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【HEAT40】王者対談─01─赤尾セイジ「お前は指導はできない」×春日井たけし「そうやって評判落とす」

Akao & Kasugai【写真】老舗3団体の同級王者と肩を並べるチャンピオンであることは間違いない (C)MMAPLANET

15日(土)、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場イベントホールで開催されたHEAT40。MMAで5階級、キックボクシングで1階級、計6試合の選手権試合が組まれた同大会で春日井たけしがチョ・ナムジンを、赤尾セイジがるHEAT史上、最大のイベントで春日井〝寒天“たけしがキム・ソンギュを倒し、防衛戦に成功した。

NEX、そしてGSBと前所属ジムから10年近い付き合いの両者。各々がそれぞれの将来を夢見て、MMAを向き合ってきた。

そんな旧知の先輩後輩が防衛戦を振り返り、今後について、そして昔話に花を咲かせることに。勝利直後、テンションが高い春日井と諫める赤尾、良き先輩・後輩の間柄が伝わってきた。


HEAT40
<HEATキック・ミドル級選手権試合/3分5R>
○ダニロ・ザノリニ(ブラジル)5R
判定
×リ・ジフン(韓国)
<HEAT総合フライ級選手権試合/5分5R>
○春日井”寒天“たけし(日本)2R4分51秒
RNC
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×チョ・ナムジン(韓国)
<HEAT総合ウェルター級選手権試合/5分5R>
○ソン・ソンワン(韓国)1R0分08秒
TKO
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×ネルソン・カルヴァロ(スイス)
<HEAT総合バンタム級選手権試合/5分5R>
○赤尾セイジ(日本)5R
判定
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×キム・ソンギュ(韓国)
<HEAT総合ヘビー級王座決定戦/5分5R>
○イ・サンス(韓国)5R
判定
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×ボブ・アームストロング(ニュージーランド)
<HEAT総合ライト王座決定戦/5分5R>
○オク・レユン(韓国)5R
判定
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×岸本泰昭(日本)
<キック・ヘビー級/3分3R>
○プリンス・アリ(イラン)2R0分20秒
KO
×カルロス・ブディオ(ブラジル)
<キック・ライト級/3分3R>
○般若HASHIMOTO(日本)4R
判定
×キム・ジンヒョク(韓国)
<ライト級/5分3R>
○ジャック・ベッカー(豪州)1R2分28秒
TKO
×星子STUDY裕介(日本)
<キック・女子57キロ契約/3分3R>
○鈴木万李弥(日本)3R
判定
×ジェニフェル・ファハス(ブラジル)
<ストロー級>
○猪原聖太(日本)2R4分44秒
肩固め
×いちょうSnugkinともなが(日本)
<キック・スーパーヘビー級/3分3R>
○ゴン・ジャンウン(韓国)1R1分51秒
KO
×KENTA(日本)
<NEWAGEキック・ウェルター契約/3分2R>
○安川侑己(日本)2R
判定
×大岩優太(日本)

■赤尾「春日井はホンマに大したヤツ」

──お疲れ様でした。ともにベルトの防衛に成功した赤尾選手と春日井選手です。おめでとうございます。

赤尾 ありがとうございます。いやぁ、でも春日井はホンマに大したヤツですよ。バックを取ればチョ・ナムジンに勝つって信じていましたけど、実際にそうやって勝つことができて。凄いですわ。しかし、チョ・ナムジンは強かった。本当に強かった。

春日井 強かったですねぇ……。今、赤尾さんが言ってくれたように、僕にはもうあのパターンしかない。それは(日沖)発さんにも言われていたんです。バックを取ってもネルソンから極めに行く場合もあるのですが、あそこは足を引きよせてバックをまずキープしようと思いました。

僕自身は打撃を磨いてきたんで、もっと打撃戦がやりたかった。自信もあった。だから打撃でビビらせてやろうって思ったら、一発の目の左を貰った時に「んん? これは止めておこう」って(笑)。ただ、下がらないとは決めていました。パンチもおでこで受けていたし。

赤尾 勝つ形ができている。それが強みですよね。

──初回に一度は落とされた。2Rはバックを取った時、フラシュバックすることはなかったですか。

春日井 怖かったです。腕も足も疲れていたし。ラスト1分になるまで、実は休んでいました。そして残り1分で勝負を掛けました。

赤尾 僕もああいう武器が欲しくて戦っているんですけど、きっとないんでしょうね。僕はなぶり殺しにしていくタイプなので。そうやって、相手の心を折るように戦っていきたいです。

──赤尾選手にはしっかりと上を取ってドミネイトする力があるじゃないですか。

赤尾 そんな風に言ってもらうと嬉しいんですけど、いきなり下になっちゃいましたからね。

──あれは驚かされました(笑)。

赤尾 思ったより腰が重くて、ビックリしました。で、下になった時には『やってもうた』って(笑)。

──そこからスクランブルに持ち込もうとしても、バックについてくるのも上手かったですね。

赤尾 あそこはどういう風についてこられたのか、映像をチェックしないといけないですね。打撃+柔術の選手と思っていたら、レスリングができましたね。それでも竹中(大地)君とかと練習しているおかげで、バックを取られても落ち着いて対処できました。つまり今の韓国で6勝2敗という戦績を残している選手とは、そういうことなんですよね。

テイクダウンも良いタイミングで入ることができたのに跳ね返されて。ちょっと俺の力は弱いんかなって思ってしまいましたね。

──それでも打撃を散らしてという組み方より、多少強引でも思い切り踏み込んでいってからはテイクダウンを取れるようになりました。

赤尾 皆、そうやとは思うのですが、もっと俺やれるはずやのにって感じていました。まぁ、そういう風に思うということは相手が強いということですよね。ただし、5Rにテイクダウンを取られたのは本当に悔しいです。自分からいかないといけないところで、相手にやらせてしまった。あそこは修正しないといけないです。

あれで6勝2敗の相手です。なら、チョ・ナムジンはどれだけかと。韓国の強さを見せられた大会でした。

春日井 韓国人選手たちは勢いが凄かったですね。岸本(泰昭)選手やネルソン(カルヴァロ)に勝った選手も強かったです。僕も初回にテイクダウンは先に取れたのですが、スクランブルでは下にされましたし。初回はチョ・ナムジンの方がポジションで上でした。

でも(志村民雄)館長と発さんがセコンドに就いてくれて、とても心強かったです。2人の声もよく聞こえました。

──私がケージサイドで写真を撮っていると、客席から非常に明確なアドバイスを2人に送る人がいました(笑)。

赤尾 ズーマー(祖根寿麻)ですね。僕が1Rにバック取られている時に、指示を出してくれるズーマーと目が合って(笑)。『あぁ、こうすんのか?』って確認していましたからね。

春日井 ズーマーの声もよく聞こえました。ズーマーは激励賞もくれたんです。意外に的確なことを言ってくれて。

赤尾 あの子はセコンドに就いておって欲しいタイプの人間なんですよね。人のことを考えて、セコンドができるので。指導者に向いていると思います。

春日井 ハイ、ロードFCの時もよくしてもらいました。好きじゃないですけど(笑)。

赤尾 おっ、おいっ!!

春日井 僕と祖根君は格闘家としてタイプが違って、格闘家としては好きじゃないですけど、ああいう面白い人は嫌いじゃないですね。

──また試合後のハイテンションでおかしなことを口にしていませんか。

春日井 なんだろう、好きなのか嫌いなのか。いや、好きとか嫌いじゃなくて……どっちでも良いです(笑)。

──人としては祖根選手の方が真っ当ではないですか?(笑)。

赤尾 そういう見方もできるでしょうね。コイツは指導はできないでしょうから。

春日井 なんで、そんなこと言うんですかッ!! 

赤尾 お前は指導者はできへん。

春日井 そうやって、また僕の評判を落として。いや、本当に最近変わったんですよ。これまで自分勝手にやってきたところはありました。でも、館長とか発さん、家族がいてくれて本当に僕は今、MMAを続けることができているんで。

──ズーマーはそこには入らない(笑)。

春日井 ズーマーにはズーマーの考え方があって、僕には僕の考え方があるんで。どっちが悪くて、どっちが良いじゃなくて。とにかくズーマーには頑張ってほしいです。

赤尾 ハハハ。なんだ、それ(笑)。

春日井 これまで感謝って言葉を軽々しく使っていましたけど、本当の意味が分かってきたような気がします。格闘技は1人でできないです。仲間がいてくれて、戦えることなので。

──ところで今日は2人とも非常に手強いキム・ソンギュ、そしてチョ・ナムジンに勝ちました。ただし、彼らの強さはファンの間にも浸透していない現実があります。

赤尾 なのでRIZINに出たいというのがあったんです。今後どうなるのかですけど、各団体のバンタム級チャンピオンが出場するトーナメントだと僕は思っていたので。きっと、僕にはもうUFCというのはない。現実的な見方をすると厳しい。なら日本人選手と戦って、日本のMMAが盛り上がればという気持ちはあります。

──赤尾選手の良さはケージでこそ発揮されるんじゃないかと。そこは本音です。

赤尾 それは僕もケージの方が戦いやすいですし、ケージがあるから面白いんです。同様に競技者としてはどうかというのもあるのですが、ああいう場所に自分を応援してくれる人を連れて行ってあげたいという気持ちが芽生えてきたんです。

競技者として我儘を通せる年齢や状況でもなくなってきています。ホンマは僕としてはケージで戦い続けている方が良いのでしょうが……。でも、ロードFCとかPXCというところで戦っても、皆が会場に来てもらえない。僕としてはロードとか挑戦したいです、機会があれば。だから、その辺りはどうなるのか、自分でも流れを見たいです。

■春日井「自分もルックス悪くない」

──赤尾選手の抑え込みからバックという流れは立たせてバックを取るのとも違い、凄く興味深いです。

赤尾 いやぁ、繰り返しになりますけど、もっとやれるはずなのに……。

春日井 僕のなかではもう9月にUFCに出るつもりでいます。

──フライ級で佐々木憂流迦選手、井上直樹選手の2人の日本人が決まっていますが……。

春日井 僕はUFCだったらバンタムで良いです。逆にバンタムの方が良いかもしれないです。

赤尾 減量が厳しい?

春日井 いや、もう厳しいです。こんなことしていたら、早死にするなって思いながら、気合で体重を落としました。今回はロードFCの規定と同じで、57.5キロまでOKだったのですがきつかったです。

赤尾 デカなっているもんなぁ。

春日井 9.5キロ戻しました。でも、危ないです。

赤尾 偉そうなこと言うとアレやけど、UFCに行くのが目的やったらアカンと思うんです。行って万歳じゃない。

──UFCは憂流迦選手、井上選手とビジュアルでも映える選手を確保していますからね。

赤尾 若いですしね。2人とも。

春日井 高島さん、良いですか?

──ハイ。

春日井 自分もルックス悪くないと思っています。

──エッ?

春日井 スイマセン、調子に乗っちゃっています(笑)。

<この項、続く

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