【ONE FF22】ONE金曜ファイトで世界ヘビー級王座統一戦。第1試合出場のシャミル・エルドランに要注目!!
【写真】メイン以上!?に注目は、第1試合。シャミル・エルドアンのONEデビュー戦だ (C)ONE
本日23日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムでONE Friday Fight22が開催され、MMAが2試合組まれている。
11試合中、MMAは2試合とムエタイ濃度が高いルンピニー大会ではあるが、例え2試合といえども今大会で組まれたMMAマッチは、ムエタイ9試合に匹敵するといっても過言でない要注目の顔合わせだ。
7試合目に組まれたのは、ONE FFで初のMMA世界戦=ONE世界ヘビー級王座統一戦だ。正規王者アージャン・ブラーと暫定王者アナトリ―・マリキンがついに3度目の正直で相対する今回の1戦は、ブラーにとって2年前の5月にブランドン・ベラを破って以来の実戦復帰となる。
本来はベルトを巻いた4カ月後にマレキンの挑戦を受ける予定だったが、ブラーの負傷でキャンセルされ翌2月にマレキンは暫定王座決定戦で勝利してベルトを巻いた。そのマレキン、昨年12月にライニエ・デリダーの持つライトヘビー級王座に挑戦すると初回でパウンドアウト、ヘビー級では暫定王座、ライトヘビー級で正規王座のベルトを巻くというユニークな2階級制覇を成し遂げた。
その後、今年の3月のシンガポール大会で両者の対戦がアナウンスされたがキャンセルされ、ようやくタイのリングで両者が相対することとなった。
この勝負の鍵を握るのは、ずばりブラーの心身両面でコンディションといえる。スタイルマッチアップ的にマレキンはスピードも打撃の破壊力もあるファイターだが、ブラーは実は立ち技で間合いを取るのが絶妙で、カナダのトップレスラーだっただけにTD能力は攻防とも長けている。
マレキンが打撃に特化して接近戦を仕掛けると、テイクダウンの餌食になる可能性は高い。とはいっても打撃を見せてから組みにいってもクリーンテイクダウンを奪うことは簡単ではない。ただし、それはブラーが本来の力をリングの上で発揮できた場合に限られる。
とはいえ心身ともに万全の状態でもブラーのジャブ&テイクダウンスタイルがマレキン相手には簡単にハマることもなく、タフファイトとなって然りだっただけに長期ブランクの影響は必ず出てくるはずだ。繰り返すことになるが、この王座統一戦は、今現在のブラーのモチベーションがベルトの行方に関して大きく影響を及ぼすことになるだろう。
この世界戦以上に勝るとも劣らない注目ファイターが、第1試合に登場する。それがシャミル・エルドアンだ。MMA戦績8勝0敗、4つのフィニッシュ勝利と4つのドミネイト判定勝ちというレコードの持つ、トルコ国籍のファイターはダゲスタンのキジリュルト生まれの32歳だ。
ジュニア時代に世界王者になっているエルドアンのフリースタイルでワールドクラスレスラーでもあった。レスラー生活のピークは、2014年にウズベキスタンのタシケントで開催された世界選手権。97キロ級に出場したエルドアンは世界王者のレザ・ヤダーニを準決で下すアップセットを見せ、3位決定戦でもパンナム王者のキューバ人レスラー=ハビエル・コルチナを下し銅メダルに輝いた。
しかし、エルドアンはドーピング検査でスタノゾロールが検出され、2年間の出場停止処分を受けてしまう。これ以前にMMAを1試合だが経験していたエルドアンは、出場停止が機会になったのかは不明だが、2016年から2017年にかけて本格的にMMAを戦うようになり4連勝を達成している。2018年には再びレスリングシーンに戻るも国際的な舞台でコレといった成績を残すことなく、2021年よりEagle FCでMMAを戦うようになると2試合連続フィニッシュ勝利を挙げている。
そんなエルドランの強味はレスリング一本槍のテイクダウン&コントロールファイターではなく、打撃戦に応じることができる点だ。伸びる左ストレート、接近戦ではヒジも使いこなすエルドランだが、逆にパンチやヒザを被弾しても打撃でやり返すというファイトを既に見せている。テイクダウンを切って殴るスタイルのファン・ロンを相手に、どれだけのインパクトを残すことができるか。オンラ・ンサンが巻き返しを見せ、デリダーもその腰の残ったベルトを全力で死守に掛かるだろうミドル級戦線。シャミル・エルドアンは依然として、層が薄い同階級を一気に活気づける存在が現れたかもしれない。
■放送予定
6月23日(金・日本時間)
午後9時30分~ ONE official YouTube
■ONE FF22MMA対戦カード
<ONE世界ヘビー級(※102.01キロ)王座統一戦/5分5R>
[正規王者]アージャン・ブラー(カナダ)
[暫定王者] アナトリ―・マリキン(ロシア)
<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
ファン・ロン(中国)
シャミル・エルドアン(トルコ)