマッチもやっていて。その分、実力は一番だから厳しい試合になると思っています。扇久保さんは清水選手と試合をしたときも、余裕がありました。組みを多用すれば、もっと圧倒したと思っています。現時点で、僕と扇久保さんには差があります」

<この項、続く>

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