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【Pan BJJ】2016年のパン柔術の頂点は、またもロを下したファリアが就く。どうなる6月の世界大会?!

Open podium【写真】階級別を欠場し、無差別決勝に掛けたファリアがロを返り討ちにし無差別級を制した(C)IBJJF

3月17日(木・現地時間)から20日(日・同)にかけて、米国カリフォルニア州アーヴァインのブレン・イベントセンターにてIBJJF主催のブラジリアン柔術パン選手権が行われた。世界選手権への前哨戦として、多くの強豪が顔を揃えたこの大会の男子アダルト黒帯の部レポート。最終回はパン柔術最強を決める戦い──無差別級の決勝の模様をお伝えしたい。

<無差別級決勝戦/10分1R>
ベルナウド・ファリア(ブラジル)
Def. by 袖車
レアンドロ・ロ(ブラジル)

去年もパン大会と世界大会の無差別級で実現したこの顔合わせが、本大会最終試合で実現。あのロが、二度までもファリア必殺のオーバーアンダーパスを防げず、続く極めに屈したことに驚かされた者も多かったはずだ。この日、ロがミディアムヘビー級の部で見事に優勝したのに対して、ファリアはあえて階級別には出場せず、このロとの無差別級一本に的を絞っている。

試合開始すぐに引き込んだロは、ファリアの袖を掴んでのオープンガードを見せる。対するファリアの狙いは誰の目にも明らか──低く体重をかけて噛み付いてのオーバーアンダーパスだ。低い体勢で、ロの左足に右腕を巻き付けて、それを超えようとするファリアと、懸命にスティッフアームで距離を取ろうとするロの攻防だ。

ロはときに半身になってファリアのプレッシャーをかわすが、ファリアも仕切り直しで噛み付いて、上半身でプレッシャーをかけつつロの左足を押し下げにかかる。じわじわと体を進めてゆくファリアは、とうとうロの左足を自らの両足に挟むところまで侵入。しかしロはそれでも距離を取って足を抜いてみせた。それにしてもここまで、あまりにもその狙いが明白なファリアの攻撃に対し、あのロがまったく反撃の体勢を作れずに防戦を余儀なくされているという事実には声を失うほかない。

ファリアの狙いはまったく変わらず、再び噛み付いてロの左足を押し下げに。試合開始後ずっとファリアの強烈なプレッシャーをスティッフアームで耐えかわし続けて来たロは、ファリアの襟を掴んで押し戻そうとするが、その道着がはだけかけてきたこともあり、ファリアの上半身の深い侵入を許してしまうことに。やがてその巨大な肩をロの胸元まで進めたファリアは、押し下げたロの左足を大きくステップオーバー。残り5分50秒のところで、難攻不落を誇るロのガードがついに陥落した。

パスガードを防ぐために逃げようとしたロに対し、ファリアはすかさず上からバックに。その後いったんレフェリーによる中断が入ったが、やがて両足フックを入れたファリアは、ロの体を完全に伸ばし切る。最後はバックからのエゼキエルチョーク(袖車)。残り5分以上を残して、ファリアが怪物ロに圧勝したのだった。

なんと去年から3度までも、ファリアの必殺パターンを防げずに屈してしまったロ──失意のあまりしばらく頭を垂れてマットに座り込んでしまうことに。天才にして怪物のロですら超えられない勝負の残酷さを、改めて教えてくれるシーンとなった。

しかし考えてみると、勝者ファリアもまた、一昨年までは重量級の怪物ホドウフォ・ヴィエイラ(GFチーム)にどうしても勝てずに同じように悲しみにくれていたものだ。そしてそのヴィエイラは、ブシェシャことマーカス・アルメイダ(チェックマット)の壁に何度も屈して世界最強の座を逃し続けていたのだった。そんな残酷さが連鎖するこの世界だからこそ、人は魅了される。

今年の柔術家世界一決定戦=世界柔術無差別級には、ヴィエイラとアルメイダの2人は戻って来るのだろうか。対して、去年から驚異的な強さを誇る現世界一のファリアはどのような戦いを見せるのか。ロや奇才キーナン・コーネリアス(アトス)がそこにどう絡んでくるのか。6月が待ち切れない。

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