この星の格闘技を追いかける

【Pancrase343】RTU出場から1年、ランカー葛西和希戦へ。丸山数馬「まずは打撃で相手に脅威を与える」

【写真】今回は濱村健TRI.H studio代表と、EXFIGHT出場経験のある張豊(ジャンユタ)選手がダブルで睨みます(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase343で、丸山数馬が葛西和希と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

プロデビュー以来パンクラスを主戦場としていた丸山は1年前、Road to UFC2023のライト級トーナメントに出場し、初戦でキム・サンウクに敗れた。UFCを目指して鹿児島から上京した丸山はRTUで敗れたあと、パンクラスで活動を再開する。昨年11月には復帰戦で平信一を下し、続いてランカーの葛西との対戦へ。丸山がこの1年間と葛西戦を語る。


――本日からRoad to UFC2024がスタートします(※取材は5月18日に行われた)。昨年のトーナメント初戦から1年が経ちますが、あの敗北を思い出すことはありますか。

「それは思い出しますね。嫌でも思い出すというか……。自分はUFCに行きたいという想いが強すぎた分、気負いすぎた面はありました。いつものパフォーマンスを出せなかったことを悔やんでいる面はあります。あの時こうしていれば良かった――と」

――RTUのあと昨年11月、パンクラスで平信一選手と対戦した時は、すでに気持ちを切り替えることはできていたのでしょうか。

「自分としては前向きな気持ちで戦うことができました。RTUでは1Rで負けたので、今年またエントリーしようと思っても、そう都合よくはいかないよなと(苦笑)。だから自分がプロデビューした場所であるパンクラスで、もう一度ランキングに入り、上位陣を倒してチャンピオンになろうと考えました。自分は周りから一定の評価を頂いていても、結果が伴っていない。もう一度パンクラスで結果を出すことで、RTUもそうですし、その先が見えてくるんじゃないかと思ったんです」

――今年はトーナメントが開催されなかったライト級でも、同級KOPの雑賀ヤン坊達也選手が非トーナメント戦に出場しています。

「あの発表を見た時に『あ、ワンマッチで出場する形もあるんだ』と思いました。もしRTUのトーナメントが開催されなくても、自分がワンマッチでUFCが『この選手が欲しい』と思えるような印象を残すことができれば――と考えることができました」

――丸山選手の中で、昨年のRTUから1年の間に変えてきたものはありますか。

「自分の中では練習環境は変えずに、トータルで自分の強さの底上げができてきたかな、と実感はしています。いつもGENでの練習は試合が近づくと試合形式のハードスパーをやっていて、普段の技術練習の成果がGENの実戦練習でも出てきていると思いますね。

自分の場合、GENの練習は組みがメインになっているところもあるので、壁レスの攻防は自信がついてきています。ただ、その中でも『自分が思っているのとは何か違うな』と思ったりすると、頂柔術に行って礒野元さんに教わるようにしているんですよ。MMAの試合が決まると頂柔術に行く頻度は落ちてしまいますけど、それでも週に1回か2回には行くようにしていて。そこで寝技の技術の指導をしてもらっています」

――2021年12月の伊良波心戦は丸山選手のほうからグイグイ前に出ていったのに対し、平戦ではワキ差しの攻防などに自信を持っている印象を受けました。

「平選手は序盤に結構、力を使ってくる感じで。僕もケージレスリングの展開でやりづらかったので、まずはヒザで削っておこうと考えていました。お客さんに見せる試合としては消極的な展開だったし、派手さもなく膠着しがちだったかもしれないですが……。一旦この状態で落ち着き、しっかりポイントを取っていこうと。

あの状態からシングルレッグやボディロックで倒していくことも考えましたが、当日のキャンパスが滑りやすくて、テイクダウンの形をつくりづらかったんです。平選手も力を使っているので、自分も攻め急がないように――という部分で、落ち着いて戦うことができていたんじゃないかと思います」

――「お客さんに見せる試合としては……」と意識することは多いのでしょうか。

「自分としては打撃にしろ組みにしろ、フィニッシュを狙える形をつくっています。でも自分が上に行けば行くほど、相手のレベルも上がってくる。そんななかで、しっかりとした攻防を見せつつフィニッシュできることが、ファイターとしてはベストな内容ですよね。次の葛西選手との試合では、攻防のある試合を見せられるんじゃないかと思っています」

――葛西選手は今年2月の木村俊也戦で、まさに「面白いように」左ジャブとテンカオを当ててTKO勝利を収めています。葛西選手のようなスタイルは、仕留めるのも難しいタイプですよね。

「僕にとっては、そこがチャレンジなんです。葛西選手のスタイルに臆して、ただ組みに行っても簡単には組ませてはもらえない。だからこそ自分は逃げずに、ジャブの差し合いをすることが大事になってきます。これを言ったらネタバレかもしれないですけど(笑)」

――アハハハ。次の試合はまずジャブの差し合いで勝負すると。

「これはMMAだから、まずは打撃で相手に脅威を与える。打撃のプレッシャーがあるからこそ、テイクダウンを奪うことができる。岡見勇信さんとも話をして、今はGENの練習でもしっかりと打撃を当てて、下がらせてからテイクダウンまで行くことができるようになってきました。その面を次の試合でも出せたら、我慢強い葛西選手が相手でも展開をつくることができるんじゃないかと思っています。だから僕も我慢強く攻めていきたいです」

――伊良波戦では、丸山選手がいわゆる「クラウチングスタイル」で構えていました。あの点はボクシングの影響を感じるのですが、打撃面の練習はどのように?

「え、そう見えますか。実はMMAをやるために鹿児島から上京した当時、ボクシングを学ぶために帝拳ボクシングジムに通っていた時期があるんです。3年ほど通っていたところでコロナ禍になり、練習生や一般会員は通いづらくなってしまったんですが……。やはり今でもボクシングの影響が出ているのかもしれないです」

――そうだったのですね。一方、葛西選手の場合は距離が近くなると首相撲とがあります。

「首相撲からのヒザ、ヒジが速いです。自分は相手の土俵に付き合いすぎることなく、シングルレッグとワキ差し、四つの展開で勝負していきたいですね。葛西選手も四つが強そうなので、どんどんスクランブルを発生させてテイクダウンを狙うのも面白いかもしれません」

――削り合いの展開になりそうですね。

「結局はドロドロの5分3Rになりそうな気がします(笑)」

――なるほど。ちなみに丸山選手は柔道整復師の学校に通っていたのですか。

「地元の鹿児島で柔整師の資格を取得しました。格闘技をやっていくにしても、国家資格を持っておいたほうが良いかと思って。取得したものの今は使っていないんですけど――あ、葛西選手も柔整師の資格を持っているんでしたっけ?」

――はい。葛西選手はマッハ整骨院に勤務しながらマッハ道場で練習しています。

「なるほど、今回は柔整師対決になるんですね」

――そういう一面もあるということで(笑)。当日はメインとして予定されていた平田直樹×Ryo戦が延期となり、丸山選手と葛西選手の試合がメインとなっています。

「パンクラスでは初メインで、この試合に勝てばタイトル戦線に浮上すると思います。遂にここまで来たか――と光栄です。でも試合でやることは変わらないので、気負わずに練習してきた内容を見せたいですね。しっかりとMMAをやって勝ちたいです」

■Pancrase343視聴方法(予定)
5月25日(土)
午後1時~U-NEXT

PR
PR

関連記事

Movie