【RIZIN51】佐藤将光戦前、ダニー・サバテロ「俺は日本で戦い続け日本で引退したい」
【写真】サバテロが獣になるのはリング上とケージの中のみ。身の内の優しさを出さないための武装が、サングラスとトラッシュトークだ(C)MMAPLANET
「世の中、本当に問題だらけだ。国家間では政治、宗教、戦争。家庭内ですら、人間関係など様々な問題がある。でも俺がリングの上で戦う15分間は、そんなことは一切忘れて楽しんでほしい。皆がそうなれるよう、俺も戦う」。明日28日(日)に名古屋市北区のIGアリーナで開催されるRIZIN51で佐藤将光と戦うダニー・サバテロの言葉だ。
text by Manabu Takashima
試合が発表された時から、佐藤をこき下ろし続けているサバテロだが、チームメイト、ファン、メディアにはその“良い人”ぶりは既に知れ渡っている。
止まらないトラッシュトークは、彼がファイトに向かう前の儀式のようなものだろう。そのイニシエーションを終えた時、ダニー・サバテロの優しさに溢れた言葉に出会うことができる。
イノウエ×フクダもチェックした。でも途中で視るのをやめてしまった
――ダニー、調子はいかがですか。
「最高だよ。試合も近づいてきて、あと3週間だ(※取材は8日に行われた)。ケガも大きな問題もなくトレーニングキャンプも終盤に入った。まぁケガをしても試合を欠場することなんてありえないけどな。俺は戦うことを愛しているから、カードに穴を空けるなんて考えられない。リングに上がり、目の前にいる相手をぶちのめすために日々を過ごしているのだから。
とにかく体調は最高だ。ショーコー・サトーと名古屋で戦うことが楽しみでならない。名古屋には行ったこともないし、街をふらついてみたい。でも、俺は観光するために名古屋に行くわけじゃない。バトルをしに行く。ショーコー・サトーをぶちのめす」
――5月に太田忍選手に勝利した時、タイトル挑戦の準備は整ったように感じていたかと思います。ただし、井上直樹選手は7月に福田龍彌選手と防衛戦を行いました。
「RIZINにとって、俺はバンタム級のラストピースなんだ。もちろんタイトルには、少しでも早く挑戦したかった。イノウエ×フクダもチェックした。イノウエは打撃と組みを組み合わせて戦うことができる。フクダはパワフルなストライカーだ。
でも途中で視るのをやめてしまった。2人とも俺のレベルに達していない。いずれにしても、イノウエがバンタム級のキングだ。俺はあいつを追いかけている。まぁ、タイトルに挑戦する日まで我慢する。そしてイノウエをドミネイトしてフィニッシュし、俺こそがベストだと証明する。
今回はRIZINがショーコー・サトーと戦えというのだから、全く問題はない。俺はアイツのことが好きじゃないから、楽しんで戦う。何より、この試合はナンバーワン・コンテンダー・ファイトになる。五輪シルバーメダリストのシノブ・オオタを完全粉砕して、自分が何者かを日本ファンに見せることができた。RIZINが15人相手を用意するなら、その15人全員に勝つ。駆け上がるだけだ。
そこでショーコー・サトーだ。ベルト獲得に向けて、とても良いシナリオになっている。とはいってもベルトはボーナスみたいなものだよ。俺のようにただ好きだから、MMAを戦い続けている人間にとっては。ショーコー・サトーは高いレベルのファイターで、キム・スーチョルにも勝っている。でも、俺はヤツをぶちのめしてベルトに近づく。
名古屋での試合で日本の皆に、俺のMMAが如何に高度で、俺がどれだけ強いかを見てもらう。そうしたら大晦日に、さいたまスーパーアリーナという最高の場所でタイトルに挑戦することになるだろう」
俺がナイスガイなんて絶対に思ってほしくない。俺のことを嫌って、殺すつもりで俺の前に立て。俺も同じようにするから
――ところで何も因縁のない佐藤選手なのに、それだけ悪態をつく必要があるのでしょうか。
「いくつか理由がある。まず、ヤツはATTのチームメイトのジュンタロー(牛久絢太郎)に勝っている。彼のリベンジをする必要がある。俺はチームとチームメイトに忠誠心を持っている。この数年、チームに合流した日本人ファイターに対しても、同じ気持ちでいる。ATTの名の下、俺はヤツにリベンジする。
もう一つ、個人的な理由はショーコー・サトーが凄く良いヤツだからだ。俺は良いヤツが大嫌いだ。俺のようなバッドガイは、優等生が嫌いに決まっている。それは昔から変わらない。ショーコー・サトーは、ダニー・サバテロが異次元にいることが分かるはずだ。試合でもぶっ飛ばすけど、試合前からアイツをぶちのめしたい。
俺は対戦相手が大嫌いでならないんだ。皆が、ショーコー・サトーは良いヤツだという。フ〇ック・ヒム。大嫌いだ。そういうヤツは」
――アハハハハ。メチャクチャですね。それに日本のファンはダニーがナイスガイだと知っていますよ。
「俺はナイスガイだ。チームメイト、コーチには。家族、友人、ファンに対してもな。でもRIZINのリングで俺と戦うヤツに対しては、容赦しない。そして、対戦相手には俺がナイスガイなんて絶対に思ってほしくない。
俺のことを嫌って、殺すつもりで俺の前に立て。俺も同じようにするから。ベルトを俺から遠ざけようという相手だ。クソ食らえ。名古屋のファンの前でほえ面かくなよ。何がリングの外ではナイスガイだ。クソ野郎が」
ショーコー・サトーの能力は、どうすれば勝てるのかを見つけだすことだ
――……。ではMMAファイターとして、佐藤選手の印象を教えてください。
「50戦も戦うベテランだ。ただ、どこに強みを持っているのか分からない。きっとグラップラーでなく、ストライカーだろう。その打撃もパワーが感じられない。俺と同じでバンタム級では背が高い部類に入る。そして、接近戦でキックを多用する。トリッキーな動きも多いし、グラウンドではバギーチョークのようなくだらない技も仕掛けてくる。
MMAは小さなグローブを使って、一発で終わる状況で戦っている。だからこそ、俺はアグレッシブに自分の戦いをする。一つ一つの局面において、俺の方が上だ。スピードも瞬発力も俺の方がある。スタミナもヤツは俺には及ばない。グラップリングは当然、打撃でも俺がヤツを上回っている。パワーも、俺の方がある。試合数、数字の上の経験だけだ。アイツが俺より上をいっているのは。
きっと自分の方がスマートだと思い込んでいるだろう。でも、頭だって俺の方が良い。立ち技、寝技、どこでもヤツを倒せる。フルMMAを見せて、ファンが喜ぶ試合をした上で、如何に俺がヤツより優れているのかを見せつけて、この試合は俺が勝つ。いや10度戦えば、10度とも俺が勝つ」
――佐藤選手は最高のストライカーでも、最高のレスラーでも、最高の柔術家でもないです。ただし、彼のテクニックは小さな積み上げを重ね、凄く独特で熟練されたタイトな技術だと思います。
「ショーコー・サトーの能力は、どうすれば勝てるのかを見つけだすことだ。何か良いところがあるというわけじゃない。ただし、その能力は素晴らしいモノだ。なぜなのか、結果的に勝っているからだ。
ただし、彼がどのように勝ち筋を見つけてきても俺は違う道筋を立てて戦うことができる。確かにヤツはスタミナもある。ただし、俺はその力の使いどころが分かっている。なにより、反応という部分でヤツは若干遅い。
同時に、その反応の遅さがトリッキーな動きの源になっているようにも感じる。だからこそ、ヤツは10年以上もフィニッシュされたことがない。
タイトなのはディフェンス力だな。どれだけ相手のペースで戦わされてもフィニッシュは許さない。そんな相手だから、俺はフィニッシュすることを楽しみにしている。ショーコー・サトーのような戦いをする人間は、リスキーなポジションを取らない。そういう相手の動きは読みやすい。何より、俺と同レベルにないから、どのような局面でもドミネイトしてフィニッシュできる」
ヤツの大好きなダーティーボクシングで、俺の恐ろしさを見せてやることも可能だ
――前回は打撃で太田忍選手だけでなく、ファンも驚かされました。ただ、太田選手との試合はテイクダウンを警戒してレンジは近くなかったです。佐藤選手との試合では、あの距離の打撃が続くとは思えないですが。
「だから、俺は勝利へ道筋がいくつもあると言っているんだ。別にショートディスタンスでも、打撃を使う。だいたいオオタとの試合も、最初の数分間でレスリングでも勝てると分かった。だから、テイクダウンからグラップリングマッチで勝てた。でもファンが喜ぶ試合がしたくて、打撃で戦ったんだ。
ショーコー・サトー戦も同じだ。アイツは確かに接近して戦うことを好む。でも、それは相手が俺レベルではなかったからだ。あの距離で俺と戦おうとするなら、それこそ試合は一方的なモノになる。
そうは言ってもMMAは何が起こるか分からない戦いだ。ショーコー・サトーも。これまでとは違った戦いをしてくる可能性もある。例えアイツの戦い方が変わっても、俺はショートレンジでもロングレンジでも試合を支配できる。俺の方がスピードがあるから、自分の距離をキープできるんだ。ヤツの大好きなダーティーボクシングで、俺の恐ろしさを見せてやることも可能だ。
アイツがクリンチして殴ってくるなら、俺のニーとエルボーの餌食にしてやる。そして簡単にテイクダウンする。リーチの差に関係なく、接近戦はテイクダウンを簡単にする。誰もが俺とグラウンドで戦おうとはしない。ショーコー・サトーも同じに違いない。だからテイクダウンに対応できないことが分かると、距離を取ってくる。そうなるとショートレンジで戦うなんて無茶はしないだろう。
ただ、俺はロングレンジも得意としている。どの距離で戦うのか。そういう意味でもこの試合は本当にレベルが高く、テクニカルな戦いになる。ダニー・サバテロ・ショーに皆が夢中になる。IGアリーナを熱狂させる」
――ダニー、そのまくし立てる口調はBellator時代と変わりないですが、サングラスの奥は笑みを浮かべているように見えます。
「日本のファンの前で戦うことが楽しくてしょうがないんだ。どのインタビューでも『日本のファンは世界一』と口にしている。MMAが分かっているファンに、俺の技量を見て欲しい。MMAという戦いにあって、何がハイレベルか理解しているファンの前で試合をすることは最高だ。ただ、まだ日本のファンはほんの少ししかダニー・サバテロを見ていない。このまま、俺は日本で戦い続け日本で引退したい。日本という国が好きというだけでなく、日本で戦うことが大好きなんだよ。
最高の国で、美しいベルトがある世界一の大会RIZINで戦うのだから、13時間も飛行機に乗っても構わない。米国で戦うのも楽しかった。そこにファイト、MMAがあることで俺には十分だった。でも、日本で戦うことは少し特別感が加わるんだ。俺はプロフェッショナルだ。RIZINにだってモノ言うファイターでいたい。でも、そうする前に今は自己証明が先だ。一つ、一つ、与えられた試合で勝ち続ける。ショーコー・サトーも、その一人なんだ。
俺は最高のパフォーマンスをリング内外で見せる。世の中、本当に問題だらけだ。国家間では政治、宗教、戦争。家庭内ですら、人間関係など様々な問題がある。でも俺がリングの上で戦う15分間は、そんなことは一切忘れて楽しんでほしい。皆がそうなれるよう、俺も戦う。
皆がフィニッシュを望むなら、俺は絶対にショーコー・サトーをフィニッシュする。人生でどんな問題を抱えようが、俺が戦っている間、フィニッシュする瞬間は全てを忘れて楽しんでほしい」
■視聴方法(予定)
9月28日(日)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■ RIZIN51対戦カード
<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者]ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者]堀江圭功(日本)
<フェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
[挑戦者]ビクター・コレスニック(ロシア)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級T準決勝/5分3R>
扇久保博正(日本)
アリベク・ガジャマトフ(ロシア)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級T準決勝/5分3R>
元谷友貴(日本)
神龍誠(日本)
<RIZIN WORLD GP2025フライ級Tリザーブマッチ/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
山本アーセン(日本)
<RIZIN WORLD GP2025ヘビー級T決勝/5分3R>
マレク・サモチュク(ポーランド)
アレクサンダー・ソルダトキン(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
佐藤将光(日本)
ダニー・サバテロ(米国)
<バンタム級/5分3R>
梅野源治(日本)
芦澤竜誠(日本)
<フェザー級/5分3R>
高木凌(日本)
三宅輝砂(日本)
<ライト級/5分3R>
矢地祐介(日本)
芳賀ビラル海(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木博昭(日本)
ファン・イェーロウ(中国)
<フライ級/5分3R>
冨澤大智(日本)
平本丈(日本)
<フェザー級/5分3R>
大和哲也(日本)
奥山貴大(日本)
<100キロ契約/5分3R>
金田一孝介(日本)
チャートゥ・バンビロール(セネガル)
<ライト級/5分2R>
太田将吾(日本)
Street♡★Bob洸助(日本)
<バンタム級/5分2R>
山木麻弥(日本)
石坂空志(日本)
<フライ級/5分2R>
佐藤執斗(日本)
小林大介(日本)
<フェザー級/5分2R>
YUHEI(日本)
脇田仁(日本)