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【UFC】岡見が勝利、前に出る姿勢で接戦を制す

2010.08.02

■第9試合 ミドル級/5分3R
岡見勇信(日本)
Def.3R終了/判定
マーク・ムニョス(米国)

タイ・グリ敗北の影響か、岡見に珍しくブーイングが飛び、ムニョスは大歓声で迎えられる中で試合はスタート。遠い距離から振りの大きいムニョスの右をかわした岡見は、前に出ながらプレッシャーをかけていく。と、この遠い距離からムニョスの右が顔面をかすめるが、気にせず距離を取り直し、踏み込んで右を振るっていく。この一発は空振りとなったが、岡見の前に出る姿勢が明らかになる攻撃だ。

ケージ際を左へ回るムニョスに、左ストレートを打ち込むと、ムニョスの右ハイを冷静にかわし、再び前に出てパンチを振るう岡見。プレッシャーに押されたか、ムニョスがテイクダウンをしかける。がぶってムニョスが後方に下がるのを待った岡見は、続けてムニョスが見せたシングルから股を担がれて尻持ちをつく。ムニョスの右差しをオーバーフックの状態で受け止め、立ち上がった岡見だったが、場内は大きなムニョス・コールが響き渡る。


ケージに押し込まれた岡見、離れ際のパンチを冷静に身切ると、距離を取り直し前へ。ムニョスは再びシングルでハイクラウチの状態になり、岡見が潰して拳を落としたところで1R終了となった。

相手の打撃、テイクダウン狙いも見えているように映る岡見だが、汗の量が多いムニョスに対し、右で差された場合、内側を差し返したいところ。2Rになっても岡見の前に出る姿勢は変わらない。ムニョスのテイクダウンのフェイントにやや上体を上下させながら、アッパーを繰り出す岡見。さらに左ストレートを放つと、ムニョスがシングルレッグを見せる。

腹を出し、ハイクラウチ状態を潰した岡見に対し、クラッチを離したムニョスは立ち上がりざまにパンチを振るうが、これもヒットしない。距離を詰め、組みついた岡見は深追いせず距離をとると、踏み込んできたムニョスの左で尻持ちをついてしまう。突っ込んできたムニョスをいなし、潜りスイープを振り切った岡見だが、立ち上がったムニョスの左右のフックで猛攻にさらされる。右を受け金網に背をつけると、ここでムニョスはシングルでポイントメイキングへ。2Rも残り1分、シングルを切りたい岡見だが、ムニョスはクラッチを離さない。

後がなくなった岡見の最終ラウンド。左を伸ばし、ムニョスの左に右を合わせていく。テイクダウン狙いを切った岡見は、右を連続でヒットさせるが、ムニョスも拳を思い切り振るいパンチを返してくる。

と思いきや、それでも執拗にテイクダウンを仕掛けるムニョス。逃げのテイクダウン狙いのムニョスをケージにつめた岡見は、ボディを連打する。シングルを仕掛けさせたくない岡見は距離を取り、ムニョスが突っ込んできたところにパンチを振るいたい。

すると、その狙い通り、右をヒットさせた岡見に対し、ムニョスはダメージを誤魔化すようにここでもシングルを見せる。バービーから立ち上がった岡見は、残り2分となり左を打ち込む。

ムニョスのオーバーハンドから、細かいフックを受けそうになるも、距離を取ったムニョスに右を打ち込んだ岡見。だが、再びシングルで時間稼ぎをするムニョスに、大コールを忘れ、観客がブーイングを送る。抱えるのではなく、差し返してスイッチにいきたい岡見だが、ムニョスに懐に飛び込まれ、がぶりながらパンチを落とすのが精一杯。ここで試合終了を迎えた。

2Rは完全にムニョス、3Rは岡見。果たして打撃で押した岡見に、一度はムニョスが尻持ちをつかせた1Rをどのようにジャッジが判断するか。終盤気持ちでは完全に上回っていた岡見だが、1Rを失っていると、そのまま逃げ切られることも多いに考えられる。

果たして――ジャッジの裁定の結果は?

29-28で一人目は岡見、二人目は同スコアでムニョス、運命の3人目は29-28で岡見。非常に際どい競り合いを、岡見はモノにした。10-8をつける習性があればドロー、あるいは敗北も有り得た勝負だけに、岡見の前に出る姿勢が、彼本人をこの厳しい一戦から救ったといえるだろう。

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