【JBJJF】東京国際 ライトフェザー級優勝・嶋田裕太「ムンジアルは1回戦突破できるか? ADCCも視野に」
【写真】国内では敵なし。しかし、世界の壁の厚さ&高さは茶帯時代に十分に経験している嶋田 (C) TSUBASA ITO
18日(日)、墨田区総合体育館でJBJJF主催「東京国際柔術選手権」が行われ、アダルト黒帯ライトフェザー級で嶋田裕太が優勝した。圧勝にも嶋田自身は納得していなかった。
Text by Takao Matsui
――優勝おめでとうございます。大西巧之選手からギロチンチョークで一本勝ちを収め、圧勝の試合でしたね。
「いえいえ、全然ダメです。反省点ばかりの試合でした」
――えっ、そうなのですか。
「マウントをひっくり返されてしまって……」
――あの場面は、どのような展開だったのでしょうか。
「マウントからバラタプラッタを狙ったんです。でも、練習であまりやらない動きだったので、逃げられてしまいました」
――そこが課題として残ったわけですね。
「そうですね。試合はいつも通りに練習でやっていることを出そうと思っていたんですけど、いつもはやらないことをやってしまいました」
――しかし、試合で新しいチャレンジをすることもあるのでは?
「いえ、それではダメです。練習で新しいことを取り入れて自分の動きにしていくのはいいんですけど、反対ではこういう失敗を招くことがあります。今回は、たまたま勝てたから良かったんですけど、ここを修正しておかないと次にまた同じ失敗をしてしまう可能性があります。
最後のギロチンも、首を極めつつ足を絡めて攻めないと、逃げられていたかもしれません。バラタプラッタの攻防も含めて、練習不足を痛感しました」
――厳しい自己評価ですね。
「足りないことだらけなのは分かっているので、とにかく練習するのみです。それしかありませんから」
――アジア選手権では、2016年の世界選手権(ムンジアル)ベスト8の加古拓渡選手から20-0で圧勝し、宮地一裕選手を下して優勝。世界へ向けての期待は一気に高まっています。
「加古さんは、コンディションの問題があったのではないでしょうか。あの結果だけで、海外の選手に勝てるとは思っていませんし、そんなに甘い世界ではないことも知っています。
期待されるのはとても光栄なことですが、ムンジアル1回戦を勝てるか──どうかではないでしょうか」
――とても冷静ですね。
「背伸びをしたくないんです。以前、パンアメリカン選手権で優勝候補の一角と対戦することとなり、強がって焦ってしまい本来の自分の動きがまったくできずに1分で一本負けをしたことがありました。
周りのサポートを受けつつ海外まで行って、そこで失敗に気づくなんて、本当に申し訳なかったですし、情けなかったです」
――いわゆる自滅のパターンにはまってしまったんですね。
「なので2017年は、またパンアメリカンに出場したいですね。黒帯になって、どこまで海外で通用するのか試してみたいです」
――今年はアジア選手権で優勝した後、しばらく試合間隔が空きました。
「大学の卒論を書いていました。うまくいけば、来春に卒業見込みなんです(苦笑)。卒業したら、柔術に専念できるので楽しみです」
――指導をしながら生計をたてるわけですね。
「はい。まさか自分がそういう立場になれるなんて考えてもいなかったんですが、とても恵まれていると思います。大会に出ているほとんどの選手は、仕事や家庭がある人も多いことでしょう。
だからこそ練習ができない人の分までやらなければいけないと、強く思っています。それが一番のモチベーションになっています」
――2017年のことも出ましたが、今後の予定も教えてください。
「年末はRIZINのグラップリングで、65キロ級に出場する予定です」
――RIZINの柔術選手権への出場ではないんですね。
「2017年はアブダビコンバットクラブ(ADCC)もあるんで、ノーギにも出てみようと思いました。もともと普段から、ギには固執しないようにしていますし、スパイダーガードも使いませんから。どちらでも問題はありません。
あとは、先ほど言ったパンアメリカン、ムンジアルはもちろんのこと、ブラジルでも修行したいですね。国内にいる間は、ウエイトトレーニングでパワーをつけたいと考えています。
海外の技術の進化は著しいので、それを追い越すのは難しいかもしれませんが、フィジカルで差を埋めていくことは可能ですから」