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【Road to UFC S04 Ep04】ベトナムMMA王者と激突、井村塁「3試合、ボロボロになる勇気は持っています」

【写真】強敵と戦い続けてきた激闘ファイター。そのスタイルチェンジとはーー(C)Zuffa/UFC

23 日(金・現地時間)、中華人民共和国は上海のUFC PI上海で開催されるRoad to UFC2024 Ep04。1回戦ラウンドの第四幕の第1試合に井村塁が出場し、ベトナムのヴァン・イ・ギエムと戦う。
text by Manabu Takashima

ネオブラT優勝から、容赦のないマッチアップで痛い敗北を喫しながらサバイブしてきた井村。そのキャリアだけでなく、1試合、1試合がサバイブに相応しい激闘が続いた。そのなかで諦めない気持ち、戦う気持ちを見せ逆転に一本勝ちを続けたことで世界最高峰へのチケットが掛かったトーナメントで戦う権利を得た。

同時にダメージの蓄積を避けるために、スタイルチェンジにも取り組んできた。その一方で、Road to UFCを前にして井村は「ボロボロになる勇気は持っている」と言い切った。


──MMAPLANETで井村選手のインタビューは約4年ぶりになります。

「宜しくお願いします」

──中島太一戦の負けから、このタイミングでインタビューをさせていただきたいという時に敗北自体よりも、「この負け方は……」ということが何度かあり、インタビューの機会を失してきました。

「やっぱり河村戦ですかね(苦笑)。黒歴史です。あの日は眠ることができなかったですね。戦わなかったこと、戦う気持ちを見せることができなかったことを後悔して」

──その前の石井逸人戦の勝利が非常に意義深いと考えていたので。加えてインタビューはKOP王座に再挑戦する時なのかと。そのなかで井村選手のなかでRoad to UFCに関して、どのように捉えていたのでしょうか。

「それこそ2022年に声が掛かったのですが、あの時はRoad to UFCで戦えるだけの実績も残していないし……中島選手に負けた後だったので。あの年の間にベルトを取って、Road to UFCに挑戦しようと思っていました。国内で一番になれない奴が……今でもそうなんですけど、世界で一番になれるわけがないと思って。

でTSUNE選手との試合で絶対に負けられないと思っていたのに、負けちゃって。そこから3連勝できて……そうした河村戦で負けて。もうUFCとか言っていられなくなって。矢澤(諒)戦のオファーがすぐにきて。何が何でも勝って、UFCという舞台を目指すなら、もう負けられないと思っていて。そのためにもパンクラスのタイトルを取るつもりでいました。一番の目標がパンクラスのベルトだったので」

──矢澤戦、そして田嶋椋選手との激闘を制し、次はカリベク・アルジクル・ウルル戦でした。

「フッ(笑)。ウルル戦はこれまでの経験を活かし、結構創っていったんですけど……。田嶋戦の後に石渡(伸太郎)さんから、『このままじゃチャンピオンになれないから、スタイルチェンジをしていかないと』っていう風に話してもらって。サウスポーも混ぜて、半年間で石渡さんと結構創ったつもりだったんです。

ウルルはもう、もらった打撃も過去一番強かったし、組む力もそれまでの相手とは全然違っていました。一番威力のあった打撃は中島選手でしたけど、それ以上のモノが飛んできてパニックになってしまいました。組んでも『なんだ、この足の力は!!』ってなったし。一発一発の打撃が強くて、仕掛ける前にやられてしまいました。

あの時、『これが世界か』と思いました。チャンピオンになるのもそうだし。UFCを目指すなら、ああいう選手をどんどん倒していかないといけないのかとも思ったし」

──絶望しませんでしたか。

「それはなかったです。あの負けからフィジカルも本気で取り組むようになったし、3月の松井(斗輝)戦も創り込んで。ここで負けているようじゃ、UFCもパンクラスのタイトルも狙うということすら口にできないと思って戦いました」

──その松井戦は、左ストレートでダウンを奪いRNCでタップを奪いました。あの試合のあとにRoad to UFC出場が決まりました。

「あの試合のあとでマネージャーと話して、Road to UFCもないことはないと話されて、どうなるか分からないけど一応お願いしますという感じでした。でも、戦績的に出られるという期待は余りなかったです。カリベクに負けているので。

僕的にはパンクラスから、いつ声が掛かってもタイトル戦を戦えるように、すぐに体を創っていたんです。そうしたら3日後に『Road to UFC、決まったよ』って話してもらって。こんなチャンスは、もう巡ってこないかもしれないので、当然『やります』って答えました」

──評価をされたのは8つの一本勝ちと、激闘続きで勝負を諦めない姿勢を持ち続けていたからではないかと。同時にダメージの蓄積が心配ではありました。

「それは石渡さんからも『引退するまでに壊れてしまう』と言われて、スタイルチェンジに努めてきました。やっと松井戦で出たというか。勝ち負け以上に、しっかりと戦うことを意識してきました。何もやらずに、何も気持ちを見せずに変な負け方をした河村戦以降は。戦う気持ちは、田嶋戦でも出せたと思います。

Road to UFCでも『あんまり激闘をしないで』とよく言われます。激闘というか、戦う意志はUFCも求めているところだと思います。自分なりにフィニッシュしにいくし、自分なりに戦いにいくので。ここから3試合、ボロボロになる勇気は持っています」

──その覚悟を持って挑む井村選手ですが、初戦の相手ヴァン・イ・ギエムについてどのような印象を持っていますか。ここもボロボロになっても良い相手なのでしょうか。

「試合映像はチェックしました。1階級上のベトナムのMMA団体のチャンピオンで。危ない選手ではあるけど、自分のスタイルを貫けば勝てると思っています。向こうもこっちのことを研究しているでしょうけど、しっかりと倒しに行きます」

──では、最後にこの試合に賭ける気持ちをお願いします。

「自分なりのスタイルを通して倒しに行くし、盛り上げます。前回の松井戦でスタンドが結構良くなったという印象を持ってもらえたかと思うのですが、僕のスタイルはグラップリングなんで。松井戦が終わってから、石渡さんと創ってきたグラップリングを混ぜた打撃を見てほしいです。組みも今まで以上に進化しているので、見ていてください」

──激闘はもう控えてほしいと思う一方で、井村選手の試合はレフェリー、すぐにストップするなと思ってしまいます。

「あぁ、ありがとうございます(笑)。僕もパウンドを受けている時に『止めるな。待て、待て、待て』って思っています。でも、いつも心配かけてスミマセン」

■視聴方法(予定)
5月23日(金)
午後10時00分~UFC Fight Pass
午後10時00分~U-NEXT(Ep03から続き)

■ROAD TO UFC S04 Ep04対戦カード

<Road to UFC S03フェザー級決勝/5分3R>
チュウ・カンチエ(中国)
シェ・ビン(中国)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
エフェヴィガ雄志(日本)
ドン・マーファン(豪州)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
チャン・シンクゥ(中国)
ローレンス・ルイ(ニュージーランド)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
キム・サンウク(韓国)
神谷大智(日本)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
井村塁(日本)
ヴァン・イ・ギエム(ベトナム)

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