【RIZIN50】井上直樹のベルトに挑戦、MMA50戦目の元谷友貴「少しずつバンタム級の体になってきた」
【写真】肉体が技術を向上させる。だからこそ元谷は50戦を経て、これからも戦い続けることができる(C)SHOJIRO KAMEIKE
30日(日)に香川県高松市のあなぶきアリーナ香川で開催されるRIZIN50にて、元谷友貴が井上直樹の持つ同バンタム級王座に挑戦する。
Text by Shojirio Kameike
元谷と井上の初対決は2020年の大晦日。この時、元谷は1RにRNCで敗れている。その後、井上は昨年9月にキム・スーチョルとのRIZINバンタム級王座決定戦を制し、ベルトを巻いた。一方、元谷はMMA50戦目となるRIZIN50で、初めて同王座に挑む。そんな元谷が語る、この4年間での成長とは。
思った以上に打撃のプレッシャーが強くて、自分が焦って組んでしまいました
――すでに米国から帰国し、名古屋で調整されているとのことですが、今回はいつ頃からATTに行っていたのでしょうか。
「1月の半ばから2カ月いっぱいまで行っていました」
――――それは昨年大晦日の試合前から決まっていたスケジュールだったですか。
「いえ、結果次第で――と考えていました。でも勝ったら次は3月にタイトルマッチを、という話はしていましたし、勝ったので『すぐにATTへ行かないといけない』とは思っていましたね」
――大晦日は秋元強真選手に判定勝ちを収めました。まずは秋元戦の感想からお願いします。
「内容的には、フィニッシュできなかったのが良くなかったですね」
――2Rと3Rに元谷選手がバックからパウンドを連打する場面もありました。あの時にレフェリーストップになるとは思いませんでしたか。
「いや、時間が足りないと思いました。もっとパウンドの時間が長ければストップもあるかもしれないけど、自分もそれほど手応えがなく、ガッツリ効いていたという感じもなかったですし。僕がRNCにこだわりすぎて、自分のほうが消耗してしまいました」
――秋元選手はまだ10代です。元谷選手は2015年のRIZINスタート時から出場していて、これだけ年齢差のある選手と対戦することになるとは考えていましたか。
「正直、RIZINがこれだけ続くとは思わなかったというか、10年後にこれだけ盛り上がるようになるとは思っていなかったですよね。あの時はどうなるか全く分かっていない状態で」
――確かにRIZINがスタートした2015年時点は、日本のMMAがどうなるか先は読めなかったです。かつコロナ禍もあって。そんななかで、元谷選手にとっては今回が初のタイトルマッチなのですね。
「そうですね。たまたま、今回が初めての挑戦になりました(笑)」
――この10年の間に「そろそろタイトルマッチをやらせてくれても良いんじゃないか」と思う時はありましたか。
「タイミング的には何回かあったような気はします。でもそこで――『あと一歩』というところで試合を落としていて」
――2019年から連勝後に敗戦、というケースが何度かありました。井上選手との初戦もその一つです。『あと一歩』が続くなかで、当時は何を目標にして戦っていたのですか。
「目標はずっとベルトでした。『まだ頑張れる。上を目指すことができる』という気持ちもありましたし『次、次――』という感じで頑張っていましたね」
――対して井上選手は昨年9月、キム・スーチョルを下してRIZINバンタム級王者となっています。「井上選手に先を越された」という気持ちはなかったでしょうか。
「いや、それは何も思わなかったです。実力の世界ですからね。自分が弱いからタイトルマッチに行けなかった。井上選手は強かったから挑戦できた、というだけで」
――なるほど。元谷選手と井上選手は4年前に対戦しており、初戦では井上選手が元谷選手をRNCで下しています。元谷選手がシングルレッグで入った時、井上選手がRNCを取りに来ることは想定していましたか。
「何て言うか、自分が焦ってミスをしてしまったんですよね。思った以上に打撃のプレッシャーが強くて、自分が焦って組んでしまいました。普段ああいう組み方はしなくて」
――はい。元谷選手があの形でシングルレッグに入る展開は、それまで見たことがなかったです。
「練習でもああいう形で入ると自分が極められてしまうぐらい、隙のある組み方で。シングルレッグからバックを取られてからは全て後手に回ってしまい、自分がリカバリーできなかったですね」
――あの敗戦から4年が経ちました。
「4年前……らしいです」
――「らしいです」という言い方になるのは、それだけの年月が経っているという感覚がないでしょうか。
「もっと前に行われていた、というイメージですね。あの試合については印象がない、と言ったら変なんですけど。自分が変なミスをしてしまった、という――何なんですかね?」
――この4年間で、まず井上選手は何が変わったと思いますか。
「何が変わったかというと、まだ見えていない部分もあると思うんですよ。体は大きくなったという印象はあります。打撃はもともと速くて巧かったし、最近見せていないのはグラウンドですかね。見せていないけどグラウンドの部分が進化しているんじゃないか、とは思います」
――対して元谷選手は、この4年でどんなところが進化しましたか。
「特にコレというのはなく、全体的に――特にATTに行ってから全体的に上がってきた気はしますね。今、ATTに行ってから2年経つのかな? ここ1年ぐらいで特に変わってきたのかな、って思います」
ベルトのことを考えずに――と言ったら変かもしれないけど、井上直樹という相手に集中して戦いたい
――これはリモート画面が繋がった瞬間から気になっていたのですが、以前よりも体が大きくなっていませんか。肩回りから胸のあたりまでTシャツもパンパンになっています。

こちらは昨年5月の平松翔戦直前――肩から胸の厚みが増しているように感じられる。それだけ組みの力が増しているか(C)SHOJIRO KAMEIKE
「それ、よく言われるんですよ。一応フィジカルはやっていますけど、自分は筋力的なものよりスタミナ系トレーニングをしていて。そんなに筋肥大するようなトレーニングはしていなくて。練習している相手がデカいからなのか……。ATTではバンタム級なのにデカイ練習相手ばかりなんです」
――ATTではバンタム級の選手でも通常体重は何キロぐらいですか。
「バンタム級というかフライ級でも普段75キロあったりとか、意味わからないぐらいデカイ選手がいるんですよ」
――練習拠点をATTに移してから、日本にいる時よりも体格が大きい相手との練習で力を使っているということでしょうか。
「相手が巧いからか気候のせいなのか、ATTでは日本にいる時より練習で2~3倍疲れますね。テイクダウンしようと思っても、なかなか取れなかったり。それで体も大きくなっていくのかな? 確かに少しずつ体は変わってきているとは思います」
――スタミナと筋力が変わってきたことを試合で実感する場面はありましたか。
「ここ最近は、試合の中で際が強くなっているように感じます。勘違いでなければ良いですけど(笑)」
――アハハハ。実際にフィニッシュ率は上がってきていますよね。
「あぁ、なるほど。前回はフィニッシュできなかったけど、確かに最近はフィニッシュすることがありますね。そう言われてみると、練習方法で変わるのかもしれないです」
――それはフィニッシュを意識した練習をしているということですか。
「改めて考えてみないと分からないところですけど、毎回『この時期はこういう練習』と練習内容を変えていて。『この時期はこういう練習をしていたな』と思い出していけば、その時期の試合内容や結果と繋がっていくかもしれないですね」
――太田忍戦も秋元戦も、最後まで攻め切ることができていました。それだけスタミナ系トレーニングの効果が出ていたのでしょうか。太田戦は『このまま判定か』と思っていると、試合終了間際にRNCで仕留めました。
「そうですね。あの試合は自分もどうなるかと思っていたけど、意外とスクランブルで勝負できていて」
――次の試合でも、それだけのスタミナとフィジカルが生かされる試合になるでしょうか。
「少しずつバンタム級の体になってきたかな、という思いはあります。これが生きてくれればいいですね」
――フライ級で戦っていた頃の元谷選手が、相手の背中をスルスルと昇ってRNCを極めるような動きを見せていました。対してバンタム級、特に井上選手との初戦では体格差を感じていましたか。
「試合で感じたのは、『触ろうと思っても触れない』という点ですね。井上選手はバックステップが速い。自分の制空圏を持っているので『すごくやりにくいタイプだな』と感じましたね。次の試合で触っていけるかどうかは、やってみないと分からないけど、自分から積極的に行きたいと思っています」
――なるほど。井上選手とのタイトルマッチに向け、意気込みをお願いします。
「RIZINのベルトはすごく欲しいです。でもベルトのことを考えずに――と言ったら変かもしれないけど、試合は試合で集中して。井上直樹という相手に集中して戦いたいですね」
――リベンジという面については、いかがですか。
「もちろんですよ。前回やられているので、やり返したいです」
■視聴方法(予定)
3月30日(日)
午前11時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
■対戦カード
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] 元谷友貴(日本)
<フェザー級/5分3R>
鈴木千裕(日本)
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
<ライト級/5分3R>
ルイス・グスタボ(ブラジル)
野村駿太(日本)
<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
泉武志(日本)
<59キロ契約/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
トニー・ララミー(カナダ)
<59キロ契約/5分3R>
前田吉朗(日本)
横内三旺(日本)
<フェザー級/5分3R>
横山武司(日本)
木村柊也(日本)
<ストロー級/5分3R>
越智晴雄(日本)
中務修良(日本)
<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
エドポロキング(日本)
<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
赤田プレイボイ功輝(日本)
<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
トビー・ミセッチ(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
万智(日本)
パク・ソヨン(韓国)
<キックボクシング67.5キロ契約/3分3R>
稲井良弥(日本)
加古稟虎(日本)
<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
龍生(日本)
香川刻(日本)
<フライ級/5分2R>
高岡宏気(日本)
飴山聖也(日本)
<キックボクシング63.5キロ契約/3分3R>
吉岡龍輝(日本)
切詰大貴(日本)
<キックボクシング63.0キロ契約/3分3R>
大谷翔司(日本)
足利也真登(日本)