【Titan FC44】ノールールを落とし込むトーレス、アマMMA世界一からプロ5戦目の2階級制覇へ
【写真】1992年8月生まれのホゼ・トーレス。プロデビューは23歳と、この年齢だけ見るとキャリは少ないと感じらえるのだが、その実は……。(C)KEITH MILLS
19日(金・現地時間)、フロリダ州ペンブロークパインズのペンブロークパインズ・シティセンターで開催されるTitan FC44「Torres vs Sharipov」。
Titan FCフライ級王者のホゼ・トーレスが、バンタム級王者のファカド・シャリポフに挑む一戦──でありながら、大会名の先にトーレスの名前が来ている。この事例一つとっても、タイタンFCのトーレスへの力の入れようが分かるというモノ。
IMMAF、つまりアマチュアMMAの世界王座を2014年と2015年の2度に渡り獲得し、タイタンFCと契約。3戦目でフライ級暫定王座を獲得し、4戦目は正規王者となって元UFCファイターのペドロ・ノブレは初回KOで下している。プロ戦績こそ4勝0敗だが、パウンドが認められたアマMMAで25勝1敗という戦績を持つトーレス。そのキャリアの積み方は、米国MMA界の一つの潮流を生み出すことが考えられる。
米国では日本で思われている以上にアマMMAの試合数、大会数は多い。なぜか、プロ大会となると各州のアスレチック・コミッションやボクシング・コミッションなどの認定料が定められており、この出費がかさむケースが少なくない。これがアマ大会となると、コミッションもサンクションフィーを低めに設定しており、ファイトマネーもないことで、チケット代が割安──という興行の一環としてアマ大会を開くプロモーターは少なくない。
こうなると米国といえども、UFCを除く殆どのイベントがカジノなどの誘致、TV製作費でイベント費用が捻出されなお場合は、出場選手の手売りチケットを頼りとしている。ファイターの友人たちも、知人の応援が主目的ならプロだろうが、アマだろうがチケットが安価な方が助かる。
アマからプロへ──というステップアップ方法ではなく、このような背景があってアマイベントは増えている。トーレスの中西部のアメリカン・プレデター・ファイティング・チャレンジ、ファイトガード、ファイター・ソースというアマ大会でキャリアを積んで、IMMAFで世界を取っている。
4歳で松濤館空手を始め、13歳からレスリングに勤しんだトーレスは、16歳でもともとジークンドーなどのトラディショナル・マーシャルアーツやストリート・ファイトを想定したシカゴの名門コンバットドーに入門。ルール無き戦いの術を収め、MMAに落とし込んできた。現在ではジャクソン&ウィンクルジョンMMAなど打稽古も盛んに行い、TJ・ディラショーに見初められてスパーリング・パートナーに抜擢されるほど、キャリアに似つかわしくない実力者として認められている。
彼自身、「キャリア5戦の相手と戦うようなリスクをおかして戦う選手はUFCにはいない。だからUFCと契約できない」とあくまでも強気な姿勢を崩さない。そんなトーレスが5戦目で選択した2階級制覇への道。チャンピオンのシャリポフはキルギス人だが、長らく米国に拠点を置き、所属先もグレイシーバッハ・オーランドというご当地ファイター。
キャリア17勝4敗で既にBellatorなどメジャーも経験している。スイッチヒッターで、迎え撃っての左フックは豪快かつ巧みで、打撃戦のなかでのテイクダウンにも強い。さらにグレイシーバッハ所属らしい柔術的なポジションの奪取と、レスリングを融合させたがぶりからトランジッションも、シャリポフの強味だ。
トーレスがそんな自力のあるシャリポフと長めの勝負になった時、どのような試合の組み立てができるか。トーレスはコンバットドー在籍らしく、閃き系のような見事な受け、相手を誘い込むことができるインサイドワークを持つ。自ら前に出て、相手に打たせてカウンターが取れる──24歳、プロキャリア4戦のトーレスがベテランとのタイトル戦を今後へのステップとするか、それとも初めて足踏みを経験するのか。米国MMA界の現状が見られるタイトル戦といえるだろう。
■ Titan FC44対戦カード
<Titan FCバンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ファカド・シャリポフ(キルギス)
[挑戦者]ホゼ・トーレス(米国)
<Titan FC暫定ライト級王座決定戦/5分5R>
JZ・カバウカンチ(ブラジル)
カート・ホロボウ(米国)
<バンタム級/5分3R>
グレイドソン・デジーザス(米国)
エディル・テリー(ベネズエラ)
<ウェルター級/5分3R>
マーク・スティーブンス(米国)
ロバート・ターンクエスト(米国)
<フライ級/5分3R>
ホルヘ・カルボ・マルチン(コスタリカ)
ブルーノ・メスキータ(ブラジル)
<ライトヘビー級/5分3R>
マイケル・ロンバルド(米国)
ロレンゾ・ハント(米国)
<ミドル級/5分3R>
ウィリアム・スタークス(米国)
マイケル・コーラ(米国)
<フライ級/5分3R>
グスタボ・バラルト(キューバ)
ジュアン・ペラルタ(米国)
<ライト級/5分3R>
デマルケス・ジョンソン(米国)
パウロ・シウバ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ホニルド・アウグスト(ブラジル)
ダン・イゲ(米国)