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【UFN142】クンチェンコと対戦、岡見勇信─02─「UFCが世界一、ここから目を逸らしてはいけない」

Yushin Okami【写真】落ち着き払っている岡見がUFCで戦い続ける理由を語った(C)MMAPLANET

12月2日(日)に豪州はアデレードのアデレード・エンタータイメントセンターで開催されるUFC Fight Night 142「dos Santos vs Tuivasa」で、アレクセイ・クンチェンコと対戦する岡見勇信インタビュー後編。

19連勝のロシア人ファイターと戦う岡見は、そのために新しいモノにチャレンジしてきた日々が最高に幸せだと静かに話した。

UFCはMMA界にあって、紛れもない世界最高峰だ。同時に日本人ファイターは苦戦が続き、また国内での認知度は決して高くない。それでもUFCに拘り続ける格闘家が存在している。

なぜUFCなのか──、岡見の返答は非常にシンプルだった。

<岡見勇信インタビューPart.01はコチラから>


──短絡的な考えですと、それがフィニッシュということになるのですが。

「格闘技としてフィニッシュを狙うのは当たり前のことですが、僕のなかではオマケみたいなものです。創り上げて来たモノがあるから、そこで与えられるギフトのようなモノで……ただ同時に自分で取りに行く姿勢を交えて戦う。あのままでは上には行けないから、UFCのトップに勝つためにはどうするのかいう部分で、今回の試合は創り上げてきました」

──そのために何か新しいことを取り入れたというコトはありますか。

「大きくは変えていませんが、ファイトキャンプが今回は長かったので色々と新しいことを試しました。本当にこれまでとは180度違うこともやりましたし、楽しかったです。19年間、格闘技をやってきてなお新しい試みを取り入れるというのは本当に楽しかった。試合に勝つために必要なことを取り入れながら、新しいチャレンジをしてきましたね。

今回のキャンプは本当にチャレンジしてやってきて、幸せでした。長谷川賢、三浦広光、安西信昌、それにストラッサー起一選手とメンバーは同じですが、皆が強くなっているので本当にハードでした。

キャンプ前に彼らも試合があって、そこに付き合って徐々に上げていき、彼らの得意な部分で色々とチャレンジしたことで、色々な気付きがありました。そこが繋がって、キャンプはとても良い形で過ごすことができましたね。

格闘家としてこういう日々が本当の意味で幸せなんだと思います(微笑)」

──虚勢でもなんでもなく、落ち着いた言葉から充実ぶりが伝わってきます。

「どうせ試合前は緊張もするし、怖いです。でもここまでの日々は本当に良かったです」

──試合前だからこそ岡見選手に尋ねたいことがあるのですか。

「ハイ、なんでしょうか」

──UFCという世界最高峰に拘る選手がいます。同時に拘り続けること難しい選手もいる。拘るが故に厳しい現実と向き合う選手がいる一方で、UFCの存在感がこの1年でとてつもなく薄くなっている。UFCに蓋をしたほうが、良い格闘家人生を送れるのではないかという現実が日本にはあります。

「確かにそうですね」

──この現状でUFCに賭け続ける想いとは、岡見選手のなかではどういうモノなのでしょうか。

「目を背けてはいけないのは、UFCが世界一だということです。何があってもUFCには一番の選手がいて、UFCの世界チャンピオンが一番強い。ここから目を逸らしてはいけないと思っています。

他の大会で戦い、チャンピオンになったということで自信をつけてより大きくなる。その選択は勿論良いことで、正解だと思います。でも世界一はUFCなんだという意識を持っておくことが、格闘家として大事なのかなとは凄く感じます」

──世界一を目指さなくて、他の価値観を見いだす選手もいます。

「それがリアル……現実問題はいろいろとありますから。だから、選手はそれぞれです。ただ僕はオクタゴンの中を知っている。オクタゴンの中には現実問題しかない。目の前にUFCファイターが現れて、その選手と戦うしかない。そこにはリアルしかない。強いヤツしかいない。強いヤツしか勝ち上がることができない。

僕は記者とはまた違い……選手目線でしかUFCを語ることができないです。そこには現実しかないので、その現実の上で世界を獲ると意識をせざるを得ない。ここから逃げたら、格闘家としてはダメなんじゃないかと……。

世界チャンピオンになりたいという選手がいて、世界がついていれば団体は問わないという考えもあるし、世界王座に興味がない選手もいるでしょう。でも、僕にとってはUFCが頂点だから……、そういうことですよね」

■「日本人が良いところを見せないと、若い子もついてこないです。僕がそこを見せる機会は、今しかない」

──そこで戦おうが、そこを目指そうがMMAだけで食べていくこともままならない。国内で知名度も上がらない世界最高峰です。

「僕らもUFCをもっと広めたいし、もっと知って欲しいと思っています。ただ現状として、日本人選手は活躍できていない。韓国人選手よりも、中国人選手よりもできていない。それではメディアの皆さんも発信しづらいです。だから選手は結果を残さなければいけない。結果を残せば、UFCにはしっかりとした器と土台が揃っているので。

知名度や暮らしにしても、まずは勝ってから。UFCに求められるファイターになって、食っていけないなんてことは絶対にないですからね」

──サッカーに例えると、ワールドカップ予選では負けるとニュースです。でも、ワールドカップにいけば、勝つことは本当に難しい。そういう戦いなのですよね、UFCは。そして勝敗が全てでないのに、勝敗が選手の肩に大きくのしかかる。

「そうですね。僕も次の試合で負けると終わりです。契約が何試合残っていようが、一つ一つの試合が大切になってきます」

──気が休まることがないですね。

「だからこそUFCなんじゃないでしょうか。そういう場所だから活躍している選手が格好良い。そんな選手を見て、『ああなりたい』、『あの場で戦いたい』と皆が憧れるわけですから。確かに選手は興行の駒かもしれません。でも、それはそこまでの選手だからです。

自分が大きくなれば、逆にUFCを使うことができるだろうし。選手としてそこまでいかないといけないから、強くなければならない。試合結果、パフォーマンス、全てをひっくるめて、そこまでいかないといけない。やりがいはありますよ」

──岡見選手がUFCで戦い始めた時PRIDEがありました。その後、UFCが世界の頂点となり皆がオクタゴンを目指した時期もありました。UFCがビジネスとして日本に根付かないと、他にも選択肢が生まれます。この間、WSOFで戦っている時もUFCをひたすら目指していた岡見選手にとっては、UFCありきの人生を12年も送ってきたことになります。

「25、26歳だった人間がもう40歳が見えてきました。でもUFCへの想いは、日に日に大きくなっています。

UFC自体も僕が戦い始めた頃とは比較にならないほど大きくなっている。世界ナンバーワンが、さらなる世界ナンバーワンのMMA大会として確立し続けている。でも日本人がその戦いの輪に加わることができてない。その現実が悔しくてたまらないです。そこを打開するしかない……僕には時間もないので。

若い選手がUFCで戦いたい、勝ちたいと思うには今、オクタゴンで戦っている僕ら……日本人が良いところを見せないと、彼らもついてこないです。僕がそこを見せる機会は、今しかない。絶対に勝って帰ってきます」

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