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【ONE107】エドゥアルド・フォラヤンの相手が、ONEルールにベストフィット=ピーター・バウシュトに

ONE107【写真】ONEライト級戦線の勢力分布図を変えることもあるバウシュト✖フォラヤンの一戦だ(C)MMAPLANET

31日(金・現地時間)、フィリピン・メトロマニラのパサイ・シティはMOAアリーナで開催されるONE107「Fire & Fury」。同大会にはメインでONE世界ストロー級王座2度目の防衛戦をアレックス・シウバ相手に行うジョシュア・パシオを始め、5人のチーム・ラカイ所属選手が出場する。

エドゥアルド・フォラヤン、ダニー・キンガド、リト・エディワン、ジナ・イニオンがそれぞれアメド・ムイタバ、シェ・ウェイ、ポンシリ・ミートサティート、アシャ・ロカと戦うこととなっていたが、フォラヤンの相手がオランダのピーター・バウシュトに変更されている。このバウシュト、2020年要注目の1人のファイターだ。


先週の木曜日にムイタバの欠場とバウシュトの代替出場がONEから正式発表されているが、その前日にバウシュトはオファーを受け了承していたとのころだ。フォラヤンにとっては公称180センチのグラップラー=ムイタバから、188センチで長いリーチを誇るバウシュトでは当然のように距離、タイミング、スタンスが違い、全てを見直す必要が出た。

「本当に準備してきたことを変えないといけなくなったけど、それはこのスポーツに於いて前例のないことではないからね」と受けいれているフォラヤンだが、ショートノーティスでなくてもバウシュトは厳しい相手──タフファイトは避けられないだろう。前述したように188センチの長身であるバウシュトはオーソの構えから左ジャブで相手を突き放し、前蹴り、伸びるハイキックで圧力を強める。

接近戦や組み技においてはヒザの威力は抜群で、テイクダウン防御は最上級ではないものの、倒されて立つというスタンダードな動きは苦も無くこなす。フォラヤン基本は散打ベースのストライカーで、組みや寝技は防御を前提に戦ってきたが、バウシュト相手には打撃戦は分が悪いことが予想される。

そのためにもフォラヤンには、第2世代ラカイファイターのように攻めの組み技が必要になってくる。それは何もテイクダウンからグラウンドで優位に立つということではない。バウシュトはフォラヤンよりも明らかに緻密な寝技ができる下石康太の抑えを凌ぎ、ブレイク待ちではなく自らの技量でスタンドに戻ってヒザを効かせ、勝利を手にしているファイターだ。

そんなバウシュトに対し、フォラヤンが必要な組みとは──組みがあると思わせること。テイクダウン防御を意識させれば、アップライトから伸びる打撃を使うことは少しは難しくなる。そしてテイクダウン狙いに反応し、防御の姿勢を見せた時こそオーソドックスながら一番のパワーを誇る左フックの打ち込み時だ。

その一方で、最近のフォラヤンは大振りの嫌いがあり、自ら振るった攻撃の後で姿勢を乱すケースも少なくない。このようなことが2度、3度とあるとバウシュトはその隙を見逃さず不安定なバランス状態でパンチや蹴りを打ち込むだろう。そんな予期せぬ攻撃を1つ受けるだけで、勝負の流れが決まることもある。

Buist Kneeまた打撃を効かせ、パウンドを嫌がった対戦相手がスクランブルに入るや背中に乗りRNCを狙ったり、落とされた直後に三角絞めで一本勝ちもバウシュトはしている。

これまでONEの判定基準はチーム・ラカイに優位性をもたらしていたが、ダッチ・キックボクシングと柔術を融合させたバウシュトにとってはラカイ勢より持てる力を発揮できるのが、このONE MMA=グローバル・ルールセットだ。

一発で終わらせることができるヒザ蹴りを、寝技でも使いこなすことができるバウシュトはこの試合で一気にタイトル・コンテンダーに躍り出ることも十分にありうる。

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