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【ONE FF124】ONE初陣、ミラルペス戦へ。黒澤亮平「強い人と戦うためにMMAを続けてきました」

【写真】世界と戦う黒澤。楽しみでならない(C)MMAPLANET

12日(金)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FF124で黒澤亮平がジェイソン・ミラルペスと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

ONEと契約したことで、昨年4月に獲得し今年の3月に初防衛を果たしたストロー級KOPのベルトを返上した黒澤。9年前に修斗ストロー級の頂点にも立っている彼が日本で二団体のベルトを巻き、ONEを選択することは至極当然のことだった。

「強い選手と戦うと、やっぱり恐怖を感じることもあると思います。でも、そういうのと戦うために格闘技をやってきたので」――静かな水面のように表情を崩さず話す黒澤から、かつてない熱さが感じられた。


日本人が勝てない現実があるので僕の試合がONE FFになるのも仕方ない

――2日後にONE FFでONEデビューを果たす黒澤選手です。去年の4月にパンクラス・ストロー級のベルトを巻いて、暫くするとONEを目指すという話が伝わってきましたが、今年の3月に植松洋貴選手を相手に初防衛戦を戦いました。

「パンクラスにもONEに行きたいという話はさせてもらっていました。3月の防衛戦前から、タイトルマッチがなかなか決まらないこともあってパンクラスの方からも『防衛戦の前にONEに行ってもらっても大丈夫』という話もしてもらって。

ただONEの方もなかなか話がまとまらなくて、そこで3月に防衛戦の話があり、クリアできたので試合が終わった当日にもONEでやってきたいということを伝えました。結果、6月……7月になって契約ができました」

――修斗とパンクラス、2つのベルトを巻き、次はONEというのは自然の流れだったのでしょうか。

「そうですね。日本で戦うと強い、弱いという話でなく僕が挑戦するという気持ちでの試合がないのが現実で。国内で3つの目のベルトを狙うよりも、最近は日本のチャンピオンが勝てていないONEの方がチャレンジのしがいがある相手がいる。1試合、1試合、強い相手と戦う。そういう試合がしたくて、ONEで戦おうと思いました。やっぱり外国人選手も多く在籍していて、今回の相手も日本にはいないタイプですし、対策練習なんかでも凄く充実していました」

――遣り甲斐があるということですね。ただ、今回はONE FFの出場です。正直、ONE FFは出場日本人選手のレベルもまちまちですが、パンクラス王者の初陣がONE FFになったのかと。

「そういう風に言ってくれる周囲の人は多かったです(笑)。でも最近は色々な日本人選手がONE FFで戦い、ストロー級でもそんなに結果が良くないじゃないですか」

――確かに7月には和田竜光選手がウズベキスタンのアバスベク・ホルミルザエフに敗れ、箕輪ひろば選手も韓国のイ・スンチョルに判定負けを喫しています。

「ONE FNで戦うことができればこしたことはないと思いますけど、日本人が勝てない現実があるので僕の試合がONE FFになるのも仕方ないと捉えています」

――押忍。国際戦は6年前に修斗で戦ったチーム・ラカイのジェローム・ワナワン戦以来です。今回の相手ミラルペスも奇しくもフィリピン人でTHE BLACKBELT JAPANの畠山隆弥選手と今年の2月に戦いTKO勝ちを収めています。

「松根(良太)さん経由で、畠山君が色々と細かい点まで教えてくれました。畠山君からすると複雑な心境だったと思います。自分が負けた相手に、本人でなく僕が勝てるように協力してくれたので。それでも、どういう状況でパンチが伸びてきたのか。組みだとどういう場面で強かったかなど、細かい点まで惜しみになく教えてくれて本当に感謝しています。松根さんも試合だけでなく、ONEで試合をするにあたってハイドレーションのことなど、何から何まで教えてくれたので凄く助かりました」

――52キロから56キロ、しかし尿検査がある。ハイドレーション・テストは経験のないことかと思います。

「国内のストロー級ではもうカツカツで、計量前日もヘロヘロでした。でも今日は4時間ぐらいメディカルや撮影があったのですが、ピンピンしています。ハイドレーションに関しては松根さんが検査チェッカーを買ったそうで。僕も4万円ぐらいしたのですが、買いました(笑)。今日の朝一でも、ハイドレーション値はアンダーで。そんな水は抜けていないで調整はできています。

まぁ、それでも初めてのことなので実際にどうなるのか。そこはやはり、これまでの計量より不安に感じてはいます」

自分のペースで戦って相手のやりたいことをさせない試合をしようと思います

――無事ハイドレーションをクリアして、ミラルペス戦当日を迎えて欲しいです。改めてミラルペスの印象を教えていただけますか。

「攻撃力が高くて、強い選手だと思います。とても粗くて、そこが武器でもあり、穴で。あの勢いに呑まれると負けてしまう。なので、そうさせない戦略を考えてきました。ホントに穴はあると思っています」

――畠山選手も勢いに呑まれ、ハイペースで組み続けてガスアウトしたようにも見えました。黒澤選手には、あの粗い打撃を正確無比な打撃で崩して欲しい。そういう期待をさせてもらっています。

「一番対策をしてきたのは打撃、立ち合いのところですね。そこで技術の差はあると思うので、自分のペースで戦って相手のやりたいことをさせない試合をしようと思います。自分をしっかりと出せれば、インパクトのある攻撃がデキる機会は何回かは巡ってくると思います。だからこれまでの自分に自信を持って戦い、インパクトを残して勝つこともできるかと」

――おお、力強い言葉です。ところで11月には日本大会があります。インパクトを残せば、出場が近づく。そこは意識していますか。

「まぁ、出られるなら出たいです。ただ、今は次の試合に集中しています。目の前の試合のことで精いっぱいになるので。とにかくこの試合を頑張るだけです。確かにここで良い試合ができると日本大会出場があるかもしれないですが、そのために良い試合をしようということでなくて。ここで良い試合をして、次にまた強い選手と戦いたい」

――それこそホルミルザエフとか、チャンピオンよりも強いのではないかというファイターがいます。そういう選手と黒澤選手がやり合っていくことが楽しみです。

「あの選手は強いですね。そういう人と戦うことを目標にしてきて、強い人と戦うためにMMAを続けてきました。あれだけ強い選手と戦うと、やっぱり恐怖を感じることもあると思います。でも、そういうのと戦うために格闘技をやってきたので、決まればバシっと戦います。そういう相手がいるから……最初の話に戻りますが、ONEで戦いたいと思ったので。ストロー級の一番は明確にONEにいるから」

――では、そこにいくための最初の一歩。ONE初陣への意気込みをお願いします。

「自分は修斗とパンクラス、二団体でベルトを巻きました。ストロー級では国内のトップクラスにいると思っています。ONEで日本人はストロー級でもあまり勝てていない。そこを自分が打開したいと思っています。自分が世界一になるためにも、先につながる勝利をここで挙げたいと思います」

■視聴方法(予定)
9月12日(金)
午後9時15分~U-NEXT

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