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【Bellator146】マヌーフ戦を前に加藤久輝 「フランスの皆が少しでも喜ぶことができる試合を」

Hisaki Kato【写真】空道の道着とMMAグローブ、気合を新たにマヌーフ戦に臨む加藤(C)INFY

20日(金・現地時間)、オクラホマ州タッカービルのウィンスター・ワールドカジノで開催されるBellator146「Kato vs Manhoef」に日本から加藤久輝が出場し、メルヴィン・マヌーフと対戦する。
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6月のジョー・シリング戦、ハンドポールパンチで衝撃的なKO勝ちデビューを飾った加藤。2度目のベラトール出場、試合直前に故郷を襲った悲劇を乗り越え、さらなる強豪マヌーフ戦に挑む心境を語ってもらった。

──まず13日に加藤選手が生まれ育った、そして今回もトレーニング・キャンプを行なったパリで同時多発テロが起こってしまいました。渡米などに影響はでなかったですか。

「僕はちょうどパリを出たばかりで、乗り換えのNYの空港で今回のテロが起こったことを知りました。ニュースを見ているとキャンプ期間中に自分が宿泊していた地域をテロリスト2人が襲ったこと、僕が練習している街も襲撃されたことが分かったんです」

──エッ……。

「最初は信じられなかったです」

──加藤選手がパリにいる時は、平穏そのものだったのですか。

「いえ、今年の1月に風刺新聞社のシャルリー・エブド社が襲撃されるテロがありました。警察官も含め12人もの方々が亡くなられて、ナショナルセキュリティの治安警戒レベルが引き上げられていました。今回の同じ地区でテロが起こってしまったのですが、至るところに銃を構えた治安部隊の姿が見られ、普段よりはピリピリした様子にはなっていたんです。それは前回の試合前のキャンプの時も感じていたことです。

ユダヤ人教会……シナゴーグなんて治安部隊だらけでしたし。テロリストがいても、自爆できないようになど、色々と対策はしていたと思います。だけど、攻撃されたらお手上げだろうなという気持ちもありました。基本、治安部隊は2人でパトロールしています。

で、8人のテロリストがカラシニコフを打ちまくるのだから、やはり市民を守ることは難しかった。もう、そこでの生死はこうはいっては亡くなった方々に失礼なのですが、運の問題という想いは僕らのなかにもありました」

──このような悲劇が起こってしまった直後の試合となります。

「まずは皆の安否を確認し、家族と友人たちの無事を確認しました。色々な気持ちがありますが、自分ができるのは試合をすることだけなので。試合に勝って、フランスの国旗をケージで掲げる。それしか自分にはできないです。小さなことですけど、フランスの皆が少しでも喜ぶことができる試合を見せたいです」

──今回、2度目のBellator参戦となりました。前回と比較して、慣れた部分などありますか。

「少しは慣れたと思います。ベラトールの方もスムーズに撮影やインタビューを済ませてくれるので、向こうも慣れたのかなと思います(笑)」

──前回の試合は素晴らしいノックアウト勝ちで、周囲の期待も高まっているなか反省点などありましたでしょうか。

「前の試合の精神状態は凄く良かったので、反省点というよりも同じような感じで試合の臨むことができればと思います。本音をいうと、パリのテロ事件のことがあり、それが少し難しい状況ではあります。だから、もっともっと何かをと自分に問わずに、前と同じ状態なら構わないという気持ちです」

──それではメルヴィン・マヌーフについての印象を教えてください。

「身長は低いけどパンチも速く、パワーもあります。コンビネーションの手数が多く、当然アグレッシブです」

──どのような攻撃を一番警戒しますか。

「自分の出入りに気を付けています。ずっとイメージトレーニングしてきましたし。やはり距離感ですね。組み付くにも距離をしっかりと把握していないといけないですから。

オーバーハンドとか、身長の低い相手はかえって自分のアゴとか見やすいと思います。簡単に入らせないことが大切になってきます。距離をコントロールすれば、マヌーフが先に疲れるでしょうし」

──彼はストライカーです。そして加藤選手も打撃系の選手です。テイクダウンや寝技、総合力でマヌーフをどのように評価しますか。

「完全なストライカーですね。寝技はパンチを効かしてからパウンドぐらい。立ち技の選手がMMAで戦っているイメージです」

──なるほど。では最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「う~ん、……難しいですね。前の試合のときに大きなことを言ったのは、米国のメディがそれを求めている節があって空気を読んだからなんですよね(苦笑)。今回、あんな風に言う必要はないと思っています。

ただ、日本でずっと格闘技をやってきて、空道を続けMMAも教えてもらってきました。日本人の強さを米国でまた見せたいです。ただし、前回のKO勝ちのようなパンチは狙うと当たりません。流れのなかで出せればと思います」

■ Bellator146対戦カード

<ミドル級/5分3R>
加藤久輝(日本)
メルヴィン・マヌーフ(オランダ)

<フェザー級/5分3R>
ジョーダン・パーソンズ(米国)
バッバ・ジェンキンス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
リッキー・レイニー(米国)
チディ・ンジョグアニ(米国)

<ライト級/5分3R>
ブランドン・ガーツ(米国)
デレック・カンポス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヒューストン・アレクサンダー(米国)
ギルヘルミ・ヴィアナ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
ザック・ロソル(米国)
アロンゾ・メニフィールド(米国)

<140ポンド契約/5分3R>
スティーブン・バナザク(米国)
ジョージ・パクラリオ(ルーマニア)

<フェザー級/5分3R>
トレストン・トミソン(米国)
クリス・ジョーンズ(米国)

<バンタム級/5分3R>
イラ・タメズ(米国)
ロショーン・ジョーンズ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ジャスティン・パターソン(米国)
ショーン・ホールデン(米国)

<195ポンド契約/5分3R>
ロバート・マクダニエル(米国)
ケン・ジャクソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
マーク・ディックマン(米国)
イスラエル・ジーロン(メキシコ)

<女子フェザー級/5分3R>
ジュリア・バッド(カナダ)
ホベルタ・ホウジョ‘ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ベン・レイテル(ペルー)
フランシスコ・フランス(ブラジル)

<女子フェザー級/5分3R>
アーリーン・ブレンコウ(豪州)
ガブリエル・ホロウェイ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
アンドレ・サントス(ブラジル)
ジョシュ・ニアー(米国)

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