【UFC202】プレリミ・メインも見逃せない、逆転BJJのマグニー×スイッチ&ケンポーのラーキン
20日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催するUFC202「Diaz vs McGregor 2」。同大会のプレリミメインの最近のPPVイベントに倣って、非常に興味深いカードが用意された。
それがウェルター級の実力者対決=ニール・マグニー×ロレンツ・ラーキン戦だ。マグニーはキャリア18勝4敗で、UFC戦績は11勝3敗。その間に7連勝も記録している。ここ最近もエリック・シウバ戦、ケルビン・ガステラム戦でスプリット判定勝ちをし、3月のヘクター・ロンバード戦はとてつもない逆転勝利を収めている。
イリミネーションマッチでアジア&太平洋トップのフランク・カマチョを下し、TUF16に出演を決めたマグニーだが、意外にもTUFの歴史にあってもかなり低調だった同シーズンのセミファイナルでマイク・リッチに腕十字を極められて敗れている。
オクタゴン・デビュー後も1勝2敗と当初の戦績は篩わなかったが、2014年に代役出場&スクランブル発進を含め、1年間で5勝を挙げUFC首脳の信用を勝ち取った。特筆すべきはロンバード戦や、2015年5月のイム・ヒョンギュ戦で見せた逆転勝利。それを可能にしているのが、長い手足を利したブラジリアン柔術の技術といえる。
打撃を被弾しダウンの後は、現代MMAの特色としてスクランブルに持ち込んで立ち上がるという展開が多いなか、マグニーの特徴はそこを踏まえつつ防御のためのガードワークが取れることにある。
明らかにダメージが残った状態で背中を預けて立ち上がり、後方からのパンチやバックマウント&RNCで敗れるというのが現代MMAの一つのパターンだが、マグニーはクローズドやハーフで固め、打撃を受けない。判定では不利かもしれないが、既にダウンを喫しており、ここを捨てに掛かって息を整えるという選択ができる。そして、上体を起こしてスクランブルに持ち込む。
ロンバード戦など、相手の大失速もあっての逆転劇だったが、やはりあの粘りを目にするとラーキンも仕上げ時というものに慎重になるに違いない。また、粘るだけなら判定で勝てないが、逆転に結びつけるのも彼の柔術だ。なかでもガードから三角絞めを仕掛け、そのままスイープに持ち込む動きを得意としている。
トップを取るとパスからマウント狙い、ここからパンチでTKOか流れに任せてRNCという必殺パターンを持つ。対して、ラーキンはキャリア9連勝でStrikeforceと契約を結び、ロビー・ローラー戦の判定勝ちも含め、4勝1NC=キャリア13連勝でUFCへ。しかし、初っ端のフランソワ・カルモン戦で躓くと、5試合で1勝4敗と厳しい戦いが続いた。
ここでウェルター級に転向を決意したラーキンは、その後は3勝1敗とかつての動きを取り戻している。この両者の対戦はズバリ、フィジカル×スピードの一戦となろう。ただし、そのフィジカルとはパワーでなく、勝敗の鍵を握るのは190センチ&リーチが200センチというマグニーの体格と、ラーキンの速さになる。
両者ともスイッチヒッターだが、ラーキンはオーソで前足を自在に蹴ることができるのが武器だ。ローやミドルで攪乱し、軸足を代えての右ミドルがダメージを与える。ただし、マグニーに組まれてケージに押し込まれたり、首相撲で捉えられヒザ攻撃を受けると削られて、スピードという武器を失ってしまうに違いない。その一方で逆転勝ちのイメージが強いマグニーだが、つまりは最初は攻撃を受けることが多いのも事実。
スピードに乗った蹴りからアメリカン・ケンポーがベースの独特のパンチを入れ──勝負時に見誤らず、適正な距離を保つことができると、ラーキン勝利の目は増える。ラーキンの踏み込みと、待ち受けるマグニー。試合が動き出すとピンチに陥ろうが、マグニーのペース。ラーキンとしては、噛み合わない試合を15分間続けたい。
■UFC202 対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
ネイト・ディアス(米国/※ライト級4位)
コナー・マクレガー(アイルランド/※フェザー級王者)
<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・ジョンソン(米国/1位)
グローバー・テイシェイラ(ブラジル/2位)
<ウェルター級/5分3R>
ドナルド・セラーニ(米国/※ライト級6位)
リック・ストーリー(米国/9位)
<ウェルター級/5分3R>
イム・ヒュンギュ(韓国)
マイク・ペリー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
サバウ・ホマシ(米国)
ティム・ミーンズ(米国)
<バンタム級/5分3R>
コディー・ガーブラント(米国/8位)
水垣偉弥(日本/11位)
<女子バンタム級/5分3R>
ラケル・ペニントン(米国/8位)
エリザベス・フィリップス(米国)
<フェザー級/5分3R>
クリス・アヴィラ(米国)
アルテム・ロボフ(ロシア)
<女子ストロー級/5分3R>
コートニー・ケイシー(米国)
ランダ・マルコス(カナダ/13位)
<ウェルター級/5分3R>
ロレンツ・ラーキン(米国)
ニール・マグニー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
コルビー・コビントン(米国)
マックス・グリフィン(米国)
<ウェルター級/5分3R>
アルベウト・ウダ(ブラジル)
マーヴィン・ヴェットーリ(イタリア)