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【Fire Cage FC01】チバウ戦へ、ストラッサー起一─02─「舐めんなよと」&「甘い考えは捨てました」

【写真】残された時間が多くないことは承知の上──故の1試合完全燃焼宣言(C)TAKUMI NAKAMURA

22日(土・現地時間)マレーシアはヌグリ・スンビラン州ニライのN9アリーナで開催されるFIRE CAGE Fighting Championship 01。同大会のメインでメインイベントの初代ウェルター級王座を賭けて、グレイソン・チバウと対戦するストラッサー起一インタビュー後編。
Text by Takumi Nakamura

マレーシアの新興プロモーションで戦う理由は、対戦相手がチバウだったから。そんなストラッサーに、チバウ戦に賭ける想いとイラつき、そしてSNS時代を戦うファイターの心得を説いてもらった。

<ストラッサー起一インタビューPart.01はコチラから>


――かなりチバウのことをイメージして練習が出来ているようですね。

「あとはもう自分自身のマインドですよね。(チバウの攻めを)受けるのか潰すのか…とか。そこでめちゃめちゃ展開が変わるし、結局その辺で勝敗が大きく変わってくると思います。技術なんて基本的にはもうそこそこ一緒ぐらいやと思うんで、そこで勝つというのは作戦であったり、気持ちの強さだったり、マインドだったり。自分をどう操作するか、心の置き方だと思うんですよ。

僕は格闘技というスポーツは心のスポーツ、メンタルスポーツだと思っているので、そこを大事にやっていきたいですね。そういうスポーツだからこそ格闘技は実力差も縮まりやすいし、試合でのメンタルのところが上手くかみ合わないと、練習では勝てる相手にも負けてしまうことが多々あるものだと思っています」

――対策を練ることは必要ですが、対戦相手が主語になってしまうと自分の良さを出せないことが多々あると思います。

「僕はいつも対戦相手のことはそんなにめちゃくちゃ研究はしないんですよ。試合映像を見るは見るんですけど、この攻撃が来たらどうしようとか、そういうことは思わないです。結局それを考えすぎちゃうと後手後手に回っちゃうんですよね。格闘技は自分が何をしたいかをポイントに進めていかないといけないなと思います」

――そこをコントロールするためにはメンタルをいい状態にしておくことも大事ですね。それこそ怪我があると精神的にもよくないですよね。

「いやそこは大きいですよ。怪我があると後ろ髪を引っ張られるんです。試合の時はアドレナリンが出るから大丈夫なんですけど、試合までの一週間『なんか痛いな…』とか『痛みが悪化せえへんかな』とか色んなことを考えちゃうんで、怪我をするとメンタル的にもマイナスなんです。今回の試合に関しては絶対それはしたくないですし、ここまではそれが出来ています。僕は去年自分の甘えを断捨離したんですよ。自分はもう崖っぷちで、格闘技しかないという状況に自分を持ち込んだので、本当にメンタル的にも強くなっているし、今回の試合に関しては、全てをかけて戦えるという気持ちでいきます」

――チャンスであると同時に落とせない試合という意識もある、と。

「さっき『UFCを目指していた時のような気持ちが蘇っている』と言いましたが、UFCを目指していると時、ここで負けたらUFCとは契約できへんという中で連戦していて、そのときと気持ちが一緒ですね。後がない。ここで負けてしまうと、一気にどん底まで落ちる、一番後ろに並び直さなあかんっていう。今回ほんまにそういう気持ちでおるんで。結局試合になったら誰も助けてくれないし、もちろんみんなに担がれてリングには上がりますけど、勝利を取りに行くのは自分なんで」

――今はチバウにことに勝つことが全てだと。

「それが全てですね。自分の道は自分で切り開くしかない。それで言ったら僕にとってチバウは最高の相手です。ネットやSNSでは引退間際同士の選手がどうのこうのっていうやつもいてますけど、お前ら何もわかってないから黙っとけという話ですよ。僕は自分の中でチバウに勝つ自信がありますけど、チバウもタフで実力者やし、戦績で言ったら僕よりも間違いなく実績がある。

そういう選手とこのタイミングでできることはモチベーションになります。ただ一つあるのは彼はGFLとも契約しているんですよ。FIRE CAGEは独占契約じゃないので、僕の試合が決まったあとにGFLと契約したと思うんですけど、そこは舐めんなよという気持ちがあります」

――この試合を崖っぷちと捉えているストラッサー選手とは真逆ですね。

「本当に舐めんなよと思っています。結局格闘技をやっていて思うんですけど、本当に誰も助けてくれない。僕も若い時から自分のプロモーションは、自分でやっていたんですよ。パンクラスに出ていた時に勝手にリングに上がって『お前ら戦争じゃ!』と言ってペナルティをもらったこともありますし(苦笑)。昔から自分で自分をプロモーションするという気持ちがあって、結局人任せでおっても試合できへんし、特に僕らの階級は人が少ないわけじゃないですか。

だから自分でこじ開けていくしかないなと思っています。僕はSNSやYouTubeにめちゃめちゃ力を入れているんですけど、それは結果的に格闘技に対してプラス、自分のエネルギーになるんです。そういう心のエネルギーがないと練習内容も左右される。一度試合に集中しようと思ってYouTubeを止めたときがあったんですけど、なんか気持ちに青い炎が出なかったですよね。今振り返ると」

――いい意味で自分を表現して見てもらうことが、練習や試合のパフォーマンスにプラスになるということですよね。

「自分にプレッシャーをかけないといけないし、何かを発信することによって自分もそれに向かって走っていくんで。自信があってもそれを言わんかったら後出しじゃんけんできるじゃないですか。じゃあ言わんとことか。YouTubeをいっぱいやるとほんまに練習しいてるんか?と言われるし、負けたらめっちゃ叩かれるリスクありますけど、そうすることでお前ら見とけよという気持ちはめっちゃありますね」

――本当に自信があるからこそ発信できるし、口にすることでそこに自分を近づける最後のひと押しになったりしますからね。

「だから僕はYouTubeとかは、みんな選手にやってほしいなと思います。ハードルは高いと思うんですけど、やって自分を奮い立たせたり、例えばRIZINの会見でも、やっぱりパフォーマンス、トラッシュトークは人を引きつけるし、そういうものがあった方が、団体としても使いやすいじゃないですか。そこも練習ですよね。格闘技は練習するから強くなるけど、喋りとかもやっぱり普段練習しておかないと、なかなか会見で言えないと思うんで」

――試合に注目してもらうための方法は人それぞれだと思いますが、コメント力を磨くためにSNSで発信するというのはあるでしょうね。

「僕も(2017年12月に)北岡(悟)さんと試合したときはYouTubeもやってなかったし、あんまり言ったらあかんのかなとかいうマインドで何も言わなかったんですけど、もし今あの試合が組まれてたら、もっと色々と言っていたと思います。それでみんなに試合の背景を知ってもらって、この試合に乗れるという風に今の自分やったら持っていけるなと思います」

――それでは日本からも応援しているファンのみなさんにどのような試合を見せたいですか。

「自分から勝負を取りに行く。逃げの試合はしない。最終的にどんな試合になるにせよ、自分が最終的に勝っている、そういう試合ですね。僕はもう甘い考えは捨てました。打撃を一発当てて、それで相手が倒れてくれたらいいなとか。チバウは絶対に倒れへんと思うので、5Rフルに戦う気持ちでいてます。その中で結果的に途中で終わるかもわからないし、という気持ちです。

ただ難しいのが5R戦うと言っても5Rやる戦い方をするのか、3Rの戦い方をして残り2Rいくのか。そういうスタミナ配分もあると思うんですけど、そこは出たとこ勝負ですね。行かなあかんときに行かないと勝てないし、そこで行かへんかったら負ける。そこはもう常にリスク、常に岐路に立たされると思いますが、闘争心は絶対に必要かなと。今回は今までと違う、漲った姿で戦いたいと思います」

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