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【Grachan29】新フェザー級王者・阪本洋平─01─「高谷さんと戦えるならファイトマネーはいらない」

Yohei Sakamoto【写真】只ならぬ雰囲気を醸し出している阪本(C)MMAPLANET

14日(日)、東京都江東区のディファ有明で開催されたGrachan29で大澤茂樹からKO勝ちを収め、Grachanフェザー級王座に輝いた阪本洋平。


普段の練習から試合と同じテンションで取り組み、強くなることを追い求めてきた日本MMA界の鬼才が、ついに同イベント内で目標とする到達点に辿り着いた。

全て、高谷裕之との戦を実現するため。そんな阪本は、衝撃的なKO勝ちも全く内容に満足していなかった。

──ケージ際の組みの攻防のなかでのパンチでKO勝ち、かなりインパクトを残せた勝利となりました。

「いやぁ……正直、今日も1割ぐらいしか力を出せなかったです。初回もパンチを振り回しているだけやし。パンチ力だけで勝ったような……。グラウンドも試合になるといつもあんな調子で……。いや、練習だともっと動けるんですよ。でも試合になるとスタミナとか気にして動けない感じで……あんな風になってしまって。テイクダウンされても、立つまで時間が掛かったし。本来なら普通に上を取れるはずなんです。

パンチも練習とは全く違う打ち方になっているし。まるで、良くない試合でした。これまでの試合と同じで、体の強さだけで勝ったようなもんです。それがまた、僕らしい試合なんですけど……」

Sakamoto vs Osawa──ケージを背負った大澤選手を相手に、あの距離でパンチで一気に効かせてのフィニッシュは、そうそう見られるモノではないと思います。

「普段からの練習で培ってきたもので、どの角度からでも倒せる自信はあるんですけど、それでも練習でやっていることは出ていないです。う~ん、今回は体調を凄く崩してしまっていて……1週間前まで歩くのがやっとで……」

──それはまさかのオーバーワークによるモノですか。

「ハイ。練習し過ぎで、自律神経失調症みたいになって吐き気が止らなくなってしまったんです。試合の3週間前からもう動けなくて。ようやく最後の週の月曜日から岩瀬(茂俊)さんとスパーリングをしていたぐらいです。そこも全く体力もなくて……。

だから試合でも体調が悪いから、疲れたらどうしようっていうことで動きをセーブしてしまっていました。このまま抑え込まれても、どこかでパンチを当てることができるやろうとか……そんな弱気な考えを持ってしまって。

格闘家として川尻(達也)さんとや、岩瀬さんのように一流やと思えないです。特にメンタル面は。ただ練習量が多くて一発の出力があるから勝てたようなもので」

──そのメンタル面の弱さを克服するための格闘技でもあるわけですよね。

「普段からそこを意識してやっているわけですけどね(笑)。でも本番になると……出力に頼ってしまう。それが欠点なのか、逆に良い結果を出すことになっているのか、もう分からなくなってきました。でも、やっぱり普段の練習で出せる動きができないので、試合内容には満足できないです」

──Grachanの中で一番の強豪と目していた大澤選手にKO勝ちしたという事実に関しては、どのように捉えていますか。

「僕の場合、ベルトとか肩書きに興味がないので大澤選手と戦うことだけに興味があったんです。去年、試合をした宇良(健吾)選手以上に実績のある……修斗で宇野薫選手にKO勝ちしているという実績を残している選手だったので。そこだけですよね」

──そして以前から対戦を熱望していた高谷裕之選手の名をケージで口にすることができました。

「ファイターとして経験してきたモノ、見てきたモノを含めて、高谷選手以上に戦いたい選手が見当たらないんです」

──同時に防衛戦は戦うということも言っていましたが。

「それは約束したことなんで。でも、防衛戦よりも先に高谷選手と戦いたいです。場所も問いませんし、ファイトマネーだって必要ないです。ただ、お客さんの前でやらないと、真剣勝負にならないんで、100人でお200人でも良いので、人前で試合をしたいです。それが可能なら、どこの大会でもどこの会場でも構わないです」

──なぜ、ずっと高谷選手との試合に拘りを持っているのですか。

「僕は19歳、20歳ぐらいの時から高谷さんの試合を見ていて一番凄くて、ファイトスタイルが好きな選手でした。何より自分にとって一番怖い選手なんです。終着地点として、向かい合ってみたいんです」

<この項、続く>

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