【Breakthrough Combat04】大脇征吾とProgress、椿飛鳥「この相手を選んだ良かったと思える自分で」
【写真】チャラい、軽薄は創ったキャラでないようですが、だからといって真面目や真摯と対局ではなく、同居している椿です(C)MMAPLANET
14日(水)に開催されるBreakthrough Combat04で、大脇征吾がとProgressルールで対戦する椿飛鳥。
text by Manabu Takashima
椿はSNSを通して挑発し続けた、SUSUKEとのラバーマッチは失神して敗れた。それでもRNCから逃れ、逆にRNCをセットし、SASUKEの記憶を飛ばすパンチを当てた。この善戦に評価は上がったが、そこに本人との想いにはギャップが存在していた。
大脇というグラップリング界の超新星との戦いも、椿のMMA道を往く過程。最高のMMAファン人生の先に、彼は何を見ているのかを尋ねた。
──BTC04にProgressルールで大脇選手と戦います。ところで因縁しかなかったSASUKE戦を終えて、あの試合をどのように捉えていますか。
「自分のキャリアのなかで一番大きな試合でした。修斗のタイトル戦ですし。でもトライデントジムの森会長から『お前のキャリアのなかで、ただの1試合だから気負わずにやれ』と言われて。あっ、そうだなって腑に落ちたんです。
勝たないとチャンピオンになれないという気持ちはありましたが、SASUKEだろうが、デビュー直後の選手だろうが。SASUKEよりもっと強い強豪外国人選手だろうが、自分にとってはただ1試合だと戦った後もそう思うようにしています」
──思うようにしているということですね。
「それは負けて、逃したぁっていう想いが一番大きいですから。でも、この負けが僕の将来にとってとても大切になってくるかもしれない。それはこれからの僕の取り組み次第で。この試合結果を覆すことはできるので、そこは前向きにいくしかないと思っています」
──椿選手はあの試合が、これだけ悔しい。でも、我々はあの善戦で評価が上がっている。そのギャップがあるのですね。
「なんか自分が勝ったんじゃないかと思うぐらい、褒めてくれる人がいます。でも負け。圧倒的な差を見せつけられて僕は負けました」
──試合後の涙は、その悔しさの表れだったのですか。
「あの時はタップをせずに落ちたので、気が付けば勝者コールが聞こえて来て。セコンドが目の前にいる……、それで負けを察したけど記憶にないから受け入れられなくて。嘘であってくれ、みたいな感じでした。タップをしていたら、もっと敗北を自覚していたと思いますけど」
──それなのに絶賛された。
「プロ格闘技として人の心を動かすものが創れたのは嬉しいです。でも、人が感動してくれたから負けても良かったとはならないです。3月16日は圧倒的に負けた。その想いしかないです。
同時に自信はつきました。やってきたことが間違っていないと、内容や自分の動きは出せました。自分は成長していると。でも技の発表会じゃないから、どんな酷い試合でも構わないから勝たないといけなかった試合です」
──それでも受けた評価を下げないために、次の試合が重要で。そのなかでリスクの高い、グラップリング戦を戦うことになりました。
「話をいただいた時に、良いタイミングだと思いました。やはりすぐにMMAという気持ちにはなれなかったので。それこそグラップリングのなかでも、Progressだったから一番良いと。3月16日にバックチョーク、サブミッションで負けたことに対する反省、反省点も含め、あの試合で浮かび上がった疑問、課題に対して答え合わせができる試合だと思います」
──対戦相手は大脇選手。突如舞い降りたグラップリング界の新星です。
「いや、中島(太一)さんを極めるんですから、相当に強いと思います。相当強い。ただ相手によって、試合を受ける・受けないという判断をすることはないです」
──SASUKE戦で期待値が上がった。ならば、12月の城戸泰介戦以上の戦いが求められます。
「まぁ……テイクダウンして、バックチョークですかね。それはいつも思っているのですが、できないんですよ(笑)」
──防御に定評がある椿選手ですが、あのサブミッションを防ぐ自信は?
「MMAにはない展開なので、試合で触れてみないと分からない。それも含めて、今回は良い練習だと思います。触ってどうなるか次第ですが、そうですね……攻めていきたいと思います。相手の引き込みで勝つのではなくて、テイクダウンをしてフィニッシュ、もしくはポイントで勝ちたいと思います」
──練習仲間が引き込みで得たポイントで勝つと口をそろえていますが(笑)。
「アッハハハハハハ。いやいやいや、テイクダウンします」
──この試合もMMAでの今後も踏まえて受けたことかと思います。今後はどのようなMMA道を歩んでいこうと思っていますか。
「そうですねぇ……。ずっとデビューしてから思っていることはチャンピオンになるだけなら、団体を選ばないで1試合目で挑戦すれば良い。でも、それだと自分の中では納得がいかない。誰に勝ってチャンピオンになるのかも、僕のなかでは大切なことで。だからSASUKEに勝ってチャンピオンになるということが大きくて。
今後も自分が勝ちたい相手に勝って、チャンピオンになることを目指していきたいです」
──つまりは修斗以外のステージも考えるということでしょうか。
「修斗にずっと出ようという想いより、自分が納得できる相手がいるならそこで戦う。そっちの気持ちの方が大きいです。だから修斗、DEEP、パンクラスのチャンピオンを目指したいし、大好きで見続けてきたUFCに通じる道……LFAやEternal MMAという海外のプロモーションで戦う。それはやっていきたいことです。だからBTCも、相手、その先のことがあれば考えています」
──MMAが好きで一生懸命練習して、サラリーマンとして生活が安定している。それでいてUFCが好きだからLFAやEternalというのは、最高のMMAファン人生を送ることができていないですか。
「格オタの鏡ですよ(笑)。TJ・ディラショー✕ドミニク・クルーズ、やべぇって思っていた僕がUFC Fight Passで中継されるようなLFAとかで試合をする──自分の人生で凄く良い思い出になると思っています」
──最高の思い出を創っていくRoad なわけですね。
「でも、そうなったら俺は本気で勝ちに行くので。10年後とか20年後に自分のやってきたことを振り返った時、あの時、この相手を選んだ良かったと思える自分でありたい。そこは絶対にあります」
■視聴方法(予定)
5 月14日(水)
午後6時00分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
■Breakthrough Combat04対戦カード
<バンタム級/5分3R>
ジョン・オルニド(フィリピン)
熊崎夏暉(日本)
<58.5キロ契約/5分3R>
ザヒド・アフメド(インドネシア)
山崎蒼空(日本)
<バンタム級/5分3R>
石井逸人(日本)
上田祐起(日本)
<バンタム級/5分3R>
ガドウィン・ランバヤン(フィリピン)
竹本啓哉(日本)
<Progress暫定ウェルター級選手権試合/5分3R>
[暫定王者]森戸新士(日本)
[挑戦者]イ・ソンハ(韓国)
<Progress ライト級/5分2R>
大脇征吾(日本)
椿飛鳥(日本)