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【Gladiator031】Progressで再起戦=徳野戦へ、田中有「組み技・寝技を強化しているところだった」

【写真】青帯を巻く田中有が柔術の指導を受ける伊東元喜氏は2022年1月にProgress提供試合=サブオンリー戦をグラジで戦っている(C)YU TANAKA

8日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGldiator031において田中有がProgressマッチで徳野“一心”和馬と対戦する。
text by Takumi Nakamura

1月のGladiator029では小森真誉とのライト級王座決定戦に敗れ、ベルトに手が届かなかった田中。試合後は現役引退を考えることもあったが、小森へのリベンジとライト級王座奪取を目標に掲げて再起を決意した。再始動に向けて田中は柔術・グラップリング技術の強化に着手し、MMAでの本格復帰に向けて今回はProgressルール=グラップリングルールでの戦いに挑む。


――1月のGladiator029ではデマルケス・ジャクソンの欠場で小森真誉選手とライト級王座決定戦で対戦。3RTKO負けという結果でベルトに手が届きませんでした。あの敗戦をどのように捉えていますか。

「自分の実力を出せなかったなと。悔しいしかないですね」

――対戦相手の変更も含めて、試合までの気持ちの作り方は難しくなかったですか。

「う~ん………難しかったですね。試合のための準備はしっかりしていたいんですけど。想像以上に小森選手がやりにくかったというのもあったし、正直もう自分が弱かったとしか思わなかったですね」

――あの時はBellatorやLFAを経験しているジャクソンと戦えるということが大きなモチベーションだったと思います。そこが消滅しての小森戦というのは、納得して試合を受けているとはいえ複雑な心境ではありますよね。

「本当になんとも言えないって感じがホンマに強かったです」

――練習そのものはジャクソンから小森選手に変更になって、内容やメニューも小森選手用に変えたのですか。

「いや、そこはもう何も変えずに、もういつも通りの自分の試合しようって思って準備しました。僕は相手こうだからどうだからであまり自分を変えないので、いつも通り戦おうしか思っていなかったですね。準備も何も普通に同じ練習して、相手がこうじゃなくて自分の試合をしようと思って臨んでいました」

――小森選手はどのあたりがやりにくかったですか。

「テイクダウンできるシーンもいっぱいあったんですけど、壁の対応力というより、いつもは抑えられるところを抑えきれなかったというのが大きかったですね」

――小森選手のなかでの逃げる・許さないポイントがあって、そこを起点に対応している印象があります。

「そうなんですよ。なんか小森選手に誘われている感じもあったかなと思います。僕に攻めさせるだけ攻めさせておいて、最後は自分がいいところを取って楽に試合を進める、みたいな。こっちが攻めさせられている感覚がありましたね、ずっと」

――小森戦が終わった時の心境は?

「試合が終わって1カ月くらいは正直もう引退しようかなと思いました。言い方は悪いんですけど、ここであの選手に負けるようじゃ俺格闘技をやっている意味ないなと思っちゃって。ただ落ち込むというよりも………言葉にはしづらい感情で何をどうしたらいいか分からないみたいな感じでしたね」

――そこまで思い詰めていたんですね。そこからどのように気持ちが戻ってきたのですか。

「練習やトレーニングはルーティンになっているので継続していましたけど、試合を想定したり、技術を伸ばしたりするためにやる感じではなかったです。でも応援してくれる人たちに『もう1回やり返せ』や『こんなのでいいんか?』と言われて、このままじゃあかんなと。あとは他団体のライト級の選手たちが活躍しているを見ていると段々と腹が立ってきて。『俺、こいつらとやっても負けへんのに…』という気持ちも芽生えてきたし、小森選手にリベンジにしに行きたいと思い、もう一回やろうと思いました」

――今回はProgress=グラップリングルールでの復帰戦となりました。MMAの前にグラップリングの試合を挟みたいと思っていたのですか。

「自分を見つめ直すという意味で、一度試合を考えずに練習に集中して11月か12月に復帰したいと思っていたんです。そうしたら『6月大会でグラップリングはどうですか?』と提案されて。ちょうど今自分が柔術やグラップリングの練習に力を入れたり、柔術の試合に出たり、組み技・寝技を強化しているところだったので(Progressルールで)やってみようと思いました」

ライト級のチャンピオンは正直おもんないんで、僕がもう一回首を狩りにいこうと

――所属するreliableジム以外でも柔術・グラップリングは練習されているのですか。

「明石のGROOVY JIU-JITSU STUDIOで伊東(元喜)先生に柔術を教えてもらったり、カルペディエム芦屋で岩﨑(正寛)先生にノーギと組み技を教えてもらっています。道衣を着る練習もものすごく勉強になりますし、新しいことを始めた感じで練習が楽しいです」

――今後のことを考えた場合、しっかり組み技をやることが課題だったのでしょうか。

「レスリング力や壁の対応は自分的には上手いと思っているんですけど、根本的な寝技の技術が足りてないなと思っていて」

――MMAの場合は細かい寝技が出来なくてもケージレスリングやスクランブルで対応できてしまう部分もありますよね。

「そうなんです。そこに頼ってしまっている自分がおったなと思い、寝技に力を入れてやろうと思いました。今は寝技の理屈がちょっとずつ分かってきて楽しいですね」

――例えば一つ理屈が分かると今までバラバラだった技術がつながっていくこともありますか。

「すごくありますね。こことここが繋がってこうなるんやとか、やっぱり寝技は奥が深いし、やればやるほど勉強になります」

――今回は徳野“一心”和馬選手と対戦することになりますが、相手をどう攻略するかよりも自分をどう出して戦うかに集中していますか。

「特に相手の研究とかはしてないですね。今回は今自分がやっていることを出すというか、楽しくやりたいなと思っています。最近の試合は『絶対ここは勝たなあかん』とか『周りに魅せる試合はせなあかん』とか、精神的に抱え込んでしまうことが多くて、自分らしい試合が出来てなかったですよね。だからそんなんも全て忘れて、初心に戻った感じですね。自分は格闘技が好きなんで、今回は楽しく戦いたいなと思います」

――この試合はMMA復帰に向けた一戦だと思います。これからのMMAでの目標や展望も聞かせてもらえますか。

「前回で試合でみんなをがっかりさせた分、今回はグラップリングですけど、自分らしい戦いをして、絶対に一本勝ちしようと思います。今後の展望でいうと、ライト級のチャンピオンは正直おもんないんで、僕がもう一回首を狩りにいこうと思っています。次やる時は僕が挑戦者になるので、ここからの試合で挑戦者が強いぞというところを見せて怖がらしたろうかなと思います」


■視聴方法(予定)
6月8日(日)
午後4時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■Gladiator031対戦カード

<Gladiatorバンタム級王座決定戦/5分3R> 
南友之輔(日本)
パク・ソンジュン(韓国)

<Gladiatorフライ級挑戦者決定戦/5分3R>
久保健太(日本)
今井健斗(日本)

<バンタム級/5分3R>
宮川日向(日本)
ルキヤ(日本)

<ライト級/5分3R> 
小森真誉(日本)
望月貴史(日本)

<ヘビー級/5分3R>
大番高明(日本)
アルブリー・ンジャイ(カメルーン)

<Progressウェルター級/5分2R>
田中有(日本)
徳野”一心”和馬(日本)

<Progressウェルター級/5分2R>
石田拓穂(日本)
岸田海輝(日本)

<キック70キロ契約/3分3R>
荒尾裕太(日本)
イ・スンウク(韓国)

<フェザー級/5分2R>
國頭武(日本)
ヤン・ジファン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
野口蒼太(日本)
小林佳純(日本)

<ウェルター級/5分2R>
後藤丈季(日本)
大道翔貴(日本)

<バンタム級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
原田康平(日本)

<ストロー級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
諸井裕祐(日本)

<フライ級/5分2R>
岩崎圭吾(日本)
千葉琉偉(日本)

<フライ級/5分2R>
藤原浩太(日本)
蒔田伸吾(日本)

<ライト級/5分2R>
LUCKYBOY慶輔(日本)
友實達也(日本)

<フライ級/5分2R>
澤田政輝(日本)
福島祐貴(日本)

<フェザー級/5分2R>
コウ(日本)
山下魁(日本)

<ライト級/5分2R>
拳椰(日本)
フラビオ・ディオゴ(ブラジル)

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