【ONE97】UFC3勝1敗&ロンドン五輪出場、クシュティレスラー=アルジャン・ブラー「MMAをインドへ」
【写真】異様に高いモチベーションも理解できる。クシュティスタイル・レスラー=アルジャン・ブラー(C)MMAPLANET
明日2日(金・現地時間)、フィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE97「Dawn of Heroes」に、アルジャン・ブラーが出場しマウロ・チリリと対戦する。
インド系カナダ人のブラーは2012年ロンドン五輪フリースタイル・レスリングのカナダ代表で、インドで行われたコモンウェルスゲームで金、パンナム大会では同メダルを獲得している。
2014年にMMAに転向し、6連勝でUFCと契約を果たした。オクタゴンで3勝1敗と勝ち越していたが、UFCとは契約を更新せずにONEのヘビー級ロースターに加わった。ONEとともにルーツ、インドにMMAを広める──それこそがブラーが自身に命じたミッションだった。
──アルジャンはUFCで3勝1敗という好成績を挙げてなお契約を更新せず、ONEとサインをしました。
「う~ん、少し間違っているよ。僕はUFCで4勝0敗だった(笑)。UFCとの契約を終えてフリーエージェントになった時、UFC、Bellator、ONEから契約の話があった。そのなかでONEとの契約ほど意義深いモノはなかったんだ。個人的にこれ以上ないほど遣り甲斐を感じる内容だった」
──それはONEのインド進出が絡んでいるものでしょうか。
「そうだね。そして米国ではTNTと契約しており、ここから色々なことが始まると感じたんだ。ONEの僕への待遇は、とても尊敬心が感じられるものだった。そこが僕や家族にとって重要な要素でもあった。ONEがインド市場への進出を考えていることは、僕にとって本当に意味のあることなんだ」
──昨年7月にチャトリCEOにインタビューをした時に、ハッキリとインド市場の開拓に乗り出す、インドが次のターゲットだと言っていました。
「彼のターゲットは僕だったんだよ(笑)」
──インドにはスーパーファイト・リーグなどの団体が活動を行っていますが、まだそれほどMMAが普及しているとはいえないです。
「だからこそONEとサインしたんだ。過去2年間、UFCで戦ってきたけどインドへ進出とするという話はゼロだった。まるで動きはなかった。僕のMMAファイターとしてのゴールは世界ヘビー級王者であること、そしてMMAをインドで普及させることだ。そのレガシーの一部になること。そこに大きな意味がある。
ONEはインドのTV局スタースポーツと大きなディールを結んだ。しっかりとした計画があるということだ。そんなプロジェクトに加われるというコトは光栄だよ。ミャンマーのオンラ・ンサン、ベトナムのマーチン・ウェン、ここフィリピンのエドゥアルド・フォラヤンやチーム・ラカイの選手たちのように僕はインドでMMAを広めたい。
インドには長い長いレスリングの歴史がある。父も僕もレスリングをやってきた。インドでMMAの発展に関わるということは、レスリングの歴史にも触れることになるんだ。インド人レスラーは、MMAで成功をするのか。僕がONE世界ヘビー級王者になって証明する。それを成し遂げた時に、インドのMMAは大きく変わるだろう」
──市場として、そして選手の質としてインドはMMAが根付く可能性があるのでしょうか。
「絶対的にね。スタースポーツでは去年、3億人がクリケットのスーパープレミア・リーグの中継を視ているんだ。その1パーセントでもMMAに流れてくるだけで、相当な視聴者になるし、1パーセントにとどまるわけがない。インドにはクリケット以外、サッカーが少しあるだけで他のプロ・スポーツは一切ないんだ。
そこにMMAを持ち込む。絶好の機会だ。インドにはレスリングが普及していて、そこにボクシングというもう一つの長い歴史を持つ打撃が加わった戦いは受け入れられるに決まっている。そして、チャンピオンになれるアスリートがいる。もう、やるしかないだろう?」
──アルジャンの鼻息が荒くなるのも分かります(笑)。お父さんもレスラーだったということですが、アルジャンの生まれはカナダですよね。
「そうだよ、インドのパンジャーブから移住してきたファイミリーの一員として生まれた」
──パンジャーブ州といえば、ハリヤーナー州にまたがったチャンジガールという街で、クシュティの練習を見たことがあります。
「それだよ!! インドのファイターは、レスラーもボクサーも、カバディもパンジャーブ州から生まれるんだ。クシュティこそ、僕らが長い間やってきたレスリングなんだ!!」
──あの土を耕して、オイルで粘り気を出したレスリング場がカナダにもあるのですか。
「あるんだよ、僕らインド人にとってクシュティは欠かせないものだから。クシュティこそ僕らの歴史だからね。UFCで戦っていた時も僕はスタイルを、クシュティとしていたんだ」
──ロンドン五輪にフリースタイル・レスリングのカナダ代表で出場していたアルジャンですが、クシュティの経験があるのですか……MMAにより順応できていたのが理解できました。
「分かるのか? そうなんだよ、フリーもグレコもグラウンドにいってもすぐにホイッスルが鳴り、スタンドに戻る。クシュティは自分の力で立ち上がらないといけない。そしてブレイクなんてない。米国のカレッジレスリング、フォークスタイルに似ている。それにクシュティはどちらかがピンフォールするまで試合は終わらない。30分でも1時間でも戦う。僕は3000年間、ルールが変わっていないクシュティスタイル・レスラーなんだよ!!!!」
──ワォ、アルジャンの試合がいよいよ興味深くなりました。金曜日の試合はとても重要になってきますね。
「全ての試合が大切だよ。僕のやる気、スキル、フィジカル、頭の良さ──全てを駆使して、フィニッシュする。そして世界ヘビー級王座に挑戦する力があることを示す」
──クシュティへの想いの強さが十分に伝わってきましたが、ONEの裁定基準はストライカーが有利です。
「ONEが求めているのはストライカーやグラップラーということじゃない、フィニッシャーだ。OK、僕はレスリングだけでなく打撃も強いミックスマーシャルアーチストだ。テイクダウンしてフィニッシュできるだけでなく、スタンドでもKOできる。だから、何も問題ない!!」
──これからのインドのMMAの動向とともに、アルジャンのONEの試合が見逃せないです。では、最後に日本のファンに一言お願いします。
「コンニチワ。まだ日本には行ったことがないけど、マーシャルアーツの歴史そのものである日本を訪れたいと思っている。来年の五輪を観戦するつもりだし、10月のカードに僕も加わりたいと思っている」
■ONE97対戦カード
<ONE世界フェザー級選手権試合(※70.3キロ)/5分3R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]松嶋こよみ(日本)
<Super Seriesムエタイ・世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョナサン・ハガディ(英国)
[挑戦者] ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
<ライト級 (※77.1キロ)ワールドGP準決勝/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
エディ・アルバレス(米国)
<フライ級(※61.2キロ)ワールドGP準決勝/5分3R>
デメトリウス・ジョンソン(米国)
和田竜光(日本)
<フライ級(※61.2キロ)ワールドGP準決勝/5分3R>
ダニー・キンガド(フィリピン)
リース・マクラーレン(豪州)
<Super Series ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ロドレックP.K.センチャイムエタイジム(タイ)
クリス・ショウ(英国)
<フライ級(※61.2キロ)ワールドGP補欠戦/5分3R>
ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)
若松佑弥(日本)
<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
マウロ・チリリ(イタリア)
アルジャン・ブラー(カナダ)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ホノリオ・バナリオ(フィリピン)
パク・デソン(韓国)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
竹中大地(日本)
<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ジェイムス・ナカシマ(米国)
岡見勇信(日本)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドワード・ケリー(フィリピン)
シエ・ビン(中国)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ポンシリ・ミートサティート(タイ)
ミャオ・リータオ(中国)
<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
サマラ・サントス(ブラジル)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
スノト(インドネシア)
ムハメド・アイマン(マレーシア)