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【JBJJF】植松直哉審判部長に聞く、審判目線の競技論&競技者目線の強化論─02─「勝負は逃げる方が強い」

Naoya Uematsu【写真】経験と知識、そして度胸も審判に求められる(C)MMAPLANET

日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)、審判部長の植松直哉理事インタビュー後編。

審判目線で競技会における勝ち方、競技者目線で強くなり方。柔術を技術面だけでなく、柔術の特性を捉えることができる氏ならではの言葉とは。
Text by Takao Matsui

<植松直哉インタビューPart.01はコチラから>


――柔術における勝ちパターンの構築ですか。

「自分が現役の時から、今も変わっていないのは、勝負は逃げる方が強いということです。特に柔術は攻めないことに対する反則が比較的に緩い競技なので、その差が顕著に出てきます。ブラジルの選手は、それを理解しているために先取点を取るのがうまいです。

ポイントを取れなくてもアドバンテージ、反則、何でもいいので、先に相手より差をつけます。追いかける立場になると、ミスが多くなることを分かっているからでしょう。

柔道はラスト5秒でも、逆転できる可能性のあるルールですが、柔術は難しいです。もちろん逆転勝ちもありますが、それは珍しいケースです。得点は接戦に見えても、そこが実力差だと思います。日本人は、特に格闘技に於いて一本やKOに拘る傾向がありますので、トーナメントではリスクを排除する戦い方も必要となってきます」

――試合で経験を多く積むということについては、どう考えていますか。

「ケガや集中力、減量とかの問題も出てくるので個人差はありますが、試合で数多くの経験を積むことは、間違いなくアドバンテージになります。うちの嶋田裕太もそうですが、海外で黒帯のトップ選手と試合をすることで、レベルを上げていると思います。

柔術はブレイクの少ない競技ですから、どのような状況に置かれても自力で挽回するしかありません。ピンチやパニックになることもありますので、その時に過去の経験が生きてきます。同じような経験をしておけば、打開できる可能性も高くなりますので、より多く試合の経験を積むのは有利です」

――では、海外のアカデミーで練習することも賛成ということですか。

「勝ち方を知っているトップ選手に技術を学ぶことは、勝利への近道だと思います。成功したパターンを肌で知ることができれば、それだけ時間が短縮できます。ですから私も、できる限り海外で学ぶようにしていました。

また試合でいえば、私がビビアーノ・フェルナンデス選手と対戦する前は、彼らがどのくらいの強さか未知数でしたが、手を合わしてみて一つの指標ができました。その指標をもとに何をすべきか逆算することができるので、ハイレベルの選手と肌を合わせるのは大切だと思います」

――なるほど審判目線、競技者目線が応えて頂き、とても勉強になります。ところでセミナーを5月20日(北海道・中島体育センター)、6月17日(福岡・かすやドーム)に開催すると聞いていますので、どんな内容になるのか楽しみです。

「参加人数と、どのような方が参加してくださるのかで、フレキシビルにしていこうと考えています。今日、離させていただいたような審判目線での技術も紹介できると面白いかもしれませんね。

柔術における地方の活性化、底辺の拡大が目的ですので、道着がない初心者の方でもお気軽に運動できる恰好でご参加いただければ、丁寧に指導いたします。もちろんMMAで使える技、護身術など、どんなオーダーにも対応させていただきますので、この機会にぜひご参加ください」

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