【UFC231】新世代フェザー級世界戦、喧嘩上等テクニシャン=ホロウェイ✖倒せるグレイシー柔術=オルテガ
【写真】27歳同士、フェザー級で世代交代を成し遂げたホロウェイとオルテガの世界戦(C)Zuffa LLC/Getty Images
8日(土・現地時間)、カナダはトロントのスコシアバンク・アリーナでUFC231「Holloway vs Ortega」が開催される。メインは大会名にあるようにUFC世界フェザー級選手権試合=王者マックス・ホロウェイ✖ブライアン・オルテガの一戦が組まれている。
ジョゼ・アルド、フランキー・エドガー、チャド・メンデスも絡まない──27歳同士の新世代フェザー級世界戦は本来、7月のUFC226で対戦予定だった。しかしチャンピオン=ホロウェイが脳震盪のような状態が続くという症状で試合を回避せざるをえなくなり、5カ月遅れで実現することとなった。
そのホロウェイに関しては、突然意識を失うことがあるという話も聞かれることがあったが、現在は当然のように問題がないということでオルテガの挑戦を受けることとなった。
ホロウェイは2年前の12月にアンソニー・ペティスにミドルキックを効かせてTKO勝ちを収め暫定王座を獲得すると、昨年7月にアルドを下し正規王者に。昨年12月にはエドガーの代役アルドを返り討ちにし、王座初防衛成功している。
対するヘナー・グレイシーの黒帯オルテガは、2104年7月のUFC初陣をRNCで一本勝ち後に薬物検査で陽性となりノーコンテストに。11カ月後の仕切り直しの一戦以降、オクタゴンで6試合全てでフィニッシュし、通算戦績を14勝0敗としている。新世代対決となったヘナート・モイカノ戦、フェザー級4強時代を築いていたカブ・スワンソンの両者をギロチン・チョークで破ったオルテガは、今年の3月にはエドガーをKOし挑戦権を手にした。
チャンピオンのホロウェイは距離のマネージメントに優れており、MMAの打撃戦レンジ、ボクシングのパンチの距離という両面で、左右両方の構えから相手を倒すことができる。特に前蹴り、後回し蹴り、さらに左右のボディフック&アッパー、組んでのヒザ蹴りと腹を攻めて倒すことに非常に長けているのもホロウェイの強さの一因となっている。
もちろん、腹を効かせてから顔面にターゲットを変えて試合を決める術を持つホロウェイ。上のような特徴を書き記すと、完全なテクニシャンと思われてしまうが、彼の最大の強みはこれだけ技術的に優れておきながら、殴り合い上等という喧嘩ファイトに滅法強い点にある。一流のテクニックを決してひかないで繰り出すのだから当然とはいえるが、足を止めた打ち合いのなかで正確な打撃を繰り出すことができる証だ。
対して、オルテガも近年のボクシングの上達は目を見張るものがある。長いリーチを生かし、ガードが高めで上半身を振るボクシングに近い構えは、ある意味MMA的ではないということができるかもしれない。あれだか小さな構えは、テイクダウンを狙いやすいという印象を対戦相手に与えることになる。
オルテガに倒せるボクシングができるのであれば、なおさらだ。そしてテイクダウンやクリンチを仕掛けられても、それはオルテガが自らの庭に相手を誘う入り口となる。テイクダウンにギロチンを合わせ、凌がれてスクランブルの展開になるとアナコンダでもダースでも仕留めることができるのだから、むしろ誘っているといっても過言でない。
加えてテイクダウンを許したとしても、ガードポジションから身を守ることはグレイシー柔術の黒帯にとっては、まさにお手の物だ。さらにT-Cityの異名をとる三角絞めという必殺技をオルテガは持っている。そればかりか、フィニッシュするためは半分以上のラウンドを落としても、試合タイムを逆算し、仕留める策をヘナーが与えている点も見逃すことはできない。
ただしボクシングの構えのオルテガに対し、ホロウェイが遠いレンジだけでなく接近戦でも上回ることは十分にあり得る。そんな展開になった時、オルテガとヘナーが用意している弾は何なのか、そこも非常に興味深いUFC世界フェザー級選手権試合だ。