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【MGL-1FC22】キャリア6戦目を母国で。オトゴンバートル「UFCこそが、自分が何者かを証明できる場」

【写真】21歳。未知のカザフスタン人ファイターとの試合に臨むオトゴンバートル(C)BATNASAN/SHANDAS MMA

14日(土・現地時間)にモンゴルはウランバートルの中心、元横綱・朝青龍が保有するASAアリーナで、MGL-1 FC22が開催されオトゴンバートル・ホルドバートルがカイザール・ジャウガシャールと戦う。
Text by Manabu Takashima

キャリア1年半、5勝0敗。5フィニッシュのGladiatorフライ級王者はモンゴルMMA界の未来と呼ばれている。1月にそのグラジのベルトを巻いた時、オトゴンバートルはできれば直接UFC、そうでなければRoad to UFC出場をターゲットとしていた。

想いもしない理由でRoad to UFCの選外となったオトゴンバートルに、この試合までの流れを尋ねた。


Road to UFCで戦えないなら、RIZINで試合ができないかとも考えた

――オトゴン、1月にGladiatorフライ級王座を獲得した時にはRoad to UFC出場をターゲットとしていました。しかし、出場は果たせず今回はMGL-1FCで戦います。

「僕の夢はUFCで戦うことで、そのためにRoad to UFCに出場することを考えていた。でも僕の戦績は5勝0敗で6戦に達していないから、その資格がなかったんだ」

──パフォーマンスでなく、ただ試合数が理由で出場できなかった。その事実にどのような気持ちになりましたか。

「もう、しょうがないよね。そういわれると、僕にできることはないから。今年に関してはRoad to UFCはないことが明確になった。でも、それって来年には出られるってことだと思っているんだ」

──なるほど、ポジティブですね。とはいえ同じモンゴル人選手のナムスライ・バットバヤルがRoad to UFCフライ級トーナメントに出場したことは、心穏やかではなかったのではないでしょうか。

「実はMGL-1FCでフライ級のベルトを賭けて、ナムスライと戦う予定だったんだ。でも彼がRoad to UFCで戦うことになったから、このタイトル戦はなくなってしまったんだ」

──個人的に昨年のチェ・ドンフンのように、オトゴンがRoad to UFCに出ることができていたら優勝する可能性も十分にあったと思います。

「そうだね。Road to UFCのフライ級の試合をチェックしたけど、あのメンバーだと僕も優勝できたと思っている」

──そんななか1年5カ月振り、2度目の母国での試合になります。

「実はRoad to UFCで戦えないなら、RIZINで試合ができないかとも考えた時期もあったけど、MGL-1FCで試合が決まって良かったと思っている」

──RIZINも視野にあったと?

「そうなんだ。RIZINの関係者が、僕を評価してくれていると人づてに聞いたこともあったし。僕はあくまでもUFCとの契約を目指しているから、RIZIN経由で直接UFCと契約できるんじゃないかと思って。ただ、それだとRIZINとの契約は一時的なモノになるからトンガー先生(ジャダンバ・ナラントンガラグ)が、『そういうことはすべきじゃない』という考えで。だから、RIZINとは交渉までも話は進むことはなかったよ」

──いやぁ、まさにトンガーらしいですね。と同時にONEからもチームメイトのエンフオルギル・バートルフーと同様の好条件でオファーがあったとも聞きました。

「僕の夢もUFCで戦うこと。夢はUFCであって、ONEではないということだよ。僕と同じような世代のMMAファイターの多くは、UFCで戦うことを目標としているはずだ。自分がどこまでできるのか、試したいからね。UFCこそが、自分が何者かを証明できる場だから。

それにMGL-1FCがウランバートルでビッグショーを開く。なら、そこで戦うよ。モンゴルの人々の前で戦うということは責任感が増すことになるしね。自分の住んでいる街での試合はより試合に集中できる。日本に行くには飛行機に乗る必要があるし、やっぱりモンゴルと日本では雰囲気が全く違うからね」

対戦相手はオーガナイザーが決めることで、僕が決めることではない。どのようなオファーだろうが、話があれば戦うよ

──ところでナムスライとのタイトル戦がなくなり、中国人ファイターとの試合が決まっていました。ところが欠場となり、その後は韓国や日本で対戦相手を探していたが見つからず、結果は4勝0敗のカザフスタン人選手と戦うことが決まりました。

「その通りなんだ。日本人と韓国人はショートノーティスでは僕とは試合がしたくないという選手が多かったと聞いた。なぜ試合のオファーを断るのか。僕には理解できないけど、カザフスタン人選手が試合を受けてくれて凄く嬉しいよ」

──対戦相手のカイザール・ジャウガシャールの戦績は4勝0敗です。オトゴンも5勝0敗。数字かは伺い知れない実力者かもしれないですし、リスクの高い相手ともいえます。

「試合映像を視たけど、カイザールは強いよ。リスキーな相手だ。寝技も打撃もできる。タフな試合になる覚悟もできている。それでも普段通りに戦えば、勝てるはずだ。スタンドもグラウンドも、僕の方が優れているからね。

それに彼とのファイトでは、これまで披露する機会がなかったテイクダウン・ディフェンス力を見てもらえるだろう。テイクダウンを切って、打撃でしっかりと仕留めたいと思っている」

──ではGladiatorフライ級のベルトは、どのように考えていますか。昨日、今井健斗選手が久保健太選手を破って挑戦権を獲得しました(※取材は9日に行われた)。どちらもオトゴンが勝利している選手が、挑戦権を掛けて戦ったわけですが。

「Road to UFCに出場できるかどうか。その答えが来るまで、試合を確定させていなかった。Road to UFC出場がなくなり、MGL-1FCでの試合が決まった。次はGladiatorのベルトを防衛だと思う。イマイには勝っているけど、対戦相手はオーガナイザーが決めることで、僕が決めることではない。どのようなオファーだろうが、話があれば戦うよ」

──ところで日本では試合に勝つと、いつもカルピスかカルピス・ソーダで乾杯をしていますが、ウランバートルでの試合に勝つと何で乾杯をするのでしょうか。

「モンゴルではアイラグ(馬乳酒=馬の乳を発酵させた飲み物で漢字では酒と書かれるが、実際にはアルコール度数は2パーセント程度でアルコール飲料とはならない。そしてカルピスの起源とも言われている)だよ。アハハハハ」


■視聴方法(予定)
6月14日(土)
午後7時00分~MGL-1FCオフィシャルYouTubeチャンネル

■ MGL-1FC対戦カード

<MGL-1 FCバンタム級王座決定戦/5分3R>
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)
シャグダル・オドスレン(モンゴル)

<フェザー級/5分3R>
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
カイオ・バチスタ・ダ・コンセイサオン(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
フレルバートル・トゥルバヤル(モンゴル)
エマニュエル・イスエクペ(ナイジェリア)

<フライ級/5分3R>
オトゴンバートル・ホルドバートル(モンゴル)
カイザール・ジャウガシャール(カザフスタン)

<フェザー級/5分3R>
エルデネバートル・ガンゾリグ(モンゴル)
パク・サンヒョン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
ソドノムドルジ・プレブドルジ(モンゴル)
イエルジャン・アリアスカル(カザフスタン)

<ライト級/5分3R>
エンフトルガ・ガンボルド(モンゴル)
チハヤフル・ヅッキーニョス(日本)

<フライ級/5分3R>
ツェンドスレン・バトイレードゥイ(モンゴル)
バトスフ・モゥンフジャル

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