【Titan FC44】小さな巨人ホゼ・トーレス「マクレガーの3倍以上のスピードで実戦を積んでいる」
【写真】プロ5戦目で2つ目のベルトを手にしたホゼ・トーレス(C)KEITH MILLS
5月19日のTitan FC44でファカド・シャリポフを破りタイタンFCバンタム級王座に就いたホゼ・トーレス。
米国MMA界では珍しくアマMMAで徹底してキャリアを積み上げ、僅か3戦目でタイタンFC暫定フライ級王座を獲得すると、4戦目で元UFCファイターのペドロ・ノブレを破り王座防衛に成功した。
そして5戦目で北米ナンバーワン・フィーダーショーといっても過言でないタイタンFCで二階級制覇を成し遂げた。身長163センチの小さな巨人は、UFCからのコールを今か今かと待っている。
Text by Keith Mills
――2階級制覇をした今の気持ちは?
「こうなるために自分を追い込んだこともないし、実はバンタム級王者になるということも予定にはなかったんだ。ただ、プロになったときにベルトを取って、この道を究めようとは思ってはいたけどね。
そもそもフライ級の暫定王者になり、正規王者に昇格しペドロ・ノブレを破って初防衛に成功した時に、UFCと契約できるだろうと考えていた。彼らは僕がタイタンFCでもっと大きな事をやってのけるよう望んだ。そうタイタンFCで最も経験豊富やシャリポフに勝ち、2階級制覇うるようなことをね。
そして僕は1Rに拳を折り、左ヒザの内側即不靭帯が断絶しても5連勝を達成した。彼らが臨むような結果を残したんだ。そしてUFCには伝えたよ。これ以上、僕に何を望むんだ? 僕はこれ以上、どうすれば良いんだってね」
──ふむふむ。
「僕はコナー・マクレガーの3倍以上のスピードで実績を積んできた。マクレガーがCWFCのタイトルを2階級制覇したのは14戦目だ。僕は5試合だよ。誰も僕のようなスピードで実績を残してない。だからUFCがこれ以上何かを望むんじゃなくて、僕を欲してほしいよ」
――その負傷を抱えて、残りの4Rと戦っていたと?
「そうだよ。拳は初回に嫌な感触があった。これはやったなって思ったよ。で、自分で叩いてみて折れたことが分かった。ヒザの方は2Rが始まってヒザがスタックして気付いた。それからも殴ったし、ヒザのことは忘れて戦った。とにかく可能な限り、前に出続けたんだ。
ケガをして負けるより、ケガをして勝つ方が良いだろう? とにかくケガをしてしまったんだから、勝利まで逃してたまるもんかと思いながら戦っていたんだ」
――シャリポフも拳を痛めていたらしいね。
「そう。僕の蹴りをブロックした時にね。なんか手首から先がずれているようだった。ミドルが少し低くて、変な形でブロックしたんだよ。まぁ、僕のスネが彼の手を破壊したということさ。
それにしても、あの1Rはダウンも喫したしケガもした。キャリア最悪の5分間だったよ。最初の2分半は自分より大きな相手と戦うことでナーバスになっていた。でも、何も間違ったことはしていない。ガードを掠めて右を打たれた。威力のあるパンチを被弾したからダウンしたにすぎない。
そしてギロチンを仕掛けられた時に、気が付いたんだ。『OK、僕はまだ戦っている』って(笑)。何も初めてのダウンじゃないし、それが大きく影響することはなかったよ。ギロチンも極まらないのに全力で仕留めに来たから、彼が疲れるのも分かった。だからあのギロチンを脱した後は、ラウンドを8-10でなく9-10で落とすよう戦ったんだ。
そしてシャリポフは思っていた以上に良いボクサーだったから、2R移行は徹底的にプレッシャーを与えながら戦うこといしたんだ」
――5Rはおろか3Rを戦うのも初めての経験だった。そして常に前に出続けたね。
「僕のファイトに後退という文字はない。常に前進だ。でも疲れはなかったし、5Rを戦えて良かったよ。UFCへ行き、マイティ・マウスと戦う一戦が初めての5Rマッチにならずに済んだからね。ただね、あれだけの試合をしたのにUFCからは、まだ声が掛からない。一体、これ以上どうすれば良い?」
――UFCと契約の有無を置いておいて、フライ級のベルトは返上するのかい?
「フライ級が僕の階級だ。減量も厳しくない。体重が思うように落ちなくなった時はバンタム級に階級を上げるよ。UFCから声が掛からなければ、しっかりとリカバリーに時間を当てて、9月にフライ級王座の防衛戦を行う。とにかくUFCから連絡があるまでフライ級、バンタム級を行ったり来たりして防衛し続けるんだ」
――UFCは君の練習パートナーのTJ・ディラショーとの対戦をDJが受けなければ、フライ級の活動をストップする可能性があるけど。
「何も僕のキャリアに影響を及ぼすとは考えていない。ダナ・ホワイトは感情的になっていたんだよ。まぁ大人気なかったのと同様に、彼がフライ級をどのように思っているのかも示してしまったけどね。
仮にUFCがフライ級を無くすのなら、僕は体を大きくしてバンタム級で戦う。WECですらフライ級はなかった。フライ級を無くすならそれはそれだ。でも本気じゃなかったはずだよ。
TJとDJが戦うのは良い話さ。でも、TJはちゃんと体重を落とせることを示さなければならない。TJはDJよりもフィニッシュ力がある。そして、DJにとってはドミニクと戦った時のようにTJは少し大き過ぎる。DJには楽な試合にはならない。TJが体重を落とせるなら、かなり勝ち目のある戦いだ。
TJがフライ級で戦うようになれば、フライ級という階級のためにも素晴らしいことだ。どうなるのか楽しみだよ」
──TJの参入によってフライ級が盛り上がるとしても、そうなると君の対戦相手になる可能性もでてくるわけだよね。
「彼は僕にとって師匠でもあり、友人でもある。ただし、TJとの試合が組まれたら、仕事として受けるよ。僕には自分のチームであるコンバット・ドーがあり、フライ級やバンタム級の選手たちと十分に質の高い練習を積むことができているからね。ただし、TJと戦うならベルトが掛かった試合だよ」
――それにしてもタイタンFCでは、ホゼの相手が見当たらないね。
「僕のタイトルを狙ってタイタンFCに来るなら、せめて1試合は戦ってから挑戦すべきだ。この体重で戦えることを示さないと。チャレンジャー決定戦で勝った人間が、僕にチャレンジすれば良い。だいたい、僕はタイタンでシャリポフとノブレという2人のベストファイターを倒している。特にシャリポフはBellatorやUFCベテランに勝ってきた経験豊富なファイターなんだよ。
これから記録を6勝0敗、7勝0敗とするだけの相手と戦っても、僕はUFCへ行くために絶対に敗北は許されない。そんなファイトはルーズ・ルーズだ。何も特がない。
もし、シャリポフのような経験を持つファイターに負ければしょうがない。そういう試合はウィン・ウィンなんだよ。もうUFCが喜ぶ試合しかしたくない。UFCから声が掛かるまで、挑戦者決定戦を勝ち上がった相手とファンのために戦う。ただ、勝ち星を増やすためだけに低いレベルのヤツらとは戦いたくないんだ」