【Road to UFC S05 Ep01】フェザー級。栁川と青井の前に前門の虎マンゴス&ソン・ヨンジェ。後門の狼は??
【写真】日韓中が2人ずつ。ここに豪州とモンゴル。 凄くバランスの良いトーナメントとなったフェザー級。外れカードなし(C)Zuffa/UFC, ETERNAL MMA & MMAPLANET
3月31日(火・現地時間)、UFCより5月28日(木・同)&29日(金・同)にマカオはコタイのギャラクシー・アリーナで開催されるRoad to UFC Season05の出場選手が発表された。
Text by Manabu Takashima
既報の通り、日本から過去最多の11選手が挑むことになった2026年のRoad to UFC。ここではフライ級の4人、バンタム級の3人から日本人選手のエントリーが通常といっても良い2人のフェザー級=キング・オブ・パンクラシストとDEEP王者が揃い踏みとなったトーナメントに触れてみたい。
【フェザー級】
ジョージ・マンゴス(豪州)
vs
栁川唯人(日本)
アーフージョン・アーリーヌアール(中国)
vs
イム・クァンウ(韓国)
ルァーグーチェン(中国)
vs
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
青井人(日本)
vs
ソン・ヨンジェ(韓国)
昨年12月に世界のMMAを席巻するキルギス勢の一角カリベク・アルジクル・ウールにKO勝ちした栁川の相手は、豪州のジョージ・マンゴス。25歳の栁川に対し、22歳のマンゴスはまさにUFCが望むべき素材といえる。
キャリア7勝1敗で一本勝ちが5つとKO勝ちが3試合、スイッチヒッターで左右&上中下と攻撃を散らす。前手と奥手がどちらになろうが、リードフックとストレートはパワフルかつ精度が高い。ボディとのコンビも絶妙で、何よりも組んでバック奪取が速い。このバック奪取を一つの山としたファイトから、RNCという終着点を持っている。
と同時にハイキックでのKO、飛びつき三角絞めというハイライトリールに残るフィニッシュもあり、ファンの支持も受けやすい。HEX FSフェザー級王者から昨年8月にコンテンダーシリーズに挑戦したが、この時は若さが出て初回は地に足がつかないような動きを見せ、キャリア初黒星を喫したものの最終回に得意のバック奪取から試合を盛り返している。
コンテンダーシリーズで契約はならなくても、Road to UFCへのセカンド・チャンスが与えられるのは、マンゴスに対してUFCの期待の高さを表しているともいえる。栁川としてはいきなりの本命といえるファイターを相手にすることになり、タフファイトは避けられないだろう。
と同時に豪快イケイケ風でいて、実は相手の足の位置、クラッチの取り方と細部を頭に入れて戦う緻密なファイトが栁川の信条だ。マンゴスはMMAとして多岐にわたるように見えて、しっかりと軸のあるファイトを展開してくるだけに、その流れを受けて止めるようでいて、すかすような展開からビッグショットという試合も十分に期待できる。
昨年に続き2年連続でRoad to UFC出場となった青井は、2年前にRoad to UFCに挑んだソン・ヨンジェと相対する。ソン・ヨンジェの初挑戦は、河名マストに判定負けし初戦で終幕となっている。そんな河名戦では、攻勢だった打撃で一発を被弾してしまう。ここから逃げの組みに行って潰され、バックコントロールやハーフネルソンでパンチを受け続けたことで敗北が決定的となった。
組みの圧に削られたことが敗因ともいえたソン・ヨンジェだが、その後は高木亮、中原由貴、鈴木琢仁と日本人選手を相手に3連続KO勝ちを挙げている。特に昨年のRIZIN韓国大会の中原戦は結果としてスピニングバックエルボーでダメージを与え、ハイキックからパンチが交錯するなかで右クロスを打ち抜いてのKOと打撃で勝った印象が強いが、その実は初回と2Rの組みの展開で削られなかった点に彼の成長が感じられた。
このケージ際の攻防で、攻めていた中原が体力を消耗した結果の打撃決着だった。一方、最近の青井はペース配分ができており、15分間戦い続けるなかで上手くテイクダウンを織り交ぜている。今回の試合が23戦目となる青井は、キャリア6戦から10戦前後のファイターが集まった日本勢のなかでもずば抜けて高い経験値を誇る。それは他の国のファイターも同様で若くて貯金が5、6とあり、フィニッシュ率も高い対戦相手に対し、その勢いの盲点をつくファイトができるのが、青井の強さだ。
29歳のベテランの安定度を支えている組みという側面に対し、受け&防御が巧妙になっているソン・ヨンジェは、青井のリズムを崩し、打撃勝負に持ち込む力が付きつつある。爆発力と柔軟性、一つ一つの選択の積み重ねという部分で非常に楽しみなファイトだ。
残り2つの準々決勝は日本人選手が絡まないファイトだが、揃って日本での活躍があって、今回出場権を得た選手が中国人選手を相手に戦う。
1人目はアーフージョン・アーリーヌアールと対戦するイム・クァンウだ。イム・クァンウは1月にショートノーティス出場となったプロ修斗後楽園ホール大会にライト級で出場し、現修斗世界ライト級王者エフェヴィガ雄志からTKO勝ちを収めている24歳の韓国人ファイターだ。
188センチの長身でライト級としても大きく見えたイム・クァンウが、まさかのフェザー級でのエントリーとなった。戦績5勝1敗、唯一の敗北はONE FFでムハマド・ウマル・アブドゥラフモノフに喫した73.9キロキャッチウェイト戦だった。
エフェに打ち込んだ右フックの威力。バックコントロールをしてなお威力のあるヒジ打ちを後方から打ち込めるリーチの長さは、フェザー級という階級では絶対的に驚異となろう。2022年のプロデビュー戦から3試合はフェザー級で戦っていたイム・クァンウが、どのような体調で試合当日を迎えることになるのか。コンディション良好ならダークホース以上の存在になる可能性もあるだろう。
日本で結果を残してきたという点では、ルァーグーチェン戦に臨むダギースレン・チャグナードルジの方が、イム・クァンウを上回る。10勝2敗、12戦の試合経験のうち、GLADIATORで6度戦い4勝2敗というレコードを残している。敗戦のうち1試合はフェザー級王座決定戦という機会を体重オーバーで失し、ノンタイトルのキャッチ戦での意気消沈ファイトだった。もう一つの敗戦も、同じ韓国のパン・ジェヒョクに喫したもので、前に出て戦うダギースレンはパン・ジェヒョクのようなすかすファイトに弱い。とはいえ変則的なリズム、へたうまというよりも下手に見える独特のステップから伸びるストレートはKOパワーがあり、組みに関してもテイクダウン、スクランブル、極めと試合ごとに成長の跡を見せてきた。
まずは初戦突破が絶対だが、Road to UFCの期間中にも劇的な進化を遂げる可能性がある――それだけ伸びしろが多く残っているダギースレンは、決して侮れない存在だ。




















