【RIZIN LANDMARK11】鹿志村仁之介と戦う後藤丈治に聞くキルクリフ修行の成果「点。線。点と線と円」
【写真】言い方は粗いが、インテリジェンス溢れる後藤の言葉の数々だ (C)MMAPLANET
14日(土)に札幌市南区の真駒内セキスイハイム・アイスアリーナにて開催されるRIZIN LANDMARK11に後藤丈治が出場し、鹿志村仁之介と戦う。
Text by Manabu Takashima
特定の主戦場を持たず、試合を重ねる後藤が札幌凱旋。今やグラップラーのイメージすらメディアに持たれるようになった後藤は、この試合を前にキルクリフCFで出稽古、いや武者修行敢行した。
TRIBE TOKYO MMAの研鑽の日々、その答え合わせを経て後藤はどのようなMMAを鹿志村相手に披露しようとしているのか。その心境を尋ねた。
対RIZINという気持ちでいます
──3月にパンクラスでの合島大樹戦で勝利しバンタム級KOPを目指すと思いきや、このタイミングでRIZIN札幌大会出場。ジャパン・メジャーに1年8カ月振りの出場となりました。
「もともとRIZIN北海道はあるんじゃないかという話が聞こえてきていて、そこを視野に入れてのパンクラス出場でした。3月に試合機会を探していた時もパンクラス、DEEPと交渉をしてもらっていて。結果、パンクラスで戦って勝ったことで、タイトル戦線という流れにも乗ることができた。そういう流れでしたね」
――対戦相手は鹿志村仁之介選手、このカードは札幌ご当地カードに近く、RIZINバンタム級タイトルラインに近いカードではないとも捉えることはできます。
「地元で試合ができるチャンスを貰えた。今回は対鹿志村ではなく、対RIZINという気持ちでいます」
――それはどういうことでしょうか。鹿志村選手はRIZIN初参戦ですが。
「そういうことも含めて、対RIZINなんです。それがRIZINとの戦いで。鹿志村選手に対するRIZINの期待が込められたカードですよね。ここで勝ってオファーがもらえるなら、違うヤツとやっていきたい気持ちもあります。そこら辺も含めて、今回はデカいモノと戦うつもりです」
――いうとRIZINはDEEPとの繋がりが強いことは明らかで。そこを意図した発言なのでしょうか。
「そんなストーリー通りに行くわけねぇだろうと。目にモノを見せてやるって。修斗で戦っている時から、RIZINで何試合かやっている選手と戦って『絶対に俺の方が強い。本物はこっちにいる』という想いで介錯してきました。あの気持ちはずっと今でも持っているし。
RIZINに出たからといって、RIZINファイターだって胡坐をかいて、そこそこのポジションをずっとキープするんじゃなくて。俺はずっと大きなモノに対して、立ち向かう気持ちでやっていたいと今も思っています」
――そんななか今日の会見(※取材は5月8日の記者会見後に行われた)で、いかにもグラップラー対決のような質問がありました。
「アハハハハ。俺もそういう認識があるんだって(笑)。ツイスターで勝つと、そっちメインになるのかって。バックの後藤みたいな(笑)」
――個人的には須藤拓真戦から、如何に後藤丈治が進化を遂げたのか。それを確認したい一戦です。
「自分自身、あの敗戦をきっかけに変わったという認識でいます。あの試合から自分の心と強く向き合うようになって、そこをひたすら続けてきました。堀江(登志幸)トレーナーからずっと『お前は30歳、31歳からだ。皆より遅い。でも、あとから一気にまくれる』って言われてきたんです。
でも、俺は『はっ? 連勝しているし、もっと早くいける』って思っていたんです。それが……今年で29歳になって、そうなっているって実感できて。26歳からブイブイいわすつもりだったけど、堀江さんに言われた通りこれからがピークになりつつあるなって感じています」
殺し合いのなかでの直感を磨けた
――4月のキルクリフFC修行は、そこを確かめにいったということですか。
「そうです。一番は腕試し。完全にスパーリングメインで、腕試しをしたかったです。もう一つは色々と持ち帰りたいというのもあったけど、マネージャーがキルクリフで働いているので話したいというのもありました。
2週間ですからね。キルクリフの一員になれるわけでもない。だから腕試しをしようと」
――キルクリフ勢からすると、絶対にそんなヤツに譲りたくないですよね。
「ハイ(笑)。そうなってくれることを望んでいたので、MMAグローブのガチ・スパーはなかなかのモノでした(笑)。毎日のシチュエーション・スパーも基本は、そうですよね。ライト級のデカいヤツらが、思い切り殴りかかってくるんですよ。最高でした(笑)」
――それで得られたモノとは?
「端的にいうと、殺し合いのなかでの直感を磨けた。それが一番です。向こうでやっていることが全て正しいと鵜呑みにするのではなくて、海外の選手の戦う感覚……なんか言語化できないモノに触れたのは、金と時間を投資した価値がありました」
――言語化できなくて、掴めたもの。イイですねぇ。英語同士のやり取り、日本語を間にかますやり取り。絶対に違ってきます。その違いを言い表すには、違う思考が入ってくるか否か。ダイレクトに向こうの感性に触れるには英語同士でないと――というのが、自分はあります。いくら下手でも。
「それっ、めっちゃ分かります。そういうことなんです、スパーリングで感じられるモノって。言葉と論理でなく感覚、直感が磨かれました。MMAPLANETのインタビューでヘンリー・フーフトが『日本の5勝0敗は、米国の2勝だ』ぐらいのことを言っていたじゃないですか」
――ハイ。
「凄く感じました。6勝0敗、5勝2敗とかの選手とガチでやりやって。なんか膚の硬さというか、詰まっている感も全然違っていて」
――長期滞在派と後藤選手は明らかに狙いが違ったのですね。
「自分たちが創ってきたモノの再構築。ただ、バンタム級は多くないのでフレームがデカい人間のなかでガチ・スパーをするともたないとも感じました。
米国はレスリングが違うというじゃないですか。その通りでした。オールアメリカンのレスラーもいて。と同時に、日本にはなかなかいないそういうタイプの選手が、何をやられると嫌なのか……。通用するモノがある。そこに気づきがあったことですね。
そこもTRIBEでやってきたことの答え合わせになりました。やってきたことは、間違っていなかったです。一つ一つの技の精度、練り上げてきたモノはTRIBEとして全然負けていない。
そのなかで修正が必要なのは、やってきたことを線にするということ。僕らは点のままが多かった。それがキルクリフの選手は線になっていて、戦いが円になっている。一見、点がバラバラでもちゃんとつながっていました。アイツらはそれができているから、ヤバい。俺たちは点の作業を線にしていかないといけない。それが分かったということは、また強くなれるきっかけになりました・
その点を巨大化させて、ぶつける。そういう戦いもありです。だから正解、不正確でなくキルクリフで掴んだ感覚は皆が総じて、線にするのが上手かったということなんです。線、円になっているって別に点でも戦える。キルクリフ、ATTという強豪ジムの練習は、戦いが円になっている。その認識を持ちつつ、円同士の戦いで勝つのか。大きな点を持って行くのか。その感覚が芽生えました。敵を知ることができた。そう感じています」
――長南代表も一緒だったことの利点というのは?
「目を光らせてくれることです。楽するつもりも、遊ぶつもりも全くなかったですけど、長南さんがいてくれることで完全にMMAにフォーカスできました。相部屋でしたし」
――うわぁ……キツっ(笑)。
「アハハハハハ。休憩中にマッドマックスを爆音で一緒に視ていました(笑)」
論理だけでなく、感覚で戦ってフィニッシュしたい
――技術を学びにいくより、即効性のあるモノを手にしたようですね。
「間違いないです。戦いに必要な感覚という部分で、相手がグラップラーとかストライカーとか関係なしに、めちゃくちゃ生きると思います」
――その点において鹿志村戦で、実行すべき戦いとはどういうモノになるのでしょうか。
「フィニッシュすることは絶対。パンクラスの合島戦で得られた殺しに行く感覚と、キルクリフで得た戦うために必要な感覚。これを組み合わせて論理だけでなく、感覚で戦ってフィニッシュしたいと思います」
――31歳、ピーク説を頭に入れて見させてもらいます。
「今、見えているモノの解像度が一気に変わった感覚があるんですよ。同じモノを見ても、より細部まで理解できるというか。あと2年もあれば、めっちゃ強くなりますよ(笑)」
■視聴方法(予定)
6月14日(土)
午後12時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■RIZIN LANDMARK11 対戦カード
<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
木村柊也(日本)
<ライト級/5分3R>
堀江圭功(日本)
西川大和(日本)
<フェザー級/5分3R>
ビクター・コレスニック(ロシア)
SASUKE(日本)
<RIZINワールドGPヘビー級T一回戦/5分3R>
アレクサンダー・ソルダトキン(ロシア)
プリンス・アウンアラー(フランス)
<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
CORO(日本)
<バンタム級/5分3R>
後藤丈治(日本)
鹿志村仁之介(日本)
<52.5キロ契約/5分3R>
ソルト(日本)
万智(日本)
<バンタム級/5分3R>
マゲラム・ガサンザデ(アゼルバイジャン)
安藤達也(日本)
<フェザー級/5分3R>
イルホム・ノジモフ(ウズベキスタン)
新居すぐる(日本)
<ヘビー級/5分3R>
シナ・カリミアン(イラン)
荒東“怪獣キラー”英貴(日本)
<フェザー級/5分3R>
山本空良(日本)
鈴木博昭(日本)
<フェザー級/5分3R>
遠藤来生(日本)
ザーシバーディン(中国)
<キック 61キロ契約/3分3R>
上野奏貴(日本)
山川賢誠(日本)
<キック 64キロ契約/3分3R>
上野空大(日本)
ファーパヤップ・GRABS(タイ)
<キック 55キロ契約/3分3R>
としぞう(日本)
鵜澤悠也(日本)
<ウェルター級/5分2R>
成田佑希(日本)
能登崇(日本)
<フライ級/5分2R>
鈴木嵐士(日本)
早坂優瑠(日本)
<バンタム級/5分2R>
小林大希(日本)
森永ユキト(日本)
<キック 52.5キロ契約/3分3R>
西島恭平(日本)
林修斗(日本)