【UFC FOX22】エディ・ワインランドと対戦する水垣偉弥<02>「結局、格闘技は勝たないとしょうがない」
【写真】深刻な問題にも淡々、いや飄々とした雰囲気を持つ水垣。絶妙のバランス感覚を持ち、全てを俯瞰して見ることができる彼の強味だ (C) MMAPLANET
17日(土・現地時間)、カリフォルニア州サクラメントのゴールデン1センターで開催されるUFC on FOX 22「VanZant vs Waterson」でエディ・ワインランドと対戦する水垣偉弥インタビュー後編。
試合前のドクターチェックで、突如この試合を最後にケージを去る可能性が出てきたことを告白した水垣。その衝撃を受けとめ、ガーブラント戦に必勝の覚悟で挑む。
そして今大会は北米軽量級のパイオニア、ユライア・フェイバーの引退試合が行われ、年末にはバンタム級世界戦ドミニク・クルーズ×コディー・ガーブラント戦が組まれている。
2008年から世界を舞台で戦い続けてきた水垣にとってユライアとは、そして拳を交えた両者の世界戦についても尋ねた。
そうならないことを願いつつ、現役最後になるかもしれない水垣の声を届けたい。
<水垣偉弥インタビューPart.01はコチラから>
──それだけの覚悟を持って戦う相手がエディ・ワインランドです。
「リーチがあって、意外とステップをよく踏んでいますね。パンチとテイクダウンディフェンスが巧い。蹴りも上手いですけど、その数はどんどん減っています。ヘナン・バラォンに負けてから、ステップが増えていますね」
──テイクダウンする方も決して弱くないように感じました。
「実績はどこまでか分からないですが、ベースは一応レスリングなんですよね。でも、ワインランドの方からテイクダウンを仕掛けるシーンは少ないです。切る、防ぐ能力が高いですね。
このところ僕自身の思い切って戦うという気持ちが、勝ち急ぐ方向に出てしまっているので、そこは気をつけないといけないです。
攻め急いで勝てる相手はUFCにはほとんどいないですから。思い切っていきたい気持ちをどのようにコントロールするのか。焦らないで、自分を抑えて戦う必要があります」
──最近のUFCはタイトル戦やそこに近い試合以外は打撃×打撃、組み技×組み技で得意なところを出し合うことを狙い、良さを消すというマッチアップが少なくなっているかと思います。
「その傾向はありますね。ただ、打撃系同士だから打ち合いになるとは限らない(笑)。より慎重になることも少なくないからですね」
──そこがMMAの奥が深いところですね。そして今大会はユライア・フェイバーの引退試合が行われます。
「ユライアがいたから、今の軽量級があると思います。その選手の最後の舞台に一緒に立てるのは個人的に嬉しいです。僕自身、WECを目指したのはジェンス・パルバーとユライアの試合を見て『軽量級でもこんなステージがあるんだ』って、物凄く憧れたからなんです。
そういう選手の引退試合がある大会に出ることができるのは光栄だし、エディ・ワインランドを倒してユライアの最後の雄姿を堪能したいと思います。
そして脇役の僕はひっそりと引退していこうかと(笑)」
──また、そういう風にお茶らける(苦笑)。
「いや、そういう可能性があるということです(微笑)」
──八景ジムの渡辺会長は今回の件については、どのようなことを言われていたのですか。
「会長からは『医者がダメだというなら、辞めなさい』と言われました。僕もそうですが、会長も予想外過ぎて『OKが出ても、何がOKか分からない』とも言っていました。
いずれにせよ、僕の体調に問題なくて戦い続けることができても、ここで負けると戦う場所が無くなってしまう。だから次につなげる勝利が必要です」
──……。しかし、そのユライアの最後の試合が地元サクラメントで開催されるのにメインイベントでないのもUFCらしいシビアさですね。
「それユライアは5Rが嫌だったんじゃないですか?」
──あっ、なるほど。さすがの読みですね。
「僕もなんでユライアがメインじゃないんだろうって不思議に思ったんです。で、ユライアはもう5Rはきつくて、3Rしか戦いたくないんだろうって。5Rばかり戦っているので、そのキツさを分っているでしょうし、現在のコンディションと照らし合わせて、最後は3Rで思い切りやり切るということだったと思います」
──そんななかバンタム級の頂点を争う世界戦、ドミニク・クルーズ×コディー・ガーブラント戦が30日に行われます。両者と戦った水垣選手の予想を聞かせてください。
「テイクダウンが肝になってくるでしょうね。ガーブラントがバンバン取られると厳しくなるし、5Rをフルに戦うような展開になってもそれはドミニクの試合だと思います。
ガーブラントが勝つには3Rまでにダウンを1度や2度取っておく必要があるかと。つまり6-4……、7-3ぐらいでドミニクが有利だと予想します」
──過去、感じたことのない威力と評したガーブラントのパンチ力をもってしても、ですか。
「あのドミニクに対して、その強打が当たるのかってことですね。僕自身は全くドミニクにはパンチが当たる気がしなかったです。だからこそ、あのステップとテイクダウンにどこまで対応できるのか。組みで圧倒されると、パンチは当たらなくなると思います。
何よりあの動きに対応できても、当てるチャンスは少ない。その少ないチャンスを逃さなければガーブラントの勝機が広がるかと思います。
まぁ、人様の試合を偉そうに話すんじゃなくて、自分がしっかり勝てよということなんですけど(笑)」
──ハハハ。
「僕の試合はもうやるだけです。全力でやるだけ。第三者でいる方が冷静になれますからね。人の試合は技術だけで見て、自分の試合はメンタルが基準になるので」
──なるほど。では、ファンへ決意の一言お願いします。
「いつも似たようなことを言っていると思うのですが、いつもにも増して最後かもしれないという気持ちが強いので……。でも、結局のところ格闘技は勝たないとしょうがない。勝利を目指すという姿勢は変わらないですし、最後になろうが、このまま続けることができようが、どっちになっても勝利に向かって全力でやる。その姿を見てほしいです」
■UFC FOX 22対戦カード
<女子ストロー級/5分5R>
ペイジ・ヴァンザント(米国/8位)
ミッシェレ・ウォーターソン(米国/12位)
<ウェルター級/5分3R>
セイジ・ノースカット(米国)
ミッキー・ガウ(米国)
<バンタム級/5分3R>
ユライア・フェイバー(米国/7位)
ブラッド・ピケット(英国)
<ウェルター級/5分3R>
アラン・ジョバーン(米国)
マイク・ペリー(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ポール・クレイグ(英国)
エンリケ・フランケンシュタイン・シウバ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
コール・ミラー(米国)
廣田瑞人(日本)
<ウェルター級/5分3R>
ブライアン・バルベレナ(米国)
コルビー・コビントン(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ジェイムス・ムンタスリ(米国)
アレックス・モロノ(米国)
<ライト級/5分3R>
ジョシュ・エメット(米国)
スコット:ホルツマン(米国)
<女子バンタム級/5分3R>
レスリー・スミス(米国)
アイリーン・アルダナ(メキシコ)
<バンタム級/5分3R>
エディ・ワインランド(米国/13位)
水垣偉弥(日本/14位)
<フライ級/5分3R>
フレディー・セラーノ(コロンビア)
ヘクター・サンドヴァル(メキシコ)
<ウェルター級/5分3R>
スルタン・アリエフ (ロシア)
ボヤン・ベリチコビッチ(セルビア)