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【ONE FN20】ペッディージャーとラストファイトへ、ジャネット・トッド「最後はチャレンジで終わりたい」

【写真】女子の立ち技ファイターとしてキック&ムエタイの2冠を達成したトッド。最強の相手ペッディージャーとのラストファイトに挑む(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20で、ONEキックボクシング女子世界アトム級王者ジャネット・トッドが同暫定王者ペッディージャー・ルクジャオポーロントンとの統一戦に臨む。
Text by Takumi Nakamura

2020年2月にスタンプ・フェアテックスに勝利してキックルール、2022年7月にララ・フェルナンデスに勝利してムエタイルールのベルトを巻いたトッド。昨年3月にアリシア・ヘレン・ロドリゲスに敗れてムエタイルールのベルトを明け渡す形となったが、今大会ではペッディージャーとの統一戦を迎えた。

アニッサ・メクセンを下して世界最強とも目されるペッディージャー戦を前に、トッドは「これを最後の試合にしようと思っている」と明かした。ONE、そして女子の立ち技を牽引してきたトッドのラストファイトに向けたインタビューをお届けしたい。


――トッド選手にとっては約1年ぶりの試合となりました。この1年間はどのように過ごしていたのですか。

「試合間隔が1年空いちゃったけど、毎日トレーニングは続けてきた。それが完璧というわけではないけれど、自分が成長するための練習をやってきたと思う」

――一昨年は新型コロナウィルスの影響で試合そのものがキャンセル&延期になったこともありましたが、あのときはどんな心境だったのですか。

「COVIDの前は年間5回ぐらい試合していたのに、COVIDの後は年1~2試合になってしまった。もちろんたくさん試合はしたかったけれど、それが出来ない状況なのは分かっていたし、それに慣れちゃったわ(笑)。試合は出来なかったけど、自分が強くなるための練習ができたし、以前よりもいいファイターになれていると思う」

――自分を成長させるための練習をしてきたということでしたが、トッド選手もキャリアが長くなってきて、具体的にどんなことに重点を置いて練習してきたのですか。

「またキックボクシングルールの試合をやることが分かっていたから、この1年間はボクシングだったり、ムエタイよりもハイペースなパンチとキックを練習してきたわ。あとキックルールはヒジとクリンチがないからトレーニング内容もそれに合わせて少し変えている」

――トッド選手はONEでもキックルールとムエタイルールをどちらも戦っています。例えば日本人はどちらかのルールは得意で、どちらかのルールは不得意という選手も多いですが、トッド選手はなぜ両ルールで結果を出すことができたのですか。

「確かにキックとムエタイは違うもの。なんだけど似ているところもあるから、そこを理解することが大事で、私はそこを理解したうえでルールに合わせて戦うことができる」

――特にONEの場合はムエタイルールがMMAグローブですが、その難しさはなかったですか。

「グローブの違いは大きいね。キックルールはボクシンググローブだからブロッキングで顔をカバーすれば大丈夫だけど、MMAグローブはブロッキングしても殴られてしまう。ディフェンスのやり方が変わることが一番の違いだと思う」

――逆にMMAグローブのムエタイルールをやったことで、キックボクシングルールにプラスになったことはありますか。

「ムエタイルールの方がよりディフェンスを意識してやっていたから、キックボクシングをやるときも、ムエタイのディフェンスをしっかりやるという部分が活きてくるんじゃないかな」

――また武尊選手がトッド選手も所属するBoxing Worksで練習しているそうですね。

「タケル!私とはトレーニングの時間がずれていたから一緒に練習することはなかったけれど、私のトレーニングパートナーとは一緒に練習していて、何度かジムで一緒になったことはあるわ」

――さて今大会では暫定王者のペッディージャーと王座統一戦で対戦します。ペッディージャーにはどんな印象を持っていますか。

「すごくボクシングが強いので、自分にとっていいチャレンジになると思う」

――ペッディージャーは昨年12月にアニッサ・メクサンに勝利しています。個人的にまだペッディージャーはメクセンに勝てないだろうと思っていたのですが、トッド選手はあの試合を見てどんな感想を持ちましたか。

「ペッディージャーの方が接近戦で自分の距離を作っていたと思う。だからアニッサが自分の距離で戦おうとしても、それが出来なかった。あの試合は常にペッディージャーが自分にとっていい距離で戦って、力のある攻撃を入れることができたと思う」

――恐らく今回もペッディージャーは前に出て距離を詰めてくると思います。それに対する戦い方は準備していますか。

「もちろん接近戦になることを想定して、しっかり練習してきている。もし接近戦になっても自分の攻撃を効かせる試合ができると思う。私は試合をちゃんとイメージして、相手の弱点と自分が強みをしっかり頭に入れて戦う。その準備はできているわ」

――今回はキックルールの統一戦でしたが、これをクリアしたらもう一度ムエタイルールのベルトを獲りにいきたいという想いはありますか。

「いや………私はこれを最後の試合にしようと思っているの」

――そうなのですか!

「これはもう何カ月も考えていたことで、私は今38歳で新しい家族が欲しいと思ったら、これ以上、試合を続けることは難しいと思った。
だから最後の試合で、自分の最高のパフォーマンス、そして最高の姿をみんなに見せたいと思う」

――例えばONEのアメリカでの大会も予定されていて、そこまで待って区切りをつけることは考えなかったのですか。

「アメリカでも試合をしたかったけど…試合がマッチできなかったわけだから仕方ない。それにアメリカで試合をしたい、マッチできないを繰り返していたら、区切りをつけられなくなるから、今回の試合を最後にしたいと思っている」

――これからまたトッド選手の試合を見られると思っていたので驚きました…。ペッディージャーはおそらく今世界一強い選手だと思うのですが、そういう相手と戦って現役生活にピリオドを打ちたいという気持ちはあったのですか。

「それはあります。最後は大きなチャレンジで終わりたいから。しかもそんなファイトを国際女性デーに開催される女性だけの大会で出来ることは本当にうれしい」

――それこそトッド選手のようなファイターがいて、ONEで戦ったからこそ、そういった大会が開催できることになったと思いますし、女子の立ち技格闘技が世界的にクローズアップされたと思います。

「そう言ってくれてありがとう。私も今までずっとやりたいことをやってきたし、この試合をやることで自分の中でも達成感を持てると思う。素晴らしいファイトを見せて、これから次の人生のことを考えていくわ」

――それではトッド選手のラストファイトを見るファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「ずっと私の長い旅を見てきてくれた皆さんに『ありがとう』と言わせてください。私は最後までベストを尽くして戦うので、しっかり見届けてください」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午後9時30分~U-NEXT

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