【ONE108】これはヤバイかも……。平田樹の相手がキックで世界挑戦あり=クローリーに変更
【写真】ガードは甘いところもあるが、非常に勢いのある打撃を使うクローリー (C)ONE
2月7日(金・現地時間)にインドネシアはジャカルタのイストラ・セナヤンで開かれるONE108「Warrior’s Code」で、平田樹と対戦予定だったビー・ニューイェンが負傷欠場、ナイリーン・クローリーが代役となった。
20日の記者会見ではニューイェン戦に向けて、「寝技で勝つ」宣言をしていた平田だが、その2日後にニューイェン負傷の方を受けて、クローリーとの対戦を承諾したという。
ニュージーランドのオークランド出身のクローリーは、現在はインドネシアのバリMMAに所属している。祖父が1949年と50年のオールブラックスのメンバーという家系に育ったクローリー、1歳上の姉チェリーはダコタ・カイの名で活躍するWWEのプロレスラーだという。
彼女自身、子供の頃から多くのスポーツにこうじており、ジュニアながらウェイト・リフティングで国内大会を制しており、女子ラグビーでも活躍していた。その一方でシンガーであり、大学卒業後にメディアの仕事にも就いていた多才なクローリーだが、ラグビーの試合のためにクロスフィットのジムを訪れ、MMAと出会い人生が変わった。
「ニュージーランドはお金を得るために、型にはまった生き方ばかり。私はメーシャルアーツを通してより良い人間になり、もっとハッピーになりたい」と彼女はMMAの練習を始めて半年後にデビューすると、メディアの仕事を辞めタイへ渡る。そして14カ月の滞在の後、コーチのアンドリュー・レオーネがバリMMAで指導をすることとなり、彼女もタイからインドネシアに渡った。
バリMMAでリッチ・フランクリンに見初められウォリアーズ・シリーズにデビュー、SARAMIを日本大会で破ったキム・ソユル、アニタ・カリミを続けて破ったものの今年は2月と12月にミシェレ・フェヘイラに連敗を喫してしまった。
2月の試合では蹴りを掴もうとして、ヒザが顔面に入りパウンドで敗れ、12月は腕十字を極められている。ヒザで敗れたシーンは判断ミス、そしてトップを取ると腕を前に置く癖があるのか、不用意なトップの取り方で腕十字を極められ敗れている。だからといってクローリーが寝技ができないわけではなく、柔術的なポジション奪取からパウンドも大きな武器となっている。
何より、スタンドの圧力は過去に平田が経験したことがない強さであることは間違いない。スイッチヒッターでミドルに勢いがあり、パンチも真正面&中間距離でガンガン打ってくる。昨年6月には判定で敗れたもののISKA世界女子52キロ級王座に挑戦しており、打撃が本職──クローリー自身も「ムエタイがルーツ」と話している。
この真正面、中間距離より近い場所で打撃戦を仕掛けるクローリーを相手に、平田が打撃を痛いと感じたり、恐怖を覚えると組みに行っても、首相撲からヒザの餌食になることも考えられる。
一方でクローリーは常に全力で攻撃を仕掛ける面もあり、結果スタミナをロスする傾向もあり、そこで真正面に立つようなら平田も十分に組み勝てるだろう。平田としては痛みを承知の上で、蹴り足を掴んでテイクダウンを仕掛けたいところだ。ともかくクローリーの打撃のプレッシャーに平田が立ち向かえるのか。正直、元の対戦相手ニューイェンよりも平田は厄介な選手と相対する──といっても過言でないだろう。