【UFN60】勇気が蛮勇か。ベン・ヘンがザッチとウェルター級で対戦。ストラッサーは4連勝を狙う
【写真】ベンソン・ヘンダーソンの選択はどのような結果をもたらすのか(C)MMAPLANET
14日(土・現地時間)、コロラド州ブルームフィールドの1stバンク・センターで、UFC Fight Night 60「Henderson vs Thatch」が開催される。メインは大会名にある通り、ベンソン・ヘンダーソンとブランドン・ザッチのウェルター級戦が組まれている。そう元WEC & UFC世界ライト級王者ベン・ヘンが、1階級上げて試合に臨むこととなった。
もともと、今大会のメインはマット・ブラウン×タレック・サフィジーヌ戦が組まれていたが、サフィジーヌの負傷を経て、ブラウンはUFC185でジョニー・ヘンドリックス戦が決定、地元コロラド在住のザッチが、スティーブン・トンプソンと戦うことが決まった。しかし、この注目のアメリカン空手家対決も、トンプソンが負傷し欠場に。ベン・ヘンが彼に代わりザッチの待つオクタゴンに向かうことを了承した。
「これは素晴らしい冒険だ」と語るベン・ヘンだが、1月18日にドナルド・セラーニに敗れ、キャリア初の連敗を喫したばかり。微妙な判定負けには、彼が勝者だったとツイートするファイターも少なくなかった。加えてセラーニは僅か15日前にマイルズ・ジュリーを下したばかりで、エディ・アルバレスの代役を引き受けていた背景もあり、インターバルの短さを漢気ある行動と賞賛されていた。そんな状況での判定負けにベン・ヘン自身がオクタゴンのなかで「ダナ・ホワイト、ジョー・シルバ、俺だった来週末に試合をしてやる。契約しようじゃないか」と切れ気味にコメントしていた。
このような一件があっての僅かインターバル1カ月、そしてウェルター級での参戦。正直、怒りで判断を誤った無謀なチャレンジと指摘されても致し方ない。ベン・ヘンはライト級として小さくはないが、大きくもないファイターだ。対して、ザッチはウェルター級ながら188センチの長身、UFC戦績こそ2勝0敗だが、通算11勝1敗という1階級上で注目されている逸材だ。ザッチの父クラーレンスはデンバーに拠点を置く二宮城光率いる円心館の空手家で、サバキ・チャレンジを7度制覇、キックボクサーとしても60勝以上の勝ち星を手にしている著名な格闘家だ。そんな父の下で幼少の頃から武道を嗜んできたザッチは、17歳からキックで活躍し、MMAに進出してきた。
ヒザ蹴りの上手さは定評があり、UFCで挙げた2つの白星はいずれもヒザ蹴りが決定打となっている。体格で上回り、離れてハイキック、中間距離でも右ストレート、そして近づいては必殺のニーを持つザッチを相手に、スクランブル発進&本来はライト級のベン・ヘンが、どのような戦いを見せることができるのか。ある意味、危険な一戦といえる。
そんなメインが控えた高地コロラド大会には日本からストラッサー起一が出場し、ニール・マグニーと戦う。HEATというインディMMA王者からUFC参戦を果たしたストラッサーは、初戦が反則勝ち、2戦目はRNCで一本=パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト獲得、日本大会では判定負けになっていてもおかしくなかった接戦を制し、オクタゴンで3連勝を成し遂げている。勝って課題を見つけることができ、勝負の2年目に臨むストラッサー。そんな彼に用意された相手=マグニーは何と、昨年1年で5勝を挙げた猛者中の猛者だ。上背は前述したザッチを上回る191センチ、リーチは驚愕の2メートル越えという規格外の体格を誇る。
ストラッサーとしては、絶対的にジャブのプレッシャーに負けず、さらに伸びてくれる右ストレートをかわして、組んでテイクダウンしたいところ。マグニーは結果こそ逆転KO勝ちしたホドリゴ・デリマ戦で、ガードを強いられると簡単にパスからマウントを許し、足を戻すことがままならなかったことがあった。デリマはマウントを返され、三角絞めを合わせスラムされ、マグニーはピンチの場面でもフィジカルの強さを見せつけている。ただし、背中をマットにつけた状況ではその長い手足が邪魔をしているように映るほど、ジダバタした動きだったのも事実だ。
もちろん、あのパンチを捌いて組みつくのは容易なことではない。ただ、ストラッサーの強みはその特異なステップアップ方法にも見られるように自分のできること、できないことをしっかりと把握し、優れた状況判断能力を備えている点にある。加えて日本大会のリチャード・ウォルシュ戦で見せた負けん気の強さと諦めない精神力。体で負けても、心・そして頭でマグニーを攻略できる能力を持っている。とにかく、組んでテイクダウン。そこからのグライディングで5連勝中のマグニーを心身ともに削っていくことが、勝利につながる。
ベン・ヘンの無謀とも思えるザッチ戦、彼の挑戦は勇気なのか、蛮勇なのか。4連勝が掛かったストラッサーの大一番が組まれている同大会の模様はFOXスポーツ&エンターテイメントで15日(日)正午より生中継、17日(火)深夜零時より再放送される。
■ UFN60対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
ベンソン・ヘンダーソン(米国/ライト級5位)
ブランドン・タッチ(米国)
<フェザー級/5分3R>
マックス・ホロウェイ(米国/13位)
コール・ミラー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
ストラッサー起一(日本)
<ミドル級/5分3R>
ダン・ケリー(豪州)
パトリック・ウォルシュ(米国)
<ライト級/5分3R>
ミシェウ・プラゼレス(ブラジル)
ケビン・リー(米国)
<フライ級/5分3R>
レイ・ボーグ(米国)
クリス・ケレイデス(カナダ)
<フェザー級/5分3R>
ニック・レンツ(米国)
レヴァン・マカシュヴィリ(米国)
<ライト級/5分3R>
エフライン・エスクデロ(米国)
ホドリゴ・デリマ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
チャス・スケリー(米国)
ジム・エイラーズ(米国)
<フライ級/5分3R>
ザック・マコウスキー(米国)
ティム・エリオット(米国)
<ライト級/5分3R>
ジェイムス・ムンタスリ(米国)
コディー・フィスター(米国)