【ONE71】二階級王者ウェンに挑戦する19歳、クリスチャン・リー「これまでの人生が準備になっている」
【写真】1998年6月生まれ、19歳のクリスチャンが二階級同時制覇のマーチン・ウェンに挑む (C)ONE
いよいよ本日、19日(金・現地時間)にシンガポール・カランのシンガポール・インドアスタジアムでONE71「Unstoppable Dreams」が開かれる。
メインのONE世界女子アトム級選手権試合=王者アンジェラ・リー×V.V Mei、青木真也のMMA再起戦など注目カードが並ぶなか、もう一つの世界戦も見逃せない。
アンジェラ・リーの実弟クリスチャンが、キャリア11戦目にしてONEフェザー級の頂点に挑む。チャンピオンのマーチン・ウェンはクリスチャンが過去唯一、敗北を喫した相手でフェザー級とライト級のベルトを保持する。
姉弟が同じ夜に世界戦に挑む、そんな19歳に話を聞くと……恐るべきメンタルが伺い知れる直前インタビューとなった。
──ONE世界フェザー級王座挑戦、キャリア最大のファイトが近づいてきました。今の調子はいかがですか。
「凄く良いよ。今の僕の力なら、十分にチャンピオンになれる自信がある」
──今回はどのような準備をしてきましたか。
「ハワイで10週間のトレーンングキャンプを行い、シンガポールに来てからもハードな練習を続け、実戦の感覚を養っている。自分の力を信じているよ」
──マーチン・ウェンはクリスチャンに唯一黒星を与えた相手です。
「あの時の僕は集中力に欠けていた。凄く感情的な試合をしてしまったんだ。ほんと、心の作り方が未熟だった。でも、今回は違う。経験も積んだし、もっと冷静に戦うことができるはずだ」
──あの敗戦から4連勝、特に朴光哲選手、横田一則選手に勝ったことで、日本のファンはクリスチャンの力を疑う者はいないと思います。
「コーテツ・ボクは元ONE世界ライト級王者で、カズノリ・ヨコタはDEEPのチャンピオンに2度なっている。彼らとの試合は僕のキャリアのなかでも、特に大切な戦いだった。そして、彼らから得た2つの勝利が僕をONEチャンピオンシップだけでなくて、MMAワールドでトップコンテンダーとして認められる要因になったんだ。だから、あの2人に勝てたということは本当に大きいよ」
──と同時にマーチン・ウェンのクリスチャン戦後のステップアップ振りも目覚ましいものがあります。
「バンタム級王座は取れなかったけど、フェザー級とライト級の同時チャンピオンだからね。僕との試合後、マーチンは確かな自信をもって試合に臨んでいる。その自信が、彼の技の切れを良くして、ファイターとしても強くなっているんだと思う。
その結果の2階級同時制覇だよ。マーチン・ウェンは優秀なファイターであることは間違いないよ。でも、僕の方が優れている」
──彼がビビアーノ・フェルナンデスに敗れた試合から、学ぶべきコトはありましたか。
「もちろん。マーチンは爆発力のあるファイターだ。でも、右オーバーハンドが不発に終わると、彼には勝利を手繰り寄せる他の手立てがない」
──常にカウンター狙いで、余りにも待ちすぎていました。
「ビビアーノが距離を取って戦うと、マーチンは自分から相手を攻略できなかったね。とにかく彼は右オーバーハンドに比重を置き過ぎている。そして、我慢できなくなって間違ったタイミングで右を振ってしまうんだ」
──そこで、です。クリスチャンは稀に見るアグレッシブなファイターで、ファンもそこを見たがっています。クリスチャンのスタイルは、マーチン・ウェンにとって戦いやすいものではないでしょうか。
「マーチンは僕がガンガン前に出ることを望んでいるだろうね。そして右オーバーハンドを打てる時を待っている。それは十分に分かっているけど、僕はアグレッシブに攻めるよ」
──オォ。
「ただし、積極的ではあっても無謀なことはしない。しっかりと距離とタイミングを見定めて戦う。当たって砕けろなんて戦いはしないよ」
──今回の大会はアンジェラと共に世界戦を戦います。彼女へのファンの期待をクリスチャンが軽減できると考えていますか。
「う~ん、僕もアンジェラも生まれながらのファイターだから、ファンが期待してくれるんだと思う。無理にエキサイトな試合をしようとプッシュしなくても、十分にファンが喜んでくれる。そういう試合ができるだけのトレーニングを積んできている。だから、プレッシャーなんてないよ。それはアンジェラも同じだろう」
──クリスチャンの試合結果がアンジェラのメンタルに影響を与えることはないでしょうか。
「ある。そこはしっかりと理解している。アンジェラに悪影響を与えない試合をして、結果を残さないといけないという状況が、僕の大きなモチベーションになっているんだ」
──19歳にして、どうすればそれだけの心構えを持つことができるのでしょうか(笑)。
「アハハハハ。これまでの人生の全てが、この試合の準備になっているからだよ。このスポーツを戦い抜くだけの精神的な強さを、子供のころから父に備え付けてもらった。だから19歳にしては、成熟していると思うよ(微笑)」
──クリスチャン、今日はありがとうございました。
「こちらこそ、ありがとう。僕と姉の試合を日本のファンにも楽しみにして欲しい」
■ONE71カード
<ONE世界女子アトム級選手権試合(※52.2キロ)/5分5R>10月
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者]V.V Mei(日本)
<ムエタイ世界フライ級王座決定戦/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
セルジオ・ヴィールセン(オランダ)
<ONE世界フェザー級選手権試合(※70.3キロ)/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)
<キックボクシング72.5 キロ/3分3R>
ヨーセングライ・IWEフェアテックス(タイ)
クリス・ンギンビ(オランダ)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ラスル・ヤキャエフ(ロシア)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ハルン・アトランゲリエフ(ロシア)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
イ・ソンジョン(韓国)
<ムエタイ61.2キロ/3分3R>
シントンノーイ・ポーティラックン(タイ)
ジョゼフ・ラシリ(イタリア)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ミース・メウ(カンボジア)
シエ・チャオ(中国)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
フオン・シハオ(シンガポール)
シエ・ビン(中国)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ロエル・ロサウロ(フィリピン)
ツー・ノット(インドネシア)