【IFL】シーズン開幕はクートゥアー軍×スペーヒー軍
MMAワールドにチーム戦構想を持ち込んだIFL(インターナショナル・ファイト・リーグ)。若干の軌道修正が見られた2008年シーズンが、いよいよ29日(金・現地時間)、ラスベガスのオーリンズ・アリーナで開幕する。
【写真】野武士のような風貌のシュルツ。ライト級のクートゥアーのようなスタイルの持ち主だ (C) Keith Mills
昨年までは球技団体スポーツのように、都市名+チーム名を用い、往年のビッグネームがコーチを務めていたが、今年からは実際に活動を行うジム単位(IFLではキャンプという名称を用いている)で対抗戦が行われることとなった。
「NEW BLOOD,NEW BATTLES」と銘打たれた今大会では、マリオ・スペーヒー率いるワールドクラス・ファイトセンター×エクストリーム・クートゥアー(コーチはランディ・クートゥアーではなく昨年度LAアナコンダスのコーチを務めていたカナダ人のショーン・トンプキンス)、そしてマット・リンドランドが指揮を取るチーム・クエスト×ケン・シャムロックのライオンズ・デンという二つの対抗戦、計6試合が行われる。
チーム・クエストとライオンズ・デンの対抗戦では、ウェルター級戦ジェイク・エレンバーガー(チーム・クエスト)×パット・ハーレー(ライオンズ・デン)以外に、IFL世界ライト級選手権試合ライアン・シュルツ(王者/チーム・クエスト)×ジョン・ガンダーソン(挑戦者/ライオンズ・デン)、IFL世界ヘビー級選手権試合ロイ・ネルソン(王者/ライオンズ・デン)×ファビアーノ・”ペガレヴィ”・シャーナー(挑戦者/チーム・クエスト)という二つの世界タイトルマッチが含まれている。
マイアミに自らのジムを開いた元BTT参謀のマリオ・スペーヒーのチームからは、ラファエル・ディアズ、レオポルド・セラォン、そしてアレッシャンドリ・カカレコが出場、それぞれサンティーノ・デフランコ、ジョシュ・ヘインズ、リュー・ポーリーというエクストリーム・クートゥアーで比較的ネームバリューの低い選手と対戦する。
今大会では、ミドル級選手権試合マット・ホーウィッチ(王者/チーム・クエスト)×ライアン・マクギヴェン戦も行われ、WECばりの世界三大タイトル戦興行となる。
一番の注目点は、やはり世界戦が含まれたチーム・クエストとライオンズ・デンの対戦になるだろう。
早熟の天才クリス・ホロデスキー(本年度はエクストリーム・ランディからIFLに出場する)を下しライト級王者となったライアン・シュルツは、一時期のスランプを乗り越え、鋭いテイクダウン&パウンドが冴えわたり、デビュー当時の危険な雰囲気を取り戻しつつある。ガンダーソンがどこまでシュルツのパワーに対抗できるのか、そこが勝負の鍵となるだろう。
王者ロイ・ネルソンがブラジル人のペガレヴィの挑戦を受けるヘビー級選手権。王座決定戦では同じくブラジル人のアントニオ・ジャウジーをKOで下しているネルソンだが、ペガレヴィもオランダでキック修行を積んだこともあり、打撃はペガレヴィが優位か。重量感だけでなく動きのある試合を望みたい。
ノンタイトルのチーム戦は、パット・ハーレーの兄弟が長期間に渡りジェイク・エレンバーガーのトレーニング・パートナーだったという一種のグラッジマッチ。エレンバーガーは昨年のチーム戦ファイナルでデウソン・ペジシュンボに敗れたが、その後カナダの大会でジョゼ・ランジ・ペレをKOで下しており、実力的に一枚上手とみて間違いないだろう。自然、チーム対抗戦自体もチーム・クエストの有利といえよう。
もう一つの対抗戦は、なぜかルタリーブリ出身ファイターがチームの中心となるワールドクラス・ファイトセンター、ATTを離脱したラファエル・ディアズはフェザー級に転向し、心機一転トップを目指す。
対戦相手のサンティーノ・デフランコも、UFCで活躍するメルヴィン・ギラードを下したこともあるファイター。チーム戦の行方を左右する一番というだけでなく、ヴァグネイ・ファビアーノの持つIFL世界フェザー級戦線をも左右する試合になるだろう。
セラォン、カカレコという元ルタリーブリ・コンビは、グラップリングでは最高の強さを見せる両者だが、打撃が苦手という一面もあり、対戦相手の出方次第で勝負の行方はどちらにでも転ぶことが予想される。
チーム対抗戦に、個人の世界戦を加味した2008年のIFL。ケージファイティングや昨年までのIFLとも一味違ったアメリカンMMAが新たなスタートを切る。
■対戦カードは下記の通り
IFLライト級タイトルマッチ
【王者】ライアン・シュルツ(チーム・クエスト)
vs 【挑戦者】ジョン・ガンダーソン(ライオンズ・デン)、
IFLミドル級タイトルマッチ
【王者】マット・ホーウィッチ(チーム・クエスト)
vs 【挑戦者】ライアン・マクギヴェン
IFLヘビー級タイトルマッチ
【王者】ロイ・ネルソン(ライオンズ・デン)
vs 【挑戦者】ファビアーノ・”ペガレヴィ”・シャーナー(チーム・クエスト)
■チーム・クエスト(コーチ:マット・リンドランド)
vs ライオンズ・デン(コーチ:ケン・シャムロック)
ジェイク・エレンバーガー(チーム・クエスト)
vs パット・ハーレー(ライオンズ・デン)
■ワールドクラス・ファイトセンター(コーチ:マリオ・スペーヒー)
vs エクストリーム・クートゥアー(コーチ:ショーン・トンプキンス)
ラファエル・ディアズ(ワールドクラス・ファイトセンター)
vs サンティーノ・デフランコ(エクストリーム・クートゥアー)
レオポルド・セラォン(ワールドクラス・ファイトセンター)
vs ジョシュ・ヘインズ(エクストリーム・クートゥアー)
アレッシャンドリ・カカレコ(ワールドクラス・ファイトセンター)
vs リュー・ポーリー(エクストリーム・クートゥアー)
■プレリミナリーファイト
イアン・ラブランド vs デニス・デイビス