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【Road to UFC S04 Ep03】豪州HEX王者キャンベルと非トーナメント戦、佐藤生虎「有給を使い切りました」

【写真】所属するユナイテッドジムTOKYOのTシャツ(C)SHOJIRO KAMEIKE

23日(金・現地時間)に中華人民共和国は上海のUFC PI上海において開催されるRoad to UFC S04 Ep03。非トーナメント戦にパンクラスのウェルター級KOPの佐藤生虎が出場し、豪州HEX FSウェルター級王者のキット・キャンベルと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

4月27日に押忍マンにTKO勝ちしてベルトを巻いた佐藤が、わずか1カ月のスパンでRTUの非トーナメント戦に臨む。ここまでの戦績5勝0敗1NC。5勝のうち4試合はその剛腕で相手を殴り倒してきた。そんな佐藤にとって今回は初の国際戦となる。相手のキャンベルは14勝7敗のHEX王者――現地到着後、公式スケジュールをこなすなかで佐藤は、いつもどおり緊張しながら王座戴冠とキャンベル戦について語ってくれた。


――改めてウェルター級KOP、戴冠おめでとうございます。

「ありがとうございます!」

――今回のRTU出場は直前の発表でしたが、タイトルマッチの時にはすでにRTUの話はあったのですか。

「その時はなかったです。コンテンダーズ・シリーズ……っていうんですかね」

――ダナ・ホワイト・コンテンダーズ・シリーズ=DWCSですか。

「あぁ、はい。最初はそのコンテンダーズ・シリーズに出たいとお願いしていたんですよ。その一週間後に『RTUに出られるかもしれない』という話が来まして」

――RTUの開催は押忍マン戦の1カ月後です。スケジュールを考えると不安はなかったでしょうか。

「ちょっと迷いましたけど、前の試合でそこまで体のダメージはなくて。心配なのは減量ぐらいで、『1カ月後でもいけるんじゃないか』という話になりました」

――確か以前インタビューした際は正社員として会社に勤務していましたよね。

「はい、今も勤めています。このRTU出場で有給を使い切りました」

――えぇっ!

「でも世界一の団体に出るチャンスですし、このチャンスを逃したくなかったです」

――なるほど。前回の押忍マン戦では1Rに組まれてラウンドを取られましたが、2Rに左ストレートでKO勝ち。その試合展開は想定していた範囲だったのか、あるいは以前のインタビューで仰っていたとおり頭が真っ白になりながらの結果だったのでしょうか。

「1Rの最初にジャブをもらってから普段どおり冷静になれました。それまでは緊張していましたね。練習と違って、ケージに入ると頭の中が真っ白になってしまいます(苦笑)」

――1Rにバックを奪われても、『さぁ、どうやって返そうか』という感じで冷静な表情を浮かべていました。

「あの状態からやられる気はしなかったです。普段の練習で、中村K太郎さんと宮澤元樹さんのボディトライアングル、おたつロックのほうがヤバすぎて」

――それはヤバそうです。

「アハハハ、そうなんです。それに毎回K太郎さんとも話すのは、僕はラウンドを取られることは何とも思わないんですね」

――それだけ『一発当たれば――』という自信があるわけですか。

「はい。左右どちらかが当たれば相手は倒れるので」

――結果、RTU出場のチャンスを掴みました。しかし昨年のRTU、ならびに最近のDWCSでは日本人選手も苦戦が続いています。その中で自身がUFCを目指すには何が必要だと思いましたか。

「いや、僕はほぼ素人なので……」

――パンクラスのチャンピオンが素人であるはずないでしょう(笑)。周囲からも笑いが聞こえてきます。

「あ……(周囲を見渡す)。僕は経験も浅いですし、『当たれば勝つ』という感じで戦ってきましたから」

――ちなみに柔道時代に海外での試合経験はあったのでしょうか。

「ないですね。海外の試合は今回が初です。でも上海まで特に遠くもなく……ただ、周囲のお店も日本語が通じないので、感覚で買い物してきました」

――何かは分からず感覚で買い物をして困った結果にはなっていませんか。

「英語が書かれているジュースに、『100%』とあったものだけは分かりました(笑)」

――アハハハ、最高です! 先ほど仰った一つの心配、体重については現在どのような状況ですか。

「前回の試合は16キロ減量して、試合後に8キロ戻りました。今はもう安定していて、今朝測った時はもう80キロ少しぐらいでしたね。こちらはご飯が出るので……」

――現地では体重調整用の食事が提供されますからね。対戦するキャンベルの印象を教えてください。

「まだあまり試合映像を視ていないんですよね。3試合ぐらい……身長が大きくて、結構キックボクサーっぽかったです」

――デビュー当時の試合を視るとレスリング中心ですが、次第にムエタイ式に近くなって現在に至っています。

「あぁ、そうなんですか」

――もともと試合前に相手の映像は視ないのでしょうか。

「そうですね。視すぎて相手に合わせていくよりは――試合映像を視すぎると、自分も考えすぎてしまうので。やっぱり対策って技術のある人がやるものじゃないですか。アハハハ」

――先ほどからの「技術がない」アピールは何なのですか(笑)。

「それだけ、まだ発展途上ということです。ウフフフ。試合映像は僕が視なくても、誰か視ていてアドバイスをくれるから、それで良いと思っています。自分は試合前にアドバイスをもらって、『こんな感じかな』とボンヤリ考えるぐらいで。今回は試合が決まってから日にちも短かったし、いつもどおりの自分で戦うしかないですね。自分としては今までと同じように、殴ることしか考えていません」

――前回の試合では殴り合いから、柔道ベースらしい鮮やかな投げによるテイクダウンも披露していました。

「あれは自然に出ました。相手の重心を感じながら『今、投げれるな』と思って。あまり力を使って無理やり投げることはないです」

――初の国際戦でもブン投げて、ブン殴る自信はありますか。

「はい。というより、それしかできないので(苦笑)。今回の試合もしっかり暴れてKOしますので、応援よろしくお願いします!」

■視聴方法(予定)
5月23日(金)
午後8時00分~UFC Fight Pass
午後8時00分~U-NEXT

■Road to UFC S04 Ep03対戦カード

<Road to UFCバンタム級T準々決勝/5分3R>
ソランランポ(中国)
ピーター・ダナソー(タイ)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
レン・ヤーウェイ(中国)
デニ・ダファ(インドネシア)

<Road to UFCバンタム級準々決勝/5分3R>
伊藤空也(日本)
カイ・シャン(シンガポール)

<Road to UFCライト級準々決勝/5分3R>
ジャック・ベッカー(豪州)
パク・ジェヒョン(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
キット・キャンベル(豪州)

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