【WJJC2021】嶋田裕太はジエゴ・パト・オリヴェイラのガードゲームに敗北、ベスト8で2021年終戦
【写真】「自分に足りないものと、格上の相手に通用することを確認することができました。さらに強くなってこの場所でもっと試合できるように頑張ります!」と試合後に嶋田からメッセージが入った(C)NARITA SATOSHI
8日(水・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。
Text Isamu Horiuchi
道着着用柔術の世界最高峰の大舞台。第5弾は嶋田裕太が挑んだライトフェザー級準々決勝の模様をレポートしたい。
<ライトフェザー級準々決勝/10分1R>
ジエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
Def.4-2
嶋田裕太(日本)
すぐに引き込んだオリヴェイラは、得意のラッソーを左右で切り替えながら煽りに来る。対する嶋田は、体勢低く脇を閉めて対処しては左右に動いてのパス狙いへ。が、オリヴェイラのガードを崩すには至らない。
オリヴェイラは内回りで崩してからのシットアップ狙い。しかし嶋田は左腕をマットにポストしてバランスを保った。ならばと左足でデラヒーバを作るオリヴェイラは、そのまま後転してのスイープを狙う。
嶋田はうまくその動きについてゆき上を保つ。さらにオリヴェイラは、嶋田の右足に外から腕を入れてシットアップに。崩されかけた嶋田だが、ここもすぐに上の体勢に戻る。2点の献上は回避した嶋田だが、ここでアドバンテージを一つ先行されてしまった。
オリヴェイラは嶋田のラペルを引き出して、自らの右足に絡める強固なガードを取る。嶋田は機敏なバーピーの動作で低く入り、また左に側転してのパスを狙う──が、オリヴェイラはラペルグリップをキープしたままついてきてガードを保つ。
その後もこの右のグリップが切れない嶋田。対するオリヴェイラは内回りから嶋田の右足を抱えると、そこにラペルを通して固定した上でさらに回転を続ける。
絡まれた右足を嶋田がうまく抜くと、今度はオリヴェイラは嶋田の左足を内側から抱える。そこからオリヴェイラは右のグリップを引きつけながら嶋田を崩して上を取り、2点を先制した。
ここまで卓越した反応とボディバランスで上を保ってきた嶋田だが、ラッソーやラペル等のグリップを用いて、あらゆる方向に回転し次々と仕掛けてくるオリヴェイラの崩しが、とうとうそれを上回った形だ。
ディープハーフの体勢で潜ろうとする嶋田に対して、オリヴェイラは腰を切って足を抜く体勢を作り、アドバンテージを追加する。次の瞬間、嶋田はスクランブルから上を取り返し、2点を取り返してみせた。それでも、まだアドバンテージで2つ下回っている。
残り3分半。嶋田は激しく左右にパスを仕掛けるが、右で片襟を掴んだオリヴェイラは、嶋田の足を下から刈っての切れ味抜群のシザースイープを見せる。体勢を崩された嶋田がすぐに反応して体制を立て直すと、改めて引き込んでみせたオリヴェイラが、3つ目のアドバンテージを獲得した。
このままガードをキープすれば勝てるオリヴェイラは、両側でラッソーを作る。嶋田は右のグリップを引き離すと、左にダイブする形でのパスへ。
オリヴェイラは冷静に対応して正体する。再び自らの右足に嶋田のラペルを絡めたオリヴェイラは、右腕で嶋田の右足を抱えると、そのまま引き付けて崩してシットアップ。
点差を4-2とし、さらになぜか4つ目のアドバンテージも得たのだった。残り時間がなくなってゆくなか、嶋田はなんとかスクランブルを試みるが、オリヴェイラはそれを許さずに試合終了に。
結局ポイントは4-2、アドバンテージは4-0。オリヴェイラの繰り出す迅速かつ変幻自在の下からの攻撃に終始ペースを握られ、ポイントを奪われた嶋田は最後まで反撃の糸口を見出せないままの完敗だった。
結果的に、現時点での世界の頂点を肌で味わうことになった嶋田。NYでのさらなる修行の中で、難攻不落のオリヴェイラの仕掛けをも突破するマルセリーニョ・ガウッシア直伝──至高のトップゲームを磨き、世界の舞台で披露してくれることを期待したい。