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【UFC312】パク・ヒョンソン「趣味で練習していた一般会員がKrushで戦って、痛みしか記憶にないです」

【写真】凄く若く見えるが、今年の11月で30歳になるパク・ヒョンソン。今回はモンゴルのニャムジャルガルと対戦するが、日本勢との試合もステップアップ過程であるかもしれない(C)MMAPLANET

9日(日・現地時間)に豪州はシドニーのクドスバンク・アリーナでUFC 312「Du Plessis vs Strickland 2 」が開催され、オープニングマッチで韓国のパク・ヒョンソンが、モンゴルのニャムジャルガル・トゥメンデムベレルと対戦する。
Text Manabu Takashima

Road to UFC2022フライ級トーナメントを制し、一昨年12月のUFC初陣でパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを獲得したパク・ソンヒョンだが、ヒザの負傷でそれ以降は実戦から離れていた。

実に14カ月振りのファイトを前にパク・ヒョンソンに話を訊くと、とんでもない試合を日本でしていたことが分かった。


――1年2カ月振りのファイト、オクタゴン2戦目を迎えます。ヒザの負傷で長期欠場をしていましたが、この間にも何度か日本にチームメイトの試合に帯同してやってきていましたね。

「ハイ。Gladiatorに出るチームメイトのセコンドと、あとは中村倫也選手と一緒に練習がしたくて、去年の夏に日本で1週間ほど行動を共にさせてもらいました。レスリングを教えてもらって、寝泊りも一緒にしていました。中村選手は本当によくしてくれました」

──つまり去年の夏には、もうヒザの状態は良くなっていたということですね。

「ヒザのケガから完治するのは、時間がかかりました。ただ、今はもう全く心配していません。現状では何も問題はないですが、実際のところは試合を戦ってみてないと分からないことだと思います。

試合に向けて不安がないかといえば、それはあります。でも、それを口にしても何も意味がないことです。だから長期欠場に関しては、気にしないようにしています。それにケガをしたことをネガティブに捉えるだけでなく、その期間に他の箇所を鍛えることができたという風に考えています。それがあって自信を失うこともなかったですし、成長できたと思います」

──Road to UFC、UFCデビュー戦で印象的なパフォーマンスを見せていたパク・ヒョンソン選手ですが、まだ日本のファンは知らないことだらけです。まず格闘技歴を教えていただけないでしょうか。

「高校の時に趣味程度でムエタイを始めました。2、3年ほど練習をし、それから兵役に行く2、3カ月前にMMAを始めました。兵役を終え、本格的にMMAのトレーニングを行い24歳になってアマチュアから試合に出始めました」

──趣味程度でムエタイを始めたということですが、2014年にKrushに出場して卜部弘嵩選手を戦っています……。高校生が趣味で練習していて、Krushに来日したということですか!!

「そうなんです。趣味で練習している一般会員でした。Krushがどういう舞台なのか、相手がどういう選手なのか何も分からないまま日本に送り込まれました」

──Krushは新生K-1の活動開始まで、日本のキックボクシング大会のトップという印象がありました。そして、卜部選手は60キロ級のベルトも巻いていました。

「そういうことを一切、知らなかったんです。本当にめちゃくちゃでした。今でも、どういうつもりだったのかと怒りを感じています」

──それでも判定まで行ったとは、大健闘といえば大健闘だったわけですね。

「そういってもらえることはありがたいですが、ただ痛かったという記憶しかないです(苦笑)。鼻、目など骨を折って、最悪の思い出ですね……」

──格闘技として、一般会員がプロのチャンピオンと戦って骨折する。それは……あってはいけないことです。そのような経験を経て、プロMMAファイターを目指したのは?

「何か好きなことをやりたかったからです。軍隊での生活は非常に厳しかったのですが、その厳しさに向き合うことが自分に合っていると感じたんです。そしてMMAファイターになろうと決めました」

──最初からMMAストーリーに所属していたのですか。

「ハイ。ムエタイは地元のジムで、MMAストーリーではなかったです。Road FCフェザー級王者のチェ・ムギョム選手、それにキム・ミンウ選手という凄くアグレッシブなファイターが所属していたので、MMAストーリーでプロになりたいと思い入門しました。思った通り、最高の練習ができるジムでした」

──両者とも独立をしましたが、今でも練習をすることはあるのですか。

「2人とも自分のジムを開きはしましたが、MMAストーリーを離れたわけではないです。自分のホームタウンにジムを創っただけで、今もMMAストーリーの一員です。今も時々ですが、集まって練習もしています」

──では対戦相手ニャムジャルガルの印象を教えて下さい。

「アグレッシブでタフなファイターです。パンチ力がありますね。あのパンチは警戒が必要です。ただし、自分の能力は彼を上回っています。彼が得意とするエリアで戦わず、自分の試合をします。そこで自分の武器を使います」

──どのような試合をしたいと考えていますか。

「まず勝つことが大切です。そして、自分の良さを見せることができれば、と考えています」

──ところでUFCフライ級には3人の日本人ファイターがいます。彼らのことはどのように分析していますか。

「平選手はウェルラウンディット・ファイターで、どの局面でも良い試合ができます。日本人3選手のなかで、平選手がベストだと思います。気持ちも強いですよね。同じイベントで戦ったことがあるのですが、凄いオーラを感じました。

朝倉選手はずっと以前から知っています。RIZINのチャンピオンだったので。凄く良い目をしていて、肉体的能力が高いです。ただフライ級よりバンタム級の方が合っていると思います。またバンタム級に戻って戦ってほしいです。

鶴屋選手はレスリングや柔術の練習を、凄く小さなころからやっていたんですよね。グラップリングが強い選手ですね」

──いやぁ、よく3人のことを把握しているのですね。

「中村倫也選手もそうですが、自分は日本人選手のことが好きで、ずっと見てきたので」

──日本と韓国はあらゆるスポーツでライバルですが、UFCでは同じアジア人として、その強さを一緒に見せてほしいと思います。

「自分は反日感情を持ったことは一度もないです。東京に行って、中村倫也選手と一緒に過ごさせてもらったときも、本当に彼の良さや日本の人たちの親切な部分に触れさせてもらいました。日本に嫌な思いを抱いたことは全くないし、中村倫也選手のことが大好きです。なので、そういう選手が韓国にいることを日本のファンの皆さんにも知ってもらって、自分のことを覚えてほしいです」

■視聴方法(予定)
2月9日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC FIGHT PASS
午後12時~PPV
午前7時 30分~U-NEXT


■UFC312対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] ドリキュス・デュプレッシー(南アフリカ)
[挑戦者] ショーン・ストリックランド(米国)

<UFC世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジャン・ウェイリ(中国)
[挑戦者] タチアナ・スアレス(米国)

<ヘビー級/5分3R>
タリソン・テイシェイラ(ブラジル)
ジャスティン・タファ(豪州)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジミー・クルート(豪州)
ホドウフォ・ベラート(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ジェイク・マシューズ(豪州)
ホドウフォ・ベラート(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ジャック・ジェンキンス(豪州)
ガブリエル・サントス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
トム・ノーラン(豪州)
スラヴァ・ボルシェフ(ロシア)

<女子フライ級/5分3R>
ワン・ソン(中国)
ブルーナ・ブラジウ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
アレクサンドル・トプリア(スペイン)
コルビー・シックネス(豪州)

<ライト級/5分3R>
コディ・スティール(米国)
ロン・チュウ(中国)

<ウェルター級/5分3R>
ケヴィン・ジュセ(フランス)
ジョナサン・ミカレフ(豪州)

<ライト級/5分3R>
クイラン・サルキルド(豪州)
アンガド・ビシュト(インド)

<フライ級/5分3R>
パク・ヒョンソン(韓国)
ニャムジャルガル・トゥメンデムベレル(モンゴル)

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