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【DEEP87】組みで赤尾セイジを圧倒し、3-0で勝利の大塚隆史「ガムシャラにやって答を探していく」

Otsuka vs Akao【写真】手に汗握る組み試合で赤尾を制した大塚だったが、試合内容にまるで納得がいっていなかった(C)MMAPLANET

22日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP87レビュー。第4弾はバンタム級3回戦=大塚隆史✖赤尾セイジ戦の試合レポート及び、大塚の試合後の共同インタビューの模様(※要約)をお届けしたい。


<バンタム/5分3R>
大塚隆史(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
赤尾セイジ(日本)

01まず右ローを蹴った赤尾が、左フックを伸ばす。大塚の右に赤尾が組みつき、クリンチ戦へ。大塚が左腕を差し、右手で赤尾の左手首を掴んでから両差しへ。バランスを保つ赤尾が押し返し、両者が離れる。大塚の左ローに左フックを合わせた赤尾は、ボディロックから小外掛けを狙う。

02倒れなかった大塚がケージに押し込み、左ワキを差し上げ、赤尾の左足をキャッチ、残った右足を払ってテイクダウンに成功する。スクランブルでは襷掛けで崩しバックを維持する大塚が、背中からパンチを狙ったところで両者が離れる。

赤尾が右ミドルを蹴りすぐにクリンチへ。ダーティーボクシング後に、距離を取り直す。すぐに大塚が右フックから組んでケージに赤尾を押し込みつつ、ボディから右フックを当てたところで初回が終わった。

032R、赤尾が右フックを当て、至近距離で打ち合いに。後手に回った赤尾はダブルレッグで大塚から、腹這いながらテイクダウンを奪う。すぐに立ち上がった大塚は、バックを取られたクラッチをはがしにかかる。ここで赤尾はエルボーを放つが、同時に大塚が胸を合わせてケージに押し込む。離れた直後に組みついた赤尾、ここも大塚が切り返してケージに押し込んでいく。

赤尾はヒザをボディに突き上げ、大塚はショートのボディを連打してから離れ、直後に左を差してケージに押し込んでいく。ボディロックテイクダウン、すぐさまバックに回った大塚に対し、赤尾は後方へエルボーを連打する。ヒジを受けて頭の位置を変えた大塚は、後方へのテイクダウン、スクランブルでもバックに回ろうとする。

04ウィザードで何とかして凌いでいた赤尾は、苦しくなりスイッチに移行。労せずバックに回った大塚に対し、赤尾は左足を引き寄せて後方に倒れ込むが、腰をずらすことができず上を取れない。

このままではバックマウントを許す態勢となった赤尾が立ち上がろうとする。背中越しに大塚が右フックを振るう。赤尾の組みを崩し、前進に左を合わせた大塚がテイクダウン狙いをいなし、逆にケージに赤尾を押し込んだ状態でラウンド終了を迎えた。

レスリング勝負になった2つのラウンドを取った大塚。赤尾はバックを譲った厳しい展開が続いた。

05最終回、細かいボディを被弾した赤尾は、左フックを思い切り空振りしてから組み付く。ここでも大塚は体を入れ替えて、金網に赤尾を押し込む。崩しから離れ、左ミドルをブロックしつつワンツーを入れた大塚。赤尾もパンチを打ち返すと、大塚は組んでケージへ。すぐに間合いを取り直すが、打撃の攻防にはならずクリンチの展開に発展する。

06左ワキを差された赤尾は、もう一方のアンダーフックこそ防ぐも、大塚は巧みにハイクロッチに移行し、ついに尻餅をつかせる。

すぐさま大塚はバックに回り、大塚が小手を巻いてくると正面からボディロック。ここからバックに回り、後方に崩していく。ついにスクランブルでなくガードを選択した赤尾は、スイープなどを仕掛けることはなく、背中を見せて前転──スクランブルを選択する。大塚はバックを制しシートベルトから足をフックせずに、赤尾を立たせてバックをキープする。

07ヒザをマットについた赤尾が、ついに前方に大塚を落としトップを取る。大塚はハーフを取り、足を引いてすぐに立ち上がり、ケージに赤尾を押し込み試合終了へ。赤尾は敵わなかったという風にも見える表情を浮かべた。

レスリングマッチを完全に制し、3-0の判定勝ちを手にした大塚だったが、試合後の談話では自らのパフォーマンスに落胆する言葉が続いた。

■「先が真っ暗になりました」

Otsuka──再起戦勝利、おめでとうございます。

「ありがとうございます」

──試合後のマイクでは、内容に不満な様子でしたが。

「そうですね。いやぁ、自分が思い描いていた試合から試合内容が掛け離れ過ぎていた……ショックでした」

──作戦はどのようなモノだったのですか。

「打撃ですね。完全にKOするつもりでした。ぶっ倒すために練習してきて、スパーリングでは調子も良くて……。感覚的にも良くて、今日のウォーミングアップも良かった。それなのに試合になると全然固くて……何が悔しいかって、自分のやってきたことが全く出せなかったことですね。結果、レスリングになって……あんな試合したくなかった。

グラップリングとかレスリングなんかやりたくなかった。ファイトとして打撃があるほうが面白いし、そういう練習をやってきたので。あんなんだったらレスリングの競技をやっていた方が良い。それぐらいの気持ちです。テイクダウンされない自信はあるから、打撃の練習で倒すイメージもできていたのに。ホント、勝っただけです」

──再起戦で赤尾選手だったことで、1度勝っている相手、そしてHEATで負けてから試合になることに何か想うところはありましたか。

「いや、そこに関してはなかったです。相手は同でも良くて。ビクター・ヘンリーに負けてから、すぐに練習を再開して……負けても凄く前向きになっていたんです。そこから積み上げて来たモノのイメージも良くて、年内に試合をしたいと思っていたところで、相手はたまたま赤尾選手だっただけで。赤尾選手に対して、どう思うとかはなかったです。

ビクター戦後に自分がやってきたことに自信があった……自分を試したかった。その結果、今日は全く出せなかったので……」

──なぜ、出せなかったのだと現時点で思っていますか。

「う~ん、ああいうタイプが久しぶりだったのもあるのか。ビクターの時とかはキックボクシングがかなりできたのですが、頭から突っ込まれて……。あとは力んだのかというもあります」

──レスリングに自信があるので、レスリングの展開になるとそこで対応したということはないでしょうか。

「テイクダウンは取れたと思いますけど、打撃で倒したいという気持ちでやっていると、手が疲れてきてしまって……。パンチが楽に出る状態でないので、組みに頼ってしまいました」

──悔しさ?

「本当に悔しいです。先が真っ暗になりました。とはいえ、もう練習をやってどうすれば良いか答を探すしかないので」

──DEEPバンタム級王座については、どのような気持ちでいますか。

「元谷君がチャンピオンですよね。DEEPのチャンピオンには興味はないですが、元谷君に関しては年末も出て、評価されている選手なので、そういう選手を食わないといけない。でも……今は自分にショック過ぎます。ビクターに負けてから、食事から練習まで色々と考えて。フィジカルもそうだし、特に打撃も見直して……その成果がスパーリングで出ていたのに結果がこれだと……。石司戦前に頸椎のヘルニアをして……あの時の方が動けていたんじゃねぇかって。ベテランの領域になってきたのに、練習でやってきたことが試合に出ないなんて……まだ起こるんだと」

──ただし、勝てたのでその成果を出す機会が次にもあるということになります。

「勝ったから次がある。答は出ていないけど、とにかくやっていくしかない。天才じゃないなと思いました。天才はパッとできるのでしょうけど、不器用な俺はガムシャラにやって答を探していくしかない。那須川天心じゃないな、と」

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