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【RIZIN47】石の左拳=ダウトベックと対戦、関鉄矢「スクランブルも強いほうがスイングして面白い」

【写真】リモート画面の背景が――(C)SHOJIRO KAMEIKE

9日(日)に国立代々木競技場第一体育館で開催されるRIZIN47で、関鉄矢がカルシャガ・ダウトベックと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

打撃を主体として戦ってきた関の目に、脅威の左ストレートを持つダウトベックはどのような相手として映っているのか。関はダウトベック対策の行う一方で、また新たな自分のストロングポイントも見つかってきたという。ダウトベックも今年1月の松嶋こよみ戦で見せた姿は、2018年の初来日時(朝倉未来に判定負け)とも違っていた。成長過程にあるストライカー同士の一戦について関が語ってくれた。


――本日は宜しくお願いいたします。リモート画面の背景がキャンプ場なのですか。試合前にファイトキャンプではなく本物のキャンプに行っているのかと思いました。

「アハハハ。これは自分の趣味で……」

――お子さんも4人いらっしゃるそうですが、一緒に行くと楽しそうですね。

「そうですね。でもまだ4歳と2歳の子がいるので、目が離せないです。でも一番上の娘が小学5年生で、面倒を見てくれるので助かっています」

――なるほど。関選手に前回インタビューさせていただいたのは、2021年9月のDJ.taiki戦の前でした。DJ戦はDEEPで行われましたが、その前後からRIZINのレギュラー選手になっている感もあります。

「どうなんでしょうね? 自分自身としては戦う場所にこだわっていなくて。たまたまRIZINのオファーが、タイミングが合っていて」

――ただ、その中で以前よりも打撃戦は激しくなっているようにも思います。特に2022年7月、中原由貴戦のあとには「打ち合いに寄りすぎた」という発言もありました。

「あの時は、もっと組みの展開をつくればよかったと思いました。緊急オファーだったこともあって、打撃以外の要素をつくり上げることができなかったというか。その状況で自分ができることといえば殴り合いなのかな、と。

原口央戦(同年5月に判定勝ち)と遠藤来生戦(2023年6月、判定勝ち)は戦っている最中に、打撃のほうが分はあると感じたんですよね。だから試合中にシフトチェンジしました」

――試合ごとに打撃の精度が高まっているようにも感じます。

「以前より距離をつくることができるようになったと思いますね。特に最近はサウスポーの選手と対戦することが多くて、サウスポー対策を通じて距離のつくり方が重要なんだなって勉強できました。その勉強したことを体に叩き込んでいます」

――打撃に関しては所属ジムであるSONIC SQUADのみで練習しているのか、あるいは出稽古で他のジムに行ったりしているのでしょうか。

「練習はSONIC SQUADだけですね。ウチのジムは出稽古に来てくださる方が多いんですよ。だから新鮮な感覚でスパーもさせてもらっています」

――どのような選手が出稽古に来ているのですか。

「ヤン坊(雑賀ヤン坊達也)とか、たまに佐々木憂流迦さんもいらっしゃいますね。あとは今グラチャンに出ている山田哲也選手も来られています」

――皆さん長身でリーチも長く、パンチが伸びる選手ばかりですね。

「スパーさせてもらっていて、おかげで毎回ヘトヘトになっています(苦笑)。でもそのなかで手応えは感じていますね。自分のストロングポイントというものが、だんだん分かってきました。『ここは負けないな』と自信がついてきたことも多くて」

――ご自身の中で最近分かったストロングポイントには、どんなものがありますか。

「自分はスクランブルの展開が強いと思いました。こちらから打撃で攻めた結果、組まれたとしてもスクランブルから、自分の展開にできると感じています」

――なるほど。スクランブルが強くなるからこそ、打撃の精度も高まっていくと。

「そうなんですよ。組まれることが怖くてパンチを打てない、ということもなくなりました。スクランブルに持ち込まれても立つことができるし、自分からポジションを取りに行くこともできます。打ち合うだけじゃなくスクランブルも強いほうが、試合もスイングして面白いんじゃないかと思っています」

――ヤン坊選手や山田選手のようにパンチだけでなく組みも強い選手を相手にしても、スクランブルから勝負できるようになっているのですね。

「どちらに動いていいのか分からない状態でも、とにかく暴れる。そう言われて実践していたら、気づけば漬けるのが巧い選手との練習でも立ち上がることができるようになっていました(笑)。もう抑え込まれて、固められるようなことはないです」

――次に対戦するカルシャガ・ダウトベックはサウスポーで、特に左ストレートが強いパンチャーです。かつテイクダウンを混ぜてくることもあります。

「打つ時は懐に入ってきて至近距離で強いパンチを出してくる選手ですよね。松嶋こよみ選手との試合を視ると、ガードを固めて入ってくる。ただの打ち合いよりも、ガードを固めて懐に入ってくる――朝倉未来選手と対戦したときよりも、より確実にパンチを当てるスタイルになっていると思います。自分の左ストレートに完全な自信を持っていて」

――加えて、前に出るだけでなく細かいカウンターも取れるようになっていませんか。

「あれは立ち位置を間違えていると、蹴りに対してカウンターの左ストレートが飛んできますよね」

――パンチを得意とする両者だけに、距離と立ち位置を一つ間違えるだけで危険な状態になりかけない。それだけスリルがある試合になります。

「自分もその距離と立ち位置を、練習で叩き込んできました。あとは試合で、練習でやってきたことを実践できるかどうか。ワンミスが命取りになる状況では、『こう来たら、こう……』と頭で考えていたら反応が間に合いませんからね。もう相手の動きに対して反射的に動くまで、体に染み込ませています。もうダウトベック選手だけのための対策ですよ」

――同じことをやると、その次の試合では勝てないぐらい……。

「そうなりますね。とにかく今回の試合で勝つためだけの作戦です。井上直樹君と作戦を考えていて、直樹君は器用だから何でもできるんですよ。でも僕がやってみると、『これは自分に合わないな』と感じるものがあって。数が多くても自分の頭が回らなくなりますしね。だから僕に合ったものを絞り込んで、自分にできる動きの中で作戦を立ててきました。おかげで自分が勝つための道筋は、ハッキリ見えています」

――それは試合が楽しみです。このダウトベック戦はご自身のキャリアの中で、どのような位置づけの試合になると思いますか。

「ダウトベック選手が松嶋選手に勝っているというのは、すごく大きいことだと思います。そのダウトベック選手に良い勝ち方をしたら、RIZINフェザー級のトップ選手に大きなプレッシャーをかけられますよね。そのためにも次は、しっかり良い試合をして勝ちます!」

■視聴方法(予定)
6月9日(日)
午後12時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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