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【WEF Global14&Arzalet】吹き荒れるキルギスの洗礼……。遠征組は1勝4敗も藤巻優がライト級王座奪取

WEF Global14&Arzalet【写真】耐え忍び、逆転一本勝ち。見事な王座奪取となった藤巻 (C)MMAPLANET

10日(土・現地時間)にキルギスはビシュケクのスポルトパラス・コズホムクルで開催されたWEF Global14&Arzalet。アルゼルトから出場のブラジル、日本&モンゴル連合の5名の結果は1勝4敗という厳しいモノに終わった。


日本のMMA界が本格的に初めて交流を図ることとなったキルギル=中央アジア+旧ソ連圏での戦いは、対戦相手の強さと競技運営の未熟性という二重苦を跳ね返された。

015人のなかで唯一勝利を手にしたのはWEFライト級王者バジャク・ラキエフに挑んだ藤巻優だった。勢いのあるローやミドル、さらにパワフルなテイクダウンに苦しめられた藤巻は2Rには右ロングを受けてダウンも喫する。

四つ組みからのテイクダウンもことごとく潰された藤巻は、下にされる厳しい局面をケージレスリング&スクランブルで耐える。しかし、この展開にスクランブル出場のラキエフは体力を消耗し4Rに下になった藤巻が一瞬の切り返し腕十字を極めWEFライト級王座を獲得。「日本人もキルギス人も強いです」という言葉に現地のファンが大声援を送った。

02バンタム級王者ディションバイ・バキトベック・ウウルに挑んだROYもテイクダウンに苦しめられ、下から三角絞めなど仕掛けていくが凌がれ疲弊。バックやマウントから幾度なくエスケープに成功していたROYだが、最後はバックを許しRNCで敗れた。

03またソウル在住のモンゴル人ファイター=ROAD FCの人気者ムングントスズ・ナンディンエルデンは、ノンタイトルでヌルガジ・バルタバエフと対戦。テイクダウンと巧みなサンボ流の腕十字、トォーホールドとバルタバエフのサブミッションを凌いだナンディンエルデンは、パウンドを落とし勝利間近というところまでいく。

が──2Rに下からの腕十字を防ぎ、腕を抜く際に気合の声を挙げたことでヴァーバルタップを取られ一本負けに。「僕はプロだよ。ダメならタップする。ヒジも抜けていたので、力を込めた際に声が漏れたんだ」とナンディンエルデンは、不満を露にした。

04そのナンディンエルデンの相棒レンゾリク・バットムンクは、WEFウェルター級王者アルチンベック・ママシェフにチャレンジも2RにバックマウントからRNCに一本負けを喫している。この試合もエルボーの規定をめぐり、セコンドのナンディンエルデンの怒りが爆発させた。当初はグラウンドでは首より上へのヒジ攻撃はないと説明から、後頭部以外はOK、そして打ち下し方など理解の一致に至っていなかった。

05そしてメインではWEFミドル級王者ヌルスルタン・ルジボエフに挑んだマルキーニョス・ソウザが腕十字を仕掛けている際中にブレイクが掛かり、スタンドへ戻される。ここでセコンドの猛抗議が受け入れられ腕十字での再開も、姿勢は変わっておりルジポエフがエスケープ。

06続く三角絞めにもブレイクが掛かりそうになり──それ以前に急所蹴りでインターバルが与えられなかったマルキーニョスはスタミナに続き、気持ちも落ちる。そして3Rにテイクダウン狙いを潰され、マウントを奪われると背中を向けパウンドの猛攻でTKO負けを喫した。

日本や韓国、ブラジルで現代MMAを戦ってきた遠征組に対し、レギュレーションや競技運営が確立していない状況は厳しい。と同時に、そのような中央アジアという土壌では日本では想像もつかないほど武骨で強い、MMAファイターが育っていることが確認できたアルゼルト勢のキルギス遠征でもあった。

なおREAL &アルゼルトの山田重孝代表は大会終了後に、今後の協力体制を強固にするためにWEFのルスラン・キジルミシェフ代表と話し合いの場を設け、マルキーニョスとナンディンエルデンのレフェリングを例に改善を要求。今回のレフェリングに関して、以下のように大会後にコメントを残した。

山田重孝代表
「レフェリーが全く寝技を理解していないことについて話しました。腕十字が入っているのに止めたり、立たせたり、同じポジションで再開も形が変わっていた。ローブローが入り「休ませずにストップか継続か」なんて言われるとマルコス選手はやりますよ。ダメージから回復していなくても。

サッカーの試合に野球の審判が裁いてる様なもの。彼はバットムンンク試合でも後頭部にエルボーを入れられ、反則だとアピールしたところでRNCが入ってもそのまま試合を続行させていました。

ホーム贔屓の裁定ではなく、ルールや技術を理解していないレフェリーの起用はWEFの落ち度です。我々はレフェリーに命を預けている。これでは狼にウサギを預けたようなもので非常に残念です。ルスランCEOには正式な抗議文と動画を提出し、この2試合はノーコンテストを求める次第です」

WEF Global14&アルゼルトの詳細は後日、お届けします。

■WEF Global14&アルゼルト 主な試合結果

<WEFミドル級選手権試合/5分5R>
ヌルスルタン・ルジボエフ(ウズベキスタン)
Def.3R by TKO
マルコス・ソウザ(ブラジル)

<WEFウェルター級選手権試合/5分5R>
アルチンベック・ママシェフ(キルギス)
Def.2R by RNC
レンゾリク・バットムンク(モンゴル)

<WEFバンタム級選手権試合/5分5R>
ディションバイ・バキトベック・ウウル(キルギス)
Def.3R by RNC
ROY(日本)

<WEFフェザー級選手権試合/5分5R>
アブドゥルガジ・ガジエフ(キルギス)
Def.by decision
サンジャル・アジバエフ(キルギス)

<WEFライト級選手権試合/5分5R>
藤巻優(日本)
Def.4R by 腕十字
バジャク・ラキエフ(キルギス)

<73キロ契約/5分3R>
ヌルガジ・バルタバエフ(キルギス)
Def.2R by 腕十字
ムングントスズ・ナンディンエルデン(モンゴル)

<フェザー級/5分3R>
カナット・ケルディベコフ(キルギス)
Def.1R by TKO
ザルフ・カスノフ(ロシア)

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