【RIZIN50】伊藤裕樹がトニー・ララミーと59キロ契約戦。役立つのは「フィジカル、6。ギャンブル、4」
【写真】現在RIZINで4連勝中。フライ級トップを狙える位置にいる伊藤だ(C)MMAPLANET
30日(日)に香川県高松市のあなぶきアリーナ香川で開催されるRIZIN50にて、伊藤裕樹がトニー・ララミーと59キロ契約で対戦する。
Text by Manabu Takashima
昨年11月、伊藤は地元愛知県で伊藤は、これがRIZIN初参戦となるトニー・ララミーと同じケージで戦って勝利を収めた。試合後のバックステージで伊藤と談笑中、その後ろを偶然にもララミーが通りかかる。伊藤に「ララミー、どうですか?」と訊くと、伊藤は満面の笑みを浮かべながら「強かったッスね! やりたいですよ」と答えた。その気持ちこそが、伊藤にとって最大の武器だ。そんな伊藤に、改めてララミー戦について語ってもらった。
――伊藤裕樹✕トニー・ララミー。来たぞ、というカードが発表されました。伊藤選手は大晦日出場がなかったですが、ここでフライ級のマニア垂涎の試合が組まれましたね。
「去年の11月のイ・ジョンヒョン戦で久しぶりにフィニッシュできて、大晦日があるかなって思ったんですけど(笑)。大晦日が終わって、3月に大会があるって分かってからも試合の話が来なくて。『あぁ3月もないし、5月ぐらいか』って思っていると先週にララミーって言われて。すぐに『やります』って返事をしました(※取材は1月31日に行われた)。ただ59キロ契約で。試合まで2カ月あって『なんで?』となったんすけど……。なんかララミーが、体重が落ちないと言っているようで」
──それではバンタム級ファイターですね。
「ハイ、バンタム級でやれよって思ったんスけど(笑)。正直フライ級が盛り上がってきて、トーナメントもあるかもしれないので57キロで戦いたかったです。まぁ自分も減量が楽になるんですけど、相手が大きくなってしまうので……」
──良いようにとらえると、フライ級に落とせないなら伊藤選手に潰してほしいというRIZIN側の願望が含まれているかもしれないです。
「おお、それでバンタム級に行けよって。でも僕としても、ここで勝てばRIZINで5連勝。しっかりフィニッシュをして、タイトル挑戦に近づいて、GPにも確実に出られるようにしたいです」
──ところで、今回のように試合があるかないか分からないときでも、一度DEEPで戦うという風にはならないぐらいにRIZINに集中しているということでしょうか。
「それは縁ですし。タイミングですね。色々な要素が絡んできますけど、今はRIZINでトップを取りたいという気持ちが大きいです。DEEPもタイトルが懸かった試合はやりたいです。ただRIZINで連勝をしているので、そこは大切にしたい。
それに試合が決まっていないから、練習を休むということでもないんで。いつでも戦うことができる準備をしているので、話があれば二つ返事でやるって感じです」
──出場できなかった大晦日にホセ・トーレスがやってきて、神龍誠選手に勝った。堀口恭司選手はズールーを相手にきっちりとフライ級王座を防衛した。あの2試合で、自身の立ち位置をどのように考えましたか。
「強い外国人選手が集まってきましたよね。当日は客席で観ていたんですけど、『俺、勝てるわ』って思いました」
──外国人選手にですか。
「いえ、堀口さんや神龍選手にです。以前は『まだ堀口さんは……』とか。『神龍は……』っていう気持ちを少なからず持っていました。でも試合経験を積んでくると、だんだんと自信がわいてきたというか。今やっても負けんし、俺だったらズールーもトーレスもフィニッシュできたと思いました。トーレスは、俺の方が噛み合ったでしょうね。そんな風に自分に置き換えて見ていました」
──得意な打撃を使うにしても、MMAファイターとして完成度が上がった今と以前では違いますか。
「以前は組まれたり、寝技になるが嫌で打撃で戦おうとしていたのはあるかと思います」
──佐賀大会の上田将年戦ぐらいから、キレと殺気の帯び方が変わったように感じました。
「嬉しいっスねぇ(笑)。そのちょっと前の話になるのですが、アーセン選手に負けた後からフィジカルの強化を凄くするようになって。その成果が出てくるようになると、自信もついてきて。もう組まれようが、何されようが切って剥がしてトップを取って打撃で倒す。自分の理想としている形に、戦い方が近づいてきました。組みに自信がつくと、打撃もガンガンいけます。そこで一段階、レベルアップしたと思います」
──以前の引き籠るようなことがあった頃と比較して、その自信で性格も変わったようなことは?
「あんな風にクヨクヨしている場合じゃないです。こんなに多くの人が応援してくれるなかで、昔から応援してくれる人の期待に応えたいです。やっぱ、人生って山と同じでずっと上にいるってことはなくて。下から上に上がっていく。底辺から上がっていくのを見ている人も気持ち良いと思うので。スロットも同じですよ(笑)」
──スロットの話になりましたが、空気とか大丈夫なのですか。
「今は分煙されているんですよ。隣でセブンスターを吸う人とかいなくて(笑)」
──そうなのですか。
「禁煙ルームだったり、電子タバコならOKだとか。女性1人でも入れるように、環境が凄く変わっています」
──不健全なのか、健全なのか。分からないです(笑)。
「ハハハハハハ。健全といえば健全で……難しいところです」
──スロットで勝負勘を養うことなどできるのですか。
「僕はそれがあったからこそ、スロットにハマったというのはあると思います。やっぱり、常に勝つ姿勢って大切じゃないですか。何事にも。私生活においても妥協して負けるってことが、僕は嫌いなんで。試合でもギャンブルでも、スロットだったり、競馬だったり、常に勝ちに行くので。負けると思ってやる奴はいないし。絶対に勝つとイメージして、何事にもトライしています。
そのイメージすることって、MMAの試合にも通じてきます。何で倒すのか。イメージを具現化させることで。なんでギャンブルも格闘技も似ているところはあります」
──フィジカルとどちらが役に立ちますか。
「フィジカル、6。ギャンブル、4ですかね。ハハハハ」
──アハハハハ。そんななかフライ級戦線に話を戻すと、いや他の階級も含めてですね。強い外国人選手が出てくると、戦いたがらない。「呼んじゃダメだ」という声がファイターから聞かれるという話もあります。
「僕は福田龍彌選手のように試合、戦いが好きっていう感覚ではないです。でも、オファーがあるのに、断るのは意味が分からないです。オファーがあること自体がありがたくて、ファイトマネーももらえます。それに自分より弱いヤツとやって微妙だって言われるより、強い相手に勝つからこそ面白い。逆境を跳ね返すのが好きで。無理だろうと言われている奴を倒しに行くのが、俺は好きです」
──そこでララミー戦です。個人的に11月の試合前はアリベク・ガジャマトフより、期待値は上でした。
「村元君との試合は、相性もあったんだろうけど十分に強いと思いました。でも熱が出ていたと知って……。体調が悪くて、本来のララミーと比較すると動きはパッとしていなかったんだと思います。それであの強さなので、完全体できたらめちゃくちゃ強いですよ。ただ格闘技の相性でいったら……当日はめちゃくちゃ体が大きいだろうし、僕は自分の距離にいて。来たら合わせる。そういう戦い方をしていれば、全然勝てると思います」
──ではホセ・トーレスもそうですが、北米のフライ級選手の近い距離で打ち合い、あの距離で戦えることをどのように思いますか。
「正直に言えば、怖いですよね。11月の試合でララミーは当日、72キロあったそうで。もうライト級やんって思って。体の強さがもとからあるので、近い距離はフィジカルの差が出ると思います。だから打ち合うよりも、当てて外す。アウトボクシングで戦おうと思います」
──それにはララミーのプレッシャーに負けないことが重要になってきますね。
「圧力……この記事、ララミーは読まないですよね(笑)。まぁ外してカウンターと✕✕✕✕✕✕では、✕✕✕✕✕✕✕と✕✕✕✕✕✕を今めっちゃ練習しているので」
──なるほどです。その練習環境ですが、NEXイチムエという拠点以外で出稽古をすることはありますか。
「春日井(寒天たけし)さんのプロ練習には、たまに行かせてもらっています。春日井さんのおかげもあって、ジムの壁を取り払って良い練習ができるようになりました。名古屋を強くするために、誰でも来てくださいっていう感じなので。凄く練習環境は良くなりました」
──寒天練習会はストライカーのグラップリング強化にもってこいではないでしょうか。
「凄く良い環境です。組み技の強い選手、パンクラスでチャンピオンになった三宅(輝砂)君、トッキー(透暉鷹)も強いですしね。皆で切磋琢磨して、名古屋全体がレベルアップしています」
──では今後も踏まえて、59キロ契約のララミー戦で何を見せたいと思っていますか。当日は相当な体重差があるかもしれないですが……。
「10キロは違うと想定しておきます。でも、僕のスピードについてこられないですよ。戻した分、遅くなるので」
──そのスピードも伊藤選手はメリハリがついてきたように感じます。出すときと、そうでないときの。
「練習を頑張っているので(笑)。今回のテーマは、封印と解放なんです。なんでもやって良いMMAだけど、自分の得意なところで勝負して、今まで出せていなかった部分も出していきたいと思っているんで。ばっちり香川の人にも、RIZINのフライ級全員にも『こいつ、ヤベェな』って思わせるぐらいのド派手なKOを見せて、トーナメントに名乗りを挙げたいですね」
■視聴方法(予定)
3月30日(日)
午前11時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■対戦カード
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] 元谷友貴(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木千裕(日本)
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
<ライト級/5分3R>
ルイス・グスタボ(ブラジル)
野村駿太(日本)
<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
泉武志(日本)
<59キロ契約/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
トニー・ララミー(カナダ)
<59キロ契約/5分3R>
前田吉朗(日本)
横内三旺(日本)
<フェザー級/5分3R>
横山武司(日本)
木村柊也(日本)
<ストロー級/5分3R>
越智晴雄(日本)
中務修良(日本)
<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
エドポロキング(日本)
<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
赤田プレイボイ功輝(日本)
<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
トビー・ミセッチ(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
万智(日本)
パク・ソヨン(韓国)
<キックボクシング67.5キロ契約/3分3R>
稲井良弥(日本)
加古稟虎(日本)
<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
龍生(日本)
香川刻(日本)
<フライ級/5分2R>
高岡宏気(日本)
飴山聖也(日本)
<キックボクシング63.5キロ契約/3分3R>
吉岡龍輝(日本)
切詰大貴(日本)
<キックボクシング63.0キロ契約/3分3R>
大谷翔司(日本)
足利也真登(日本)