【Fire Cage FC01】マレーシアでチバウと対戦、ストラッサー起一─01─「UFCを目指していた時のような」
【写真】43歳、5年2カ月振りの海外でのファイトとなる(C)TAKUMI NAKAMURA
22日(土・現地時間)マレーシアはヌグリ・スンビラン州ニライのN9アリーナでFIRE CAGE Fighting Championship 01が開催され、メインイベントの初代ウェルター級王座決定戦でストラッサー起一がグレイソン・チバウと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
昨年3月RIZIN LANDMARK09 in KOBEで予定されていたイゴール・タナベ戦がイゴールの計量失格により、試合前日に消滅。以後、RIZINでの試合を希望していたストラッサーだが、マレーシアで旗揚げしたFIRE CAGE FCへの参戦が決定した。
FIRE CAGE FCはクアランプール在住のブラジル人セザール・シウバが興した新興プロモーション。シウバ氏はもともとIS360 Sports & Agencyの名の下、マネージメント業を営んでおり、BRAVE CF等とも強いつながりがあった。そのシウバ氏が、IS Sports & Entertainmentというプロモーションを立ち上げ、マレーシアの投資家筋から資金を得てブラジル、ベネズエラ、ホンジュラス、パナマといったラテンアメリカ、日本&フィリピンというアジアから選手を招聘してMMA &キックの合同イベントを行う。
ストラッサーが復帰戦の舞台にFIRE CAGE FCを選択した理由は対戦相手がチバウだったこと。海外での試合やタイトル戦ではなく、チバウと戦えることが彼の心に響いたという。東京でのトレーニングキャンプを終え、大阪に戻る直前のストラッサーにFIRE CAGE FC参戦、そしてチバウ戦に向かう心境を訊いた。
対戦相手がグレイソン・チバウだと言われた瞬間に、即答で決めました
――昨年3月RIZIN LANDMARK09 in KOBEのイゴール・タナベ戦が中止になったあと、試合から遠ざかっていたストラッサー選手ですが、マレーシアで旗揚げするFIRE CAGEでのグレイソン・チバウ戦が決まりました。この試合はどういった経緯で決まったのですか。
「もともと団体の方が色んなところに連絡していたらしく、コブラ会にも連絡が来たり、僕のInstagramにもDMが来たり、最終的にイゴールのところにも連絡が来たんですよ。僕は知らない外国人からDMが来ても無視しちゃうんで気付かなかったんですけど、最終的にイゴールから人を経由して僕のところに話が来た感じですね。だからイゴールのパスで繋がりました」
――特に海外で試合をしたくてアプローチしていたわけではないんですね。
「そういうわけではないです。僕自身は年末のRIZINで試合をするつもりで動いているなかで、この試合のオファーが来たんです。最初はこの話を聞いたとき、断ろうと思ったんですよ。FIRE CAGEは海外の新団体で、どこの馬の骨か分からない相手とやるよりは、RIZINの年末でやりたかったんで。僕も去年イゴールの試合が流れて、超RIZINも流れて、自分では勝手に大晦日に試合をやる権利があると思って準備していたんですけど、対戦相手がグレイソン・チバウだと言われた瞬間に、即答で決めました」
――相手がチバウということが決め手だったのですか。
「もうそれしかないですね。タイトルマッチということも後から教えてもらったんで。RIZINで試合をした方が注目を浴びるし、たくさんの人に見てもらえるというのもあるんですけど、僕ももう長くキャリアも積んできて、意味のある試合をしたい。そこがモチベーションなんですよ。どこで誰とやるというよりも、誰とやるかが僕の中ではポイントなんで。今回、FIRE CAGEという団体でやりますけど、昔UFCを目指していた時のような気持ちが蘇っています。とにかくチバウとやれることが一番大きいです」
――試合間隔は空きましたが、コンディションや準備はいかがですか。
「イゴール戦が消滅したあと、引き続きイゴールとやる方向で話はしていたんですけど、イゴールが階級を上げることになって。で、僕より先にイゴールの試合が決まった時は、僕だけ取り残されたと思って、正直悔しい気持ちになりました。そのなかで色んな人が年末に向けて動いてくれていて、もしオファーがあっても準備をしていなかったら試合が出来ないので、自分としては年末に向けて準備をしていました。だからコンディション自体はいいです」
――RIZINでの試合を目指していて、こういったオファーが来ることは予想していなかったですよね。
「全く思っていなかったです。RIZINも試合を組むためにも動いてくれていたので、今回のオファーをもらった時、ちゃんと筋を通しておかないといけないと思って、RIZINには連絡させてもらいました」
――しかもそのきっかけの一つがイゴール選手というのも不思議な縁ですね。
「最近イゴールと一緒にYouTubeを撮影して、イゴールとも和解というか距離が近くなって、僕はイゴールも仲間だと思っています。イゴールとは試合しなかったですけど、イゴールはもやもや病でMMAの試合が出来ないことになって、僕はイゴールの思いも背負って戦おうと思います」
ちゃんと自分を律してやろうかなと
――試合そのものは約1年10カ月ぶりとなりますが、この期間はどの部分が成長したと感じていますか。
「この1年の間でも細かい怪我や痛めた個所があって、それでちょっと悩んだ時期もあったんです。そういったことも踏まえて、今回は全てを乗り越えて、今は怪我はない状態で動けています。今日(※取材日は7日に行われた)が東京の最後の練習で。直近5試合中4試合は全て最後の練習で怪我していたんです(苦笑)。怪我をしたから試合で負けたわけではないですが、怪我をしていなければ、気持ちも意欲的になるし、今回はすごく怪我には気をつけてやってきました。実はイゴール戦のときも怪我をしていて、今回は調整の仕方をちょっと緩めたんです。で、緩めたらめちゃくちゃ調子が良くなっているので、イゴール戦で学ばせてもらったことはあります。
それこそ今週は水曜日(5日)にガチスパーをやって、今日もガチスパーする予定やったんですけど、直感的に今日はやめとこうと思ってなしにしたんです。そうやってコンディション重視で調整をしていて、水曜日の最後のガチスパーもいい感覚で終われたんで問題ないかなという感じです」
――SNSでも無事に最後のスパーリングを終えたと投稿されていましたが、それだけ慎重にコンディションを意識されているんですね。
「もちろんまだ練習はしますが、対人はマスくらいにしておきます。途中でガチスパーをやろうと思うかもしれませんが、そこはちゃんと自分を律してやろうかなと。ただ今はこの感覚でいい環境なんですけど、ガチをしないからこそ油断して怪我をする恐れもあるので、ガチをやらなくてもある程度のスパーリングはやって、大きな怪我やしょうもない怪我をしないように気をつけたいと思っています」
――対戦相手としてのチバウにはどんな印象を持っていますか。「最近の試合を見るとUFC時代とはファイトスタイルが少し変わってきたと思うし、前回の試合(2024年1月、TOP BRIGHTS01でブレンゾリグ・バットムンクに判定勝ち)の動きは正直良くなかったのかなと。チバウ選手もある程度作り込みの部分で、少し舐めていた部分もあったと思うし、直近のPFLの試合を見ると、結構用心して来るときは来るという感じなんです。あとはやっぱり体が頑丈でパワーがある。だから一発で倒したろうとかそういう気持ちじゃなくて、5Rを通じて仕留めようかなと思っていますね」
――以前から体の大きさやパワーが目立つチバウですが、そこには警戒していますか。
「ライト級でやっていたときと今は体の大きさが全然違うし、それでファイトスタイルが変わった部分もあると思います。今回は練習パートナーを米田奈央選手にお願いして、米田選手もサウスポーで90キロちょっとある選手で、体がものすごく強いんですよ。ホンマに体幹とかも日本トップクラスで、パワー対策は自信を持って仕上げられたと思います」
<この項、続く>