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【UFN69】オクタゴンの打撃女王イェンジェチックに挑戦。ペネは汗をかく前に勝負を

Penne【写真】イェンジェチックの強さは分かった。ペネはいかに、組んで倒せるかという勝負になる(C)GONGKAKUTOGI

20日(土・現地時間)、ドイツはベルリンO2 Worldで行われるUFC Fight Night 69「Jędrzejczyk vs Penne」。大会名になっている通り、今大会のメインは女子ストロー級選手権試合=王者ヨアナ・イェンジェチック×ジェシカ・ペナの一戦が組まれている。

舌を噛みそうな名のイェンジェチックは、かつてジョアンナの名前で日本のJ-Girlsに出場しており、世界WCJフェザー級王者を獲得するなど、キックでは世界と欧州合わせて10冠を獲得、27勝2敗1分という素晴らしい戦績を残している。

2012年よりMMAで戦うようになり、母国ポーランドやロシアなど欧州で7連勝を飾り、昨年7月にUFCへ。ジュリアナ・リマ、そしてクラウディア・ガデーリャを下し、今年の3月にカルロ・エスパルザの持つUFC女子ストロー級王座挑戦権を手にした。

打撃に優れているとはいっても、MMAには組み技があり距離も角度も違う。ガデーリャ戦も2Rと3Rにテイクダウンを奪われており、スプリットでの辛勝劇。そんな背景もあり、テイクダウンに優れたエスパルザから王座を奪取することは難しいと予想されていた。しかし、蓋を開けてみればイェンジェチックは初回こそ2度ほどテイクダウンを奪われるも、すぐにスクランブルに持ち込み、打撃を入れてスタンドに戻る。

ここからはエスパルザのテイクダウン狙いをことごとくカットし、多彩なパンチで試合を支配するように。最後は2R4分17秒にエルボーまで交えるラッシュでTKO勝ち、世界のベルトをその腰に巻いた。テイクダウン防御もさることながら、相手の消耗を待って打撃の距離を変え、最後は好きなように殴り続けるなどMMAへの対応力の高さを見せつけた王座奪取劇だった。

思えば王者挑戦権を手にしたガデーリャからの勝利──キャリア12連勝中で日本の浜崎朱加をTKO、現インヴィクタ・ストロー級王者エリカ・チブルシオにも勝利している選手に勝った時点で、イェンジェチックの実力はもっと評価されて然りだった。華奢な印象がある彼女だが、英語で言いたいことをズバッと発言するなど、強気一点ばりの姿勢にも好感が持てる。

今回は母国ポーランドのお隣、ドイツでの初防衛戦ということもあり、多くのサポーターの前で戦うことになりそうだ。挑戦者のジェシカ・ペネは元インヴィクタ・アトム級チャンピオン。TUF20出演でストロー級に階級を戻し、UFCとの契約を果たした。そのTUFでは初代ストロー級王者にして、イェンジェチックに敗れたエスパルザと双璧を成した実力者。準決勝でペネとの旧友対決に敗れたものの、UFC2戦目で今回の挑戦に漕ぎつけた。

小よく大を制すルーカス・レイチの黒帯、寝技の強さは知れ渡っているが、エスパルザのテイクダウンを切り続けたイェンジェチックを相手に如何に寝技に持ち込みうことができるかが勝負の分かれ目となってくる。世界戦は5Rの長丁場だが、ペネが勝つには最初が肝心。テイクダウン&寝技に持ち込むと、早々にケリをつけてしまいたい。試合が長引けば長引くほど王者は距離感を掴み、テイクダウンを切りつつ強力無比な打撃を入れてくる。

汗が出てくる前、何もテイクダウンに拘ることなく、スタンドでバックキープから主導権を握っても良いだろう。ただし、勝ちに行くなら1R。最初の5分にペネは全てを賭け、王者は逆に初回で相手の動きを把握、そこから勝負を掛けていくことになるだろう。いずれによせ、もうイェンジェチックの力を疑う者はいない。だからこそ、ペネも彼女の打撃の隙をつくようにグラップリングを仕掛けていくことが必要となってくる。

■UFN69対戦カード

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ヨアナ・イェンジェチック(ポーランド)
[挑戦者] ジェシカ・ペネ(米国/3位)

<フェザー級/5分3R>
デニス・シヴァー(ドイツ/12位)
川尻達也(日本/15位)

<ウェルター級/5分3R>
ペーター・ゾボタ(ドイツ)
スティーブン・ケネディー(豪州)

<ライト級/5分3R>
ニック・ハイン(ドイツ)
ルカス・サエウスキ(ポーランド)

<フェザー級/5分3R>
マクワン・アミルカーニ(フィンランド)
マシオ・フーレン(メキシコ)

<ライト級/5分3R>
マイルベク・タイスモフ(ロシア)
アラン・パトリッキ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ニクラス・バックストルム(スウェーデン)
ノード・ラハット(イスラエル)

<ミドル級/5分3R>
スコット・アスカム(英国)
アントニオ・ジュニオール・アルファ・ドスサントス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ピヨトル・ホールマン(ポーランド)
マゴメド・ムスタファエフ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
テラー・ラピルー(フランス)
佐々木憂流迦(日本)

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