【Pancrase304】グーセヴァと対戦、BBA改め顔面キャッチャー=藤野恵実「満足感って何でしょうね」
【写真】とても藤野さんらしい佇まい (C)MMAPLANET
14日(日)、東京都江東区スタジオコーストで開催されるPancrase304でクセニヤ・グーセヴァと対戦する藤野恵実をAbema TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。
MMAPLANETでは今回の試合に関して、ほぼその戦術的な部分に話題が集約されたインタビュー部分を掲載したい。そして、BBA改め顔面キャッチャーもまた捨てきることができなかった想いとは──。
──クセニヤ・グーセヴァ戦が迫ってきました。
「対戦が決まった時のMMAPLANETの記事が、公共の場を使ったアドバイスだと思ってありがたかったです。ただ、ライカさんが頑なに右に回っていたのは分からないです。何か秘策があったのか……。ハイを貰っても続けていましたよね」
──ライカ選手がどう思っていたのかは分からないですが、最初に組めたことが関係しているのか、外すという思考はあまり見えなかったです。
「カウンター……ボクサーなのでカウンターの一発狙いだったのか。不思議な間合いでした。いっそのこと右に回るということも、私もやってみたんです。それが通用できる相手は右に回っても、左に回っても通用するので。ただ、少しでもちゃんとできる人を相手に右に回っても、合わされてしまう。だから、やはり左回りでないといけないなって思います」
──その通りだと思います。自分の攻撃ができれば右回りでも左回りでも。でも、できないのであればあの局面では左回りではないかと。そして対戦相手が嫌がることを仕掛けたいですね。
「オーソから見たサウスポーと、サウスポーから見たオーソでは経験数が絶対的に違うので、サウスポーの方が戦いやすいですよね。今ではスイッチをする人が増えたのですが、サウスポー同士とかまだまだ少ないのは確かだし。
グーセヴァに関しては……彼女とライカさんの試合を見ていて、なんでだろとライカさんの戦い方の方が気になってしまいました」
──階級を下げてくるグーセヴァのリーチや身長に関してはどのように捉えていますか。
「ヴィヴィアニの身長が167とか168センチでかなり遠く感じて、あの距離に関しては嫌な記憶があります。先週のONEで(V.V) Meiの相手(クセニワ・ラチコワ)も発表は165センチで、実際には169センチあった。Meiは私より5センチは背が低いので、初回は近寄れなかったですよね。相手は打撃の技術もあったし、リーチの差はやはり気になります」
──グーセヴァで気になるのは、半歩下がって相手の攻撃を外し自分の攻撃を当てていたところです。
「足をしっかりと使えて、上手い選手ですよね。でも、あれで倒せないからパンチ力はどこまであるのか」
──そこなんですよ、心配なのは。藤野選手は効いていないと被弾する。被弾して自分のパンチを当てにいきますが、その展開だと腫れてカットし印象も悪くなる。なのでパンチを受けないよう戦ってほしいです。
「う~ん……ヴィヴィも一発で効くパンチはなかったんですよ」
──ヴィヴィアニ戦だけでなく、ジャシカ・アギラー、魅津希選手との戦いも被弾し続けました。そこは矯正できているのでしょうか。
「顔面キャッチャーと呼ばれ……顔で受けていると言われていますからね(笑)。あんまり変わっていないような……」
──それは怖いです。ただし、半歩下がることを利用することもできます。特に打撃のためのバックステップなのでレベルを下げるとテイクダウンにも入ることができる。ヒザ蹴りを注意しないといけないですが。
「津田とミットをするときは、ダックするときはパンチを出すようにしています。やはりヒザ対策として……ただ試合でできるかどうかは(苦笑)」
──今、北米のMMAなどで近距離のボクシング技術が圧倒的に上達しているのは、テイクダウンに対するディフェンス能力が相当に上がったからだと思われます。なので、あの位置での殴り合いに精度が求められるようになった。でもグーセヴァは倒れます。そこは狙い目ではないでしょうか。
「背が高くてアップライトだから、入りやすいと思います。あの相手に打撃勝負をしても何も良いことはないので、やっぱり組みつきたいですね。1度ぐらいKO勝ちしてみたいのですが、そんな欲を言ってもしょうがないし、自分のやるべきことは一本を取ることだと思っています」
──自分を出し切りたいという話が以前か聞かれていますが、自分を出し切ることで満足するというのは試合とどう重なり合うのでしょうか。
「そうなんですよね。満足感って何なんでしょうね。出し切ることなのか、スカ勝ちでも満足できるかもしれない。そこは分かっていないです。強い相手ならスカ勝ちしても、スプリットで競り勝っても満足できるでしょうし」
──スカ勝ちするための練習なのか、譲らない戦いを練習してきたのか。そこも関係してこないでしょうか。
「経験が浅い相手からしかスカ勝ちしていないですからね。何が満足感なのか分からないから、ここまで続けてきた。やり切ったら満足できるかと、ヴィヴィ戦ではそういう気持ちでいました。でも、全くやり切れなかった。ただ、一つ言えることは大して強くない相手にスカ勝ちするために、十何年間とやってきたわけじゃないということですね」
──自分を出すことが今の藤野選手が戦い続ける目標であって、戦いのステージとして目標というモノは持っていないですか。
「それをいえばUFCに行きたかったですし、今も行きたいです。これを書かれるとアレなんですけど、インヴィクタとの対抗戦で勝っても向こうで戦えなかった。あの時はそこからヴィヴィとのタイトトルマッチのオファーがあったけど、戦わずにインヴィクタということも考えました。津田はそっちを目指しているんだったら、インヴィクタを狙えよって言っていて。でも、私はタイトルマッチを選んだ」
──それは責任を持って、藤野選手は書かれると困ると言っているのに私が書いたということで書かせていただきます。
「えぇ……(苦笑)。そのパンクラスのタイトルが、今後はチャンピオンになったらONEと契約することになった……」
──アンジェラ・リーとシィォン・ヂンナンを見て、ONEで戦うということは選択肢に入ったのでしょうか。
「パンクラスでチャンピオンになると、あの場に戦うことになるのかとは思いました。でも、UFC世代なんですよね。どこかUFCに拘っていて、インヴィクタからUFCに登ってみたいという気持ちです」
──浜崎朱加選手がRIZINでチャンピオンになり、V.V Mei選手もONEで軸になりつつあります。両者の現状と自分の状況を鑑みることはありますか。
「浜崎とMeiより、ジャン・ウェイリやイェン・シャオナンがUFCで結果を残している。そっちの方を見て、ああ行きたいなぁと思いますね。ジャンに負けているから何もいえないのですが、あの場で戦いたいと思います。あの時、勝っていれば私の今は違っているのなって……」
──そういうなかで佐藤天選手がUFCと契約できたことは、一筋の光明となっているのでしょうか。
「戦績も違うから何とも言えないのですが、諦めなかったから掴んでいるんじゃん。そういう気持ちにさせてもらいました」
──その気持ちも踏まえて、次の試合はどのような試合をしないといけないと思っていますか。
「出し切る、出し切らないの前にまず勝てよって。何でも良いからお前、勝ってこれからのことを考えろよと。そういうことですね」