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【RIZIN LANDMARK13】Fight&Life#113より。ダニー・サバテロに挑戦、後藤丈治「全然、左で倒せる」

【写真】倒せる武器、倒すまでの武器。場所を問わず、強豪との対戦を欲してきたことで、装備を整えてきた 後藤(C)MMAPLANET

現在発売中のFight&Life#113で、4月12日(日)に福岡市博多区のマリンメッセ福岡A館で開催されるRIZIN LANDMARK13でバンタム級王者ダニー・サバテロに挑戦する後藤丈治インタビューが掲載されている。
Text by Manabu Takashima

大晦日にホセ・トーレスを下し、RIZIN通算成績を5勝0敗とした後藤が王座挑戦権を手にした。周囲が「もう1、2試合」と思っていたタイミングでの、サバテロへの挑戦。左に帰結するファイター、後藤丈治の理論と直感の融合とは?

考えることができるから、考え過ぎない。決して考えないということではない。その考えを言語化できる後藤丈治インタビュー、ここで全文掲載したい。


『勝てる可能性があることを考慮した』と言ってもらえました

――4月12日に福岡でダニー・サバテロの持つベルトに挑戦が決まりました。大晦日にホセ・トーレスに判定勝ちをした時点で、次の試合がタイトル戦になるという風に思っていましたか。

「試合内容でいうと難しい。でもRIZINバンタム級を俯瞰してみると、立ち位置や役割としては次は自分なんじゃないかというのはありました。それを周囲に話しても『もう1、2試合挟むだろう」という反応でしたけど』

――どのような要因で、そう思えたのでしょうか。

「バンタム級の星取表もありますし、RIZINがどのようにサバテロを扱っているのか。そこを考えると、自分かなと」

――サバテロは福田龍彌選手を一番意識しているようでした。そのなかで後藤選手もタイトルコンテンダーだという感じで。

MMAPLANETのインタビュー、読みました」

――えっ、先ほどアップしたばかりなのに(笑)。インタビューはダウトベック×福田戦の発表前に行ったものでした。取材をしていて思ったのですが、安藤達也選手が福田選手に勝っていたら挑戦者だったのではないかと。

「僕も安藤さんが勝っていたら、挑戦していたと思います」

――後藤選手のコールアウトにも、「上に来るのを待っている」という姿勢だった安藤選手を飛び越えることになりました。

「自分は常に強い相手を求めてきたので、大晦日が終わった時点で一番戦いたい相手はサバテロになっていました。ただ安藤さんと仲良しこよしになるっていうことじゃ全然なくて、自分がベルトを獲って『安藤さんが挑戦権を手にした時にやりましょう』って言いたいです」

――正式にタイトル戦のオファーがあったのはいつ頃だったのですか。

「1月30日、パッチー・ミックス×秋元強真戦の発表があった次の日に、RIZINの事務所に挨拶に行ったんです。僕から連絡して、決まっていたことで。榊原(信行CEO)さんが座った直後に『大晦日お疲れ様。4月、タイトルマッチ行ける?」と。『行けます』って即答しました。自然と『よっしゃ』という声が出ていました(笑)。で榊原さんが『情報漏洩はダメだから。ここだけの話で』と凄い眼力で(笑)

――アハハハハ。

「さすがに長南さんとは共有させてもらいましたけど(笑)。福岡大会の会見が明後日だから、まだ練習仲間にも言えなくて」

――では長南さんの反応は、どのようなモノでしたか。

「『マジかぁ?』、『すげぇなぁ』って(笑)」

――口真似はなくて大丈夫です。読者には伝わらないですので(笑)。

「アハハハハ。長南さんも意外そうでした。トレーナーの堀江(登志幸)さんと同じで、『1、2試合挟む』派だったので」

――RIZINはストーリー性を重んじていますが、結果を残した者が挑戦権を得る。嬉しいことです。

「『勝てる可能性があることを考慮した』と言ってもらえました」

――後藤選手はSNSに力を入れている選手ではないですが、そこについて言及はなかったですか。

「それは何も言われなかったです(笑)。SNSへのスタンスは変わらないと思います。やっても上手くできないので。でも広報の横島(加奈)さんに次に会う時は、ダンスを一緒にすることになります」

――タラレバも過ぎるのですが、昨年6月に鹿志村仁之介戦後、タイトル戦のオファーがあったら、今回と同じように「よっしゃ」と言えたでしょうか。

「いや、それは役者が違うと思ったはずです。内容を置いて、結果だけを見てタイトル戦になったら、『なんで?』って自分自身もなるので。今回はホセ・トーレスにスプリットだけど勝てた。北米で名前のある元UFCファイターに勝てたこと、RIZINで5勝0敗になった。なら挑戦権があるのは、自分しかいない。だから『よっしゃ』なんです」

――それだけホセ・トーレス戦が大きかったわけですね。

「そうですね。11月の中島(太一)選手との試合から連戦で、チャレンジでもありました。ただ、試合内容に関しては40点……いや30点ですかね。自分の仕上がり具合も60点ぐらいで。全然、合格点には届かないモノでした。完璧に創れていたのは気持ちだけで」

――マイナス部分というのは?

「体の状態、技の精度に課題が残りました。それを気持ちだけ乗り越えたような試合でした」

――11月の中島戦と結果でなく、動きを比較すると?

「中島選手との試合は心技体の全てが、バチっとはまっていました。トーレス戦は心だけで、技と体はハマらなかったですね。前の年の11月から数えると5戦目で、最後のショートスパンは難しかったです」

――トーレスは判定に不満を述べていました。打たれ強い選手ですが、パンチは被弾していました。

「絶対に効いていました。試合後に話した時、『パンチで意識が飛んだ』と言っていたので。ロー、前蹴り、ボディも入っていました。

――ダメージ重視という判定は難しいところがあります。なのでトーレスに試合後に「ダメージが残っていれば、テイクダウンは取れないのではないでしょうか」という質問をしました。すると「ダメージはあった」と。なら、あなたの負けでしょと(笑)。

「ハハハハハ。三日月蹴りは効いていたと思います。ただ打たれ強さは感じました」

中井(祐樹)さんが『米国に挑戦という考えを捨てたほうが良い。挑戦という時点で相手を上にして、一発で倒せないという幻想を持ってしまっている。日本がMMAのパイオニアなんだから。挑戦という気持ちは持たない方が良い』と

――今後、国際戦が増えてくるとそういう相手も増えてくるかと。

「そこで多くの選手は、もっとパンチ力をつけようと、フィジカルを強化しようとするんじゃないかと思います。僕の場合はそうじゃなくて。より的確に、しっかりと拳を当てる精度を上げていこうかと。だから長南さんとの練習でも、ジャブから正しています」

――後藤選手は左で倒す。そこに帰結するファイトをしてきました。相手も自身の状態も違うなかで、最後は左という組み立てをしている。なので再現性が高いファイトが展開できる選手なのかと。

「再現性はあると思います。自分のなかで左は絶対に倒せるという自信があるので。倒せる時は相手との間に自分がハマっている時か、相手が意識してないところで当てた時。このニ択なんです。中島選手は完全にボディをガードしていて、顔面への攻撃を意識できていなかった。いうと相手を無意識化させている。だから倒せた。ちょっと言語化が難しいですけど……」

――相手の動きを創るのも、後藤選手だと。そういう設計図が頭の中にあるかと思うのですが、イリアス・エジエフ、マンド・グティエレス、トーレスは何が違って倒せなかったのでしょうか。

「そこでいえば設計図通り戦っても、幻想を持ってしまっていたからです。外国人は倒れないと。こないだ中井祐樹さんと話をさせてもらった時に、米国人と戦う時にどういうことを意識すれば良いですかと質問させてもらったんです」

――ハイ。

「そうしたら中井さんが『米国に挑戦という考えを捨てたほうが良い。挑戦という時点で相手を上にして、一発で倒せないという幻想を持ってしまっている。日本がMMAのパイオニアなんだから。挑戦という気持ちは持たない方が良い』と」

――おぉ。まさに外国人は打たれ強い幻想を持ってしまっていますね。

「だから、その幻想を打ち破ることができれば左で同じように倒せるようになるんじゃないかと。それって如何に自分を信じることができるのか、なので。図太く行きたいです。それと設計図に関しても、鹿志村戦ぐらいから大まかにしか作らないように変わっていました」

――そうなのですか。

「外国勢との連戦で、想定外の動きが多くて。その場に応じた攻撃をする方が良いと思うようになって。以前は映像を見て、色々考えていました。でも、やっぱり映像通り動くわけではないですし。外れた時に、自分がどうなるのか分からなくなるのが嫌で。だから試合が決まった時に一応チェックして、あとは自分のなかで相手を創っています」

――固定観念を持たないと。

「その場の感覚で戦うということですよね。だから鹿志村戦の時は、シンプルに下を破壊して、上の無意識を創らせようとか。それぐらいでした。設計図を引いていないので、中島戦で当たったパンチは、全て違う打ち方をしていて。その時に必要な打ち方をしていたんです」

――そのために練習方法に工夫を加えるとかありましたか。

「ハイ、一般の会員さんとマス・スパーをするようにしています。プロ練習の相手と違い分からない人だし、どういう動きをするのかも知らない。そこで『初めまして』の直感力を養うというか。マスだと会員さんもビビらずにやってくれるので。そうやって論理と直感で戦うということを習慣づけています」

実はRIZINのケージってリングの時よりも踏ん張りがきくんですよ

――論理と直感。昨年4月のキルクリフFCの練習を経験した後で「論理だけでなく、感覚で戦ってフィニッシュしたい」とそれこそ言っていましたね。

「そこにキルクリフで気づけました。考えることは大切です。練習以外の時間でも映像を見たり、読書をしたりすることも。でも手段に特化しすぎない。目標は相手をKOするか、タップさせることなので」

――それでもハマる、ハマらないが出てくるのが試合で。

「その通りですね。あとはその日の自分に合わせることですね。ヒジが痛ければ、ヒジが痛いなかでの100パーセントを目指すべきで。ヒジが痛いことを考えてもしょうがない。そういう風に戦えるようになったので、ホセ・トーレス戦は60点満点で、60点が取れた試合でした。60点満点で75点は取れないし、30点にならないように戦わないと」

――凄く明快です。ただし、ここまで後藤選手の話をきいておいて徹底的に組んでくるサバテロのような相手に拳を当てるのは、打撃を交換してくる相手よりも困難さが伴うのではないかと思ってしまいます。

「それも幻想です。サバテロは自分のMMAレスリングに凄く自信を持っているし、評価もされている。でも俺からしたら関係ない。当然、レスリングで対抗する気もない。自分の持っている手札で、どうゴールに向かっていくのか。そこに強力なレスリングというファクターが加わるだけで。そこを掻い潜って、しっかりとフィニッシュします。全然、左で倒せると思っています」

――話を伺っていると、ワクワクしてきますね。

「そうですか!! ありがとうございます(笑)。だからといって、簡単に戦えるとは思っていないです。自分がめちゃくちゃ苦しいスタイルを、いつもやりぬく。それだけの練習をしてきている選手なので」

――MMAレスリングは当然として、サバテロの強みとはどこにあると考えていますか。

「組んで、キープして殴る。こうすれば勝てるということを信じている力ですね。太田忍戦で打撃を使って、あれで勘違いしてくれれば良かったんですけど(笑)。佐藤将光選手との試合では効かされると、徹底して組み続けました。あれこそが、サバテロの強さなんですよ」

――当日の状況というなかで、今回のタイトルマッチはリングでなくケージで行われます。そこに関して、どのように思っていますか。

「ケージで良かったです」

――えっ、それは意外な返答です。

「言い訳できない状況じゃないですか(笑)。まぁ、それは覚悟の問題ですけど、実はRIZINのケージってリングの時よりも踏ん張りがきくんですよ」

――RIZINマットで足元が滑る問題は堀口恭司選手がUFCに再合流して、誰もが納得したということがありましたが。RIZIN内でリングとケージでキャンバスに違いがあるのですか!

「札幌、神戸と比較して大晦日は本当に滑りました。足元の変化は、サバテロも戦いやすくなるかもしれないですが、自分は自分が良くなれば良いというマインドなので。どんどん自分に良い条件を見て、戦おうと思います。逆にサバテロはインタビューで『俺はまだ強くなる』、『防衛し続ける』と言っていたじゃないですか。あの時点で、勝ったなと」

――どういうことでしょうか。

「サバテロは守らないといけないという義務、強制のマインドに入っています。でも、僕はこっちが獲りに行くという自分主体のマインドです。そうはいってもあれだけ闘志を持っている選手なので、追い込まれたら何が何でもっていう調子に戻るでしょうけど」

――そうなる前に倒したい?

「そうなったら、そうなったで立ち向かえるだけのモノを自分は持っていると信じています。『トーレスにギリギリで勝って、数字も持っていないような選手が、なんでサバテロに挑戦できるんだ』っていう声も出てくると思います。そういう声を封じ込んで、これからどういう人生が待っているのか。凄く楽しみです」

※後藤丈治インタビューが掲載されたFight&Life#113は現在、発売中です。

■視聴方法(予定)
4月12日(日)
午後2時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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