【DEEP Tokyo Impact2025#04】マジシャン戦=審判が下る時、鹿志村仁之介「パパッと極めます」
【写真】軽さから、ヤバさへ。鹿志村仁之介が確立されつつある(C)MMAPLANET
7日(日)、東京都港区のニューピアホールでDEEP TOKYO IMPACT2025#04が開催され中国YFU(Youde Fighting Ultimate)との対抗戦&メインに鹿志村仁之介が出場し、マジシャンと戦う。
text by Manabu Takashima
独特の雰囲気を持つ極めの強いルーキー。そんな風に異才を放っていた鹿志村も、すでにデビューから5年の月日が流れた。6月にはRIZIN初出場も後藤丈治に敗れ、今回の対抗戦出場という流れに。
「この位置にいるようなファイターではない」、「ここが定位置」。この対抗戦の結果を持って、その評価はかなり絶対的なモノになるかもしれない。そんな審判が下る大切なファイトを前に鹿志村にインタビューを試みた。
そして「逃げてきたレスリングに向き合ってきた」という言葉をはじめ、鹿志村の言葉から――そこが彼の面白さで、魅力でもあった――軽さが抜けていた。
もう逃げてちゃダメだと思って、最近はレスリングに重点を置くようになりました
――今回は中国のYFUとの対抗戦に出場する鹿志村選手です。現状、3連勝からRIZIN札幌大会で後藤丈治選手に敗れての今大会の×中国人ファイターとの対戦になりました。
「初出場だったRIZINでの試合は、どうしても勝ちたかったです。ただRIZINに出るためにDEEPで結果を残すという考えでもないんです。機会を貰えたらRIZINに出たいですけど、DEEPはDEEPでしっかりと勝つ。今回もそうですけど、自分のレコードを汚くできないですし」
――キャリアアップを図るうで現状の8勝5敗から9勝5敗になるのと8勝6敗になるのでは、もう見た目の印象からして違ってきます。
「それはデカいですよね。次で14戦目、意外と試合をやってるなって(笑)。自分のキャリアがどうなっていくとか、あまり考えてやってこなかったけど、『もう結構やっているな』って」
――やってきたなかで、満足度というものは?
「全然です。でも、今が一番楽しいッスね。ちゃんとMMAをやることができて。以前はほとんど減量もせずに、柔術の延長線上でMMAを戦ってきました。でも米国から戻ってきてちゃんとMMAをやろうと思うようになって」
――その米国を経験して意識の変化があり、DEEPの3連勝からRIZIN出場となりました。
「いうと、ちゃんとやるようになりました(笑)。ただ、そうやるとMMAをやろうとし過ぎてしまって」
――強いところで勝負すれば良いのに、と?
「そうなんです。そこを後藤選手が気づかせてくれました。俺は負ける時は組み技を凌がれて、組み技にいけなくなった時なんですよね。DJ.taiki戦からそういうのがあって、負ける時はそうなる」
――そこを回避するために、何か試みてきたことはありますか。
「これまでも負けて変えようとしたことはあって。それが柔術に振り切るとか、打撃を磨くとかで。でもレスリングから逃げてきた。もともとレスリングが好きじゃないから、避けてきたんです。
もう逃げてちゃダメだと思って、最近はレスリングに重点を置くようになりました。そうしたら、だいぶ調子は良くなっています。だから今、一番楽しい。ここ半年ぐらい、レスリングを毎日やってきて。後藤選手との試合もテイクダウンをして、極めようと思っていたけど、まだレスリングはやり始めたばかりであんまり上手くいかなくて。今はビビらずにレスリングができます。俺のMMAに絶対に必要だったモノをやっと見つけた感じです」
――鹿志村選手の一番強い部分は柔術です。そこにレスリングが欠かせないとなった今、下からの極めという柔術を武器にしないということでしょうか。
「もう下じゃないです。引き込みは無理です。クレベルが朝倉未来選手に負けたように……もう下という考えはなくなりました。いや、真面目にレスリングをやるようになって『もっと前からやっておけば良かったな』と思っています(苦笑)」
――そのレスリングとは、どこか出稽古を行っているのですか。
「Battle Boxで藤波朱理選手のコーチをしている山口海輝(日体大柏時代に2016年インターハイ優勝。その高校時に出場した2017年全日本選手権で57キロ級3位。日体大進学後、2018年全日本学生では61キロ級を1年で制し、2019年世界ジュニア61キロ級優勝。65キロ級転向後、2019年の61キロ級に続き2021年にも世界大会出場。アジア選手権で銅メダル獲得)さんに指導してもらっています。
ピュアレスリングをずっとやっています。5分5Rのピュアレスリングを」
――それはしんどい。
「凄くしんどいです。マジでしんどい。そのしんどいことを今はやれているから、俺のMMAに生きています」
――レスリングをやりこんできたことで、MMAグラップリングが変わってきた感覚をロータス世田谷の練習などで感じることはありますか。
「あります。壁レスで自分が諦めちゃう瞬間ってあったんです。諦めるポジションが。でもレスリングをやることで、壁の知識も分かってきた部分があります。そこを上久保(周哉)さんに尋ねたり。上久保さんの壁レスは、めっちゃ凄いです。同じ階級だけど、戦うこともないだろうし。凄く教えてくれます。
あと八隅(孝平)さんとの練習は、やることをやらせてくれて凄くありがたいですね。俺の先生というわけじゃないのに、凄くこっちのことを考えてくれて。八隅さんは凄く優しい人です。それと俺がちゃんとやっていれば、ロータスの皆は親切に教えてくれます」
――レスリングとグラップリングが充実してきた。そこを生かすには、打撃から組み立てる必要もあるかと思います。
「まずは防御、そしてテイクダウンに入るための打撃を良太郎さんのミットとかでも、創ってきています。相手どうこうでなく、自分の打撃を。打撃でフェイントをかけて、テイクダウンをする。良太郎さんからも『あくまでも、寝技につなげるための打撃だからね』って言われています。そこを本当に意識していないと、俺は打撃に行ってしまうんですよ。
立ち技が楽しくなっちゃって。『俺は立ち技でもいける』ってなったら、ダメです。俺が勝ってきた試合は、打撃で行こうなんて考えないで戦った試合で。後藤選手との試合は、どっかで当たるんじゃないかと思って、そのどっかを狙い続けてしまいました」
――どこかで当たるっていうのは、博打の要素が大きくならないでしょうか。
「まぁ博打ですね。博打を増やすことで、当たることになる。それが試合で。『コレを打ったら当たるかも』という場面を増やせば、チャンスが増える。試合に確実なんていうものはないから。その博打が左のオーバーハンドだったんですけど、パンチを狙うという頭で試合にいかないこと。それを意識すると、自分の動きでなくなってしまうので。それに、当てようと思っているとバレちゃいますよね(笑)」
――鹿志村選手は顔に出るタイプに思いますし(笑)。
「そうなんですよ。痛いと痛いって顔に出るし、バックから落とされると『マジかよ』って(苦笑)。でも、自分の思うように戦っていると、そんな風にはならない。だから、最後は気持ちッスね。強い気持ち」
――最後は気持ち。つまりは、そこまでの積み重ねがあるから出てくる言葉かと。
「そうッスね。今はレスリングでそれをやってきたつもりです」
すぐに倒して、極めるイメージはできています
――では、そういうなかでアーチーエープーことマジシャン戦です。戦績でいえば8勝3敗、BRAVE CFの中国大会でも2試合戦っている選手です。
「高身長、オーソドックスのストライカー。ただ、それだけです。舐めていないし、警戒もしている。どこが危ないかも理解したうえで、マジで相手にならないと思います。すぐに倒して、極めるイメージはできています。これがイメージできている時は勝てます。アイツは大丈夫です」
――マジシャン戦を経て、これからへの期待が高まる試合をお願いしたいです。
「大丈夫です。1試合、1試合大切にして戦いますけど、寝技が強いという評価をされる戦いをします。そして……DEEPのベルトを狙いたいです」
――チャンピオンは福田龍彌選手です。
「ランキングがないから、誰が挑戦できるか分からない。だから、次の試合でその可能性を高める。そんな試合にできれば良いなと思います」
――今、福田選手と戦って勝算は?
「いけるッスね。このテイクダウン能力があれば。俺はいけると思う。これでいけないと、相当詰まるんで。レスリングをやり切れることなんてないけど、やり続けているので。今の状態でやっていると、俺は全然ビビらないです。
後藤選手との試合は、負けたけど収穫もありました。俺は打撃でも、結構やり合えていると。それがあるからこそ、レスリングにフォーカスをして倒して極める試合ができるだろうって。十分に手応えがあるので、まずは次の試合で皆に納得してもらうためにパパッと極めます」
■視聴方法(予定)
9月7日(日)
午後12時05分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ
■DEEP TOKYO IMPACT2025#04 対戦カード
<バンタム級/5分3R>
鹿志村仁之介(日本)
マジシャン(中国)
<フェザー級/5分3R>
海飛(日本)
ジャッキー狂(中国)
<フライ級/5分3R>
杉山廣平(日本)
ラスカル(中国)
<フライ級/5分2R>
橋本優大(日本)
安永吏成(日本)
<フライ級/5分2R>
横内三旺(日本)
松井優磨(日本)
<フェザー級/5分2R>
黒井海成(日本)
奥村歩生(日本)
<ライト級/5分2R>
山崎弥十朗(日本)
アサン・ゲェイデ(セネガル)
<フライ級/5分2R>
マサト・ナカムラ(日本)
松丸息吹(日本)
<フェザー級/5分2R>
鈴木大晟(日本)
今村豊(日本)
<フライ級/5分2R>
颯斗(日本)
石原射(日本)
<バンタム級/5分2R>
生田大雅(日本)
西山亮翔(日本)
<OPアマチュア フェザー級/3分2R>
寉岡樹記(日本)
大和田龍斗(日本)
<OPアマチュア フェザー級/3分2R>
菅涼星(日本)
ダイア(日本)
<OPアマチュア フライ級/3分2R>
岸翔大(日本)
荒井夕翔(日本)