【ONE90】オンラ・ンサンとのリベンジ戦へNY修行敢行、長谷川賢─01─「持っているモノを総動員で戦う」
【写真】前半期に重点的にスパーを行ったジャン・ヴィランテ、今回の滞在では手を合わせることがほとんどなかったクリス・ワイドマンと(C)KEN HASEGAWA
ONE90「A NEW ERA」まで3日。31日(日)に東京都墨田区の両国国技館で開催されるONEにとって初の東京大会で、ONE世界ミドル級王者オンラ・ンサンに挑戦する長谷川賢をAmeba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。
昨年6月にンサンの母国ミャンマーで挑戦した前回の対戦で、長谷川は5RにKO負けを喫した。年間ベストバウトを受賞する名勝負も彼にとっては一つの黒星でしかない。
2度目の王座挑戦に向け、長谷川は80日間に渡るNYでのキャンプを選択した。MMAPLANETでは前回の敗戦を振り返り、NYでの日々が長谷川にどのような影響を与えているのかを尋ねた。
──NYで求めていた練習はできていますか。
「7割ぐらいですかね。体の疲れがそれほどなかったのが、ここに来てメッチャ疲れています。疲れ過ぎて体重が落ちないような……」
──疲れて代謝が落ちているかもしれないですね。
「この1週間で91キロぐらいから落ちない感じですね。練習のリズムが変わったからかもしれないです」
──リズムが変わったとは?
「月曜日は昼に筋トレをして、夜のクラスを出る。火曜日は昼にミットを持ってもらって、夜は柔術。水曜日は午前中がオフで、夜はムエタイクラスとレスリングクラス。木曜日はまたウェイトをして、夜は一般の人のMMAマス。金曜日は朝にセラBJJへ行き、夜は選手同士が軽く練習したりしています。そして、土曜日がガチ・スパーリング。寝技のロールやMMAマスはしても、MMAグローブをつけてのスパーリングは週に1回です。それ以外はドリルや、シチュエーションをやっている感じで」
──決してキツキツのスケジュールではないのですね。
「それほどキツキツではない。むしろ、コンディションを整えるという感じです。今回のNY滞在は今後のための練習というのも視野に入れてきたのですが、あと1カ月を切ると試合モードになってきました。やはり初めての環境で、そういう気持ちになってきたので……日本にいるときとは体重の落ち方なんかも違うのかもしれないです」
──オンラ・ンサンとは6月に戦い、最終回にKO負けをしました。そこを踏まえてNYで練習してきたことはあるのでしょうか。
「あの試合はパンチが入り過ぎて、攻撃し過ぎたというのがありました。もっと離れて、守って、見ていたらどうなったのかというのは考えますね。実はあの時も3Rに入る前にセコンドからテイクダウンへ行きましょうと言われていて、でもそこができなくてムキになって殴ったというのはあるので」
──私は正直なところを言うと、ケージサイドで写真を撮っていて初回から長谷川選手が打撃で押しているという印象はそれほどなかったです。✖ンサンにおいて打撃で優勢だったのではなく、それまでの長谷川選手の試合を比較してパンチが当たっていたということではないでしょうか。
「あぁ、思っていたより当てっていたということなんですかね」
──う~ん、これも勝手な私の印象ですが、距離やタイミングで試合を支配していたというのはなく、互いに当たる距離にいた。それはンサンの打撃コーチ、ヘンリー・フーフトの得意な局面でもあったかと。なので当たっている間に組みにいけば良いのにと。
「あぁぁ、その通りかもしれないですね。あの時、僕はパンチが当たっている。相手は顔が腫れてきた。右目の周囲が腫れて潰れてきた。もっと左ストレートが当たるわっていう考えだったんです。そのうち、思いっきり当たるなって」
──自分は日本人選手の試合を見立てるとき、マイナスから入るんですね。そうすると攻勢に出た時、打撃が当たっている長谷川選手と、組みの長谷川選手、どちらに間違いがないかという部分で比較すると組みで攻める長谷川選手になってしまうんです。湿気で汗だらけというはあったのですか。
「次はまさにそうしないといけないですよね。調子が良い間に、自分の得意な展開にもちこむという」
──理想論と結果論であることは理解しているのですが、得意なところで戦う必要はあるかと。それでも、とことん打撃戦をしたのでボーナスの5万ドルを手にできたという見方も成り立ちます。
「いや、金の問題じゃないですからね。やっぱり勝ちたかった。金じゃないという言い方をすると、それはそれでおかしいですけど……勝って5万ドルというのが一番良いですよね」
──長谷川選手自身、ONEで星を落とすことは計算になかったかと思います。
「ハイ、その通りですね」
──ただ、あれから新規契約選手の敗北が続いたことで、ONEのロースターの実力が理解できたというのもあります。
「ンサンも映像で見ていると、そこまで技術的に高い選手だと思っていなかったです。頑丈だから勝っていたのかというのはありました。あの時と今では、ONEの選手に対する認識は全く変わりました。ンサンも僕の試合、そして次のモハメド・カラキ戦を見て単純に強いなと。レスリングもできて、下になっても立ち上がる力もあります。柔術もできます。意外になんでもできるファイターなんだなって今は思います」
──だからこそ、日本で戦う時に一番大切しないといけないと思っているのはどこでしょうか。
「それはもう勝ちに徹することです。勝ちに徹することというのは、僕の持っているモノを総動員して戦うことです。だから殴るし蹴るし、組むし、テイクダウンもして、抑え込む。なるべく自分が攻める時間を多くすることです」
──そういう部分はNYに来て強化できていますか。
「そうですね、少しずつ変化している……させようとしています」
──ズバリNYに来て良かったと思える点はどこでしょうか。
「テイクダウンが日本より入りづらいことですかね。皆、レスリングが強いんです。明らかにレスリングの差はあるので」
──レスリングが強い選手は、裸の柔道も強いのですか。
「そんなことはないです。意外と足技は引っかかったりします。ただ、四つ組みから柔道の足技でテイクダウンを奪うと、もう次からは警戒されます。そうなると、投げづらくなるんです」
<この項、続く>
■ONE90対戦カード
<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
[挑戦者]青木真也(日本)
<ONE世界女子ストロー級(※56・7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]シィォン・ヂィンナン(中国)
[挑戦者]アンジェラ・リー(米国)
<ONE世界ミドル級(※93.0キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者]長谷川賢(日本)
<ONE世界バンタム級(※65.8キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
[挑戦者]ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
<ONEフライ級(※61.2キロ)ワールドGP準々決勝/5分3R>
デメトリウス・ジョンソン(米国)
若松佑弥(日本)
<ONEライト級(※77.1キロ)ワールドGP準々決勝/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
<キック72キロ契約/3分3R>
ヨーセングライ・IWE・フェアテックス(タイ)
アンディ・サワー(オランダ)
<ONEフライ級(※61.2キロ)ワールドGP準々決勝/5分3R>
ダニー・キンガド(フィリピン)
仙三(日本)
<ONEフライ級(※61.2キロ)ワールドGP準々決勝/5分3R>
カイラット・アクメトフ(カザフスタン)
リース・マクラーレン(豪州)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
V.V Mei(日本)
クセニア・ラチコワ(ロシア)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ゲイリー・トノン(米国)
アンソニー・アンゲレン(オランダ)
<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ロッタン・ジットムアンノン(タイ)
ハキーム・ハメック(フランス)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
パニコス・ユーサフ(キプロス)
モハマド・ビン・マフムード(マレーシア)
<キック・フライ級/3分3R>
秋元皓貴(日本)
ヨゼフ・ラシリ(イタリア)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ユン・チャンミン(韓国)
バラ・シェッティー(インド)