【UFN163】マゴメドシャリポフが初ピンチ。ケイターに反撃許すも、判定勝ちで王座挑戦をアピール
<フェザー級/5分3R>
ザビット・マゴメドシャリポフ(ロシア)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
カルヴィン・ケイター(米国)
サウスポーに構えたマゴメドシャリポフが左ロー、左ジャブから再びローを繰り出す。ケイターは右ストレートを伸ばし、マゴメドシャリポフは左に回りながらオーソに構えを変えて右ローを入れる。スイッチを繰り返すマゴメドシャリポフのダブルジャブを被弾したケイターは、前にこそ出ることはできても勢いのあるパンチを打てない。アッパー、右フックを空振りしたケイターにマゴメドシャリポフが前蹴りを入れ、右オーバーハンドにはローで軸足を払ってバランスを崩させる。
ケイターも左ショートを当てたが、直後にマゴメドシャリポフは掛け蹴りを当て、テイクダウンのフェイクから右バックフィスト、さらに左ボディショットを打ち込む。ショートのワンツーを見せたケイターに、左ハイを狙ったマゴメドシャリポフ。続くケイターのワンツーにマゴメドシャリポフが一瞬、動きを止める。ここでヒザ蹴りを見せたケイターだが、マゴメドシャリポフはすぐに持ち直してショートの連打、ボディにパンチを放つなど多彩な攻撃が目立った。
2R、左フック、右ストレートをあてたマゴメドシャリポフが、素早い左ジャブを続ける。ケイターも左を返すと、間合を外したマゴメドシャリポフが後ろ回し蹴りとサイドキックのコンビネーションを見せる。左ジャブをスムーズに入れるマゴメドシャリポフは、跳びヒザの着地からスピニングバックフィストへ。これらの動きを力みなく繰り出すマゴメドシャリポフに対し、ケイターは持ち前の圧力の高い攻撃を仕掛けることができない。
ケイターが左ジャブを届かせると、ミドルを入れたマゴメドシャリポフ。ここで初めてシングルレッグに出るも、これはケイターが切る。距離が近づくと左ボディフックを打ちこんだマゴメドシャリポフは、左手をケイターの顔にかけて大外刈りの要領で崩し、そのままバックを取る。ケイターは懸命に胸を合わせて離れ、右フックを当てる。前に出る意思を持ち続けるケイターのパンチが徐々に当たる数が増えてくる。パンチが当たると、跳びヒザを放つケイター。この時、やや下向き加減になるマゴメドシャリポフだが、最後は手をマットにつけた変則的な蹴りでファンをわかせて2Rを戦い終えた。
もともと他の大会で3R契約が結ばれていたため、メインだが最終回となる3R。ジャブの交換からローを蹴ったマゴメドシャリポフ、続くミドルが急所に入る。すぐに試合は再開され、ケイターはマゴメドシャリポフの蹴りに惑わされないように戦うもののボディフックを打ちこまれる。それでも手数が増え、勢いも出てきたケイターに対しマゴメドシャリポフは見る場面が多くなってきた。
右を振るって前に出たケイター、回っていたマゴメドシャリポフが真正面に立ってパンチの交換へ。スピニングバックエルボーをガードしたケイターは、ダブルレッグを切って左から右フックを当てる。ボディフックを入れプレッシャーを強めるケイターが、近距離で左エルボー、右フック、もう一発左フックを決める。マゴメドシャリポフは左フックを空振り、形勢逆転といって良い流れのなかでケイターのアッパーが顔面を捕える。
左に回るマゴメドシャリポフを追いかけるケイター、左ボディフックを打ち込み、さらにアッパーへ。マゴメドシャリポフも左フックを返すが、完全に勢いはケイターにある。残り90秒、頭が届くような距離でケイターが再びアッパーを振り上げる。オクタゴンで初めてピンチらしいピンチに追い込まれたマゴメドシャリポフは、右アッパーに続き右ストレートをもらう。
ローの目測も誤るようになったマゴメドシャリポフだったが、ケイターはここで跳びヒザを狙い、ボディをキャッチされ痛恨のテイクダウンを許してしまう。下から殴り、エルボーを打つケイターを必死で抑えるマゴメドシャリポフ。完全に逃げ切り態勢のマゴメドシャリポフは、ここでタイムアップを迎えた。
3Rが8-10にならない限り判定勝ちは動かないだろうが、結果はジャッジ3者とも29-28でマゴメドシャリポフを支持。「プレッシャーが強いことは分かっていたけど、ダゲスタン、モスクワ、タイ、米国で準備をしてきた。やるべきことをやったよ」と勝利を振り返ったマゴメドシャリポフは、マックス・ホロウェイとアレックス・ヴォルカノフスキーとの勝者に挑戦できるなら5Rを戦い抜けるだけの調整をすると話した。
マゴメドシャリポフのこの言葉は、最終回の失速を受けてのモノに違いない。そう彼に言わしめたケイターの評価も下がらない一戦となったといえる。