【Special】J-MMA2023─2024、須田萌里&雄律─01─「小学校の卒業式で『夢はRIZINフェザー級王者』と」
【写真】左から須田萌里と父・智行、そして雄律という大阪の柔術&MMA一家(C)SHOJIRO KAMEIKE
2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike
J-MMA2023-2024、第七弾は大阪スコーピオンジムの須田萌里&雄律の姉弟に話を訊いた。姉の萌里はMMAを戦う一方で柔術の試合にも出場し、昨年は父の智行さんから茶帯を授けられた。対する弟の雄律は、ジュニア/キッズでなんと45戦に出場! 前編ではプロ興行のプロモーターからも熱い視線を向けられているという、雄律を中心に話が進んだ。
■2023年須田萌里戦績
2月19日 JBJJF修斗杯柔術選手権2023
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 優勝
3月25日 DEEP Tokyo Impact2023#02
〇2R0分53秒 by RNC 桐生祐子(日本)
5月28日 DEEP JEWELS41
●1R4分27秒 by TKO パク・ジョンウン(韓国)
7月10日 IBJJF Asian Jiu-Jitsu Championship 2023
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 準優勝
8月6日 DEEP Nagoya Impact2023公武堂ファイト04 ※グラップリングマッチ
●0-3 マユミ・グラップリングシュートボクサーズジム(日本)
9月10日 DEEP JEWELS42
○3-0 ケイト・ロータス(日本)
10月8日 JBJJF第24回全日本ブラジリアン柔術選手権
女子アダルト紫帯ライトフェザー級 優勝
11月22日 DEEP JEWELS43
○1R0分49秒 by 腕十字 彩綺(日本)
■2023年須田雄律 主な戦績
1月22日 第6回全日本キッズ/ジュニア修斗選手権大会
ジュニア修斗 48キロ以下級 優勝
4月29日 グラジエイターカップ03
ビギナー -61.2キロ級 優勝
7月17日 JBJJF第15回全日本キッズ柔術選手権
ティーン2橙帯ミディアムヘビー級 準優勝
8月11日 Jr.BORDER23 2nd
ジュニア修斗部門 MVP
9月24日 アマチュアDEEP公武堂ファイト53
○1R0分41秒 by RNC 奥村駿(日本) ※優秀賞獲得
10月7日 JSCC修斗チャンピオンズカップ2023 vol.02
ジュニア修斗男子53キロ以下級 優勝
11月3日 Jr.BORDER24 第7回全日本キッズ/ジュニア修斗選手権大会
ジュニア修斗56キロ以下級 優勝
11月5日 Gladiator-Cup04
ビギナー -61.2キロ級 準優勝
12月2日 JBJJF第6回全日本キッズ柔術オープントーナメント
ティーン2橙帯ウルトラヘビー級 優勝
――今回は姉弟揃ってのインタビューで、雄律選手にお話を訊くのは初となります。まずは雄律選手の2023年を振り返ると、1年で45戦35勝10敗という戦績は凄いですね。萌里選手もMMAの試合に出場しながら、柔術のビッグタイトルも狙っていました。
萌里 弟が試合に出ているので、『負けていられへんな』という気持ちはありました(笑)。
雄律 僕はキッズの間にいろんなタイトルを獲りたいので、どんどん試合に出ていました。その僕に、お姉ちゃんが付いてきていますね。
萌里 アハハハ。雄律はもう何でも出ていますから。
雄律 でも、こんな試合ペースは今年ぐらいで。去年も結構試合をしましたけど、コロナ明けで今年から大会も戻ってきたんです。
智行 雄律も今でこそ勝っていますけど、もともとはメチャクチャ弱くて。柔術も勝敗がやっとイーブンになったぐらいで(現在56勝50敗1分)、ずっと負け越していたんですよ。
雄律 勝てるようになってきたのは、小4~5ぐらいからです。それまでは10連敗して、1勝してまた10連敗とか。
――それまで雄律選手が勝てなかった理由は、何だったのでしょうか。
智行 ただ単に弱かったな。
雄律 身体も弱かったし、小さかったからかな(苦笑)。
萌里 当時は練習中も結構ふざけていましたからね。練習の途中でも喋っていたりとか、真面目にやっていなくて。練習には来ていても、練習への取り組み方は良くなかったと思います。でも最初は練習も週1やったのが、どんどん練習回数も増えていって。
雄律 小さい頃は自分が進んで格闘技をやっていたというよりは……。
萌里 やらされていた?
雄律 アハハハ! 最初は自分も格闘技をやりたいという気持ちがあったけど、途中から変わってきました。でも途中から練習回数が増えてきて、なのに試合で勝てないから(苦笑)。小4ぐらいから格闘技が好きになってきましたね。
萌里 それまでは嫌いやったん?
雄律 小2~3ぐらいは遊びたかった(笑)。でも今は、同じ年代の人たちも同じぐらい試合をしているから、自分もこれぐらい出ても良いかなって思う。
――同年代のライバルには、どういった選手がいるのでしょうか。
智行 山里エンゾ君、マツオ・クリスチャン君とかかな。
萌里 尾崎裕二郎君も。
雄律 あと河野大樹君かな。ずっとライバルに負けてから勝つ、っていう繰り返しです。
智行 とりあえず同年代の強い子には、負けてからリベンジしているよなぁ。
――ジュニアやキッズの世代は、年間これだけ試合をこなしている選手が多いのですか。
智行 トップ選手は試合数が多いですね。それこそ毎月のように試合に出ていると思います。でも雄律の試合数は、「出すぎちゃうかな」とは思いますけど。
――お父さんの方針ではなかったのですか。
智行 まず去年は「出られる試合は全て出よう」と決めたんです。スケジュールが合うものは全部出ました。そうしたら、この試合数になって(笑)。
――11月3日のジュニアBORDERでお会いした時、2日後のグラジエイターカップにも出場すると聞いて驚きました。
智行 連日で試合をしたこともありますよ。柔術の試合に出た翌日にMMAをやったりとか――しかも大人のMMAの試合に出て。
――雄律選手はまだ中学2年生です。フレームが異なる大人と試合をさせると、怪我の心配はありませんか。
智行 中学生になってからは、ジムでも大人の会員さんと練習しているんですよ。その練習のなかで体重がある人でも、パワーがある人でも対処できていて。だから「大人と試合をしても怪我はせえへんやろうな」と思っています。今はまだ何でも経験の段階なんですよね。プロになったら帯も体格も関係ないじゃないですか。今のうちに、やりたいことはやっておく。負けるなら、今のうちに負けておくほうが良くて。
――なるほど。弟の雄律選手のほうが、萌里選手よりも先に柔術を始めたのですよね。
萌里 雄律が始めたのが2015年1月で、私は2015年3月ですね。
智行 スコーピオンジムでキッズを始めたキッカケは、まず僕がキッズ上がりの子にボコボコにされたんです。その時、代表(恒冨嘉徳スコーピオンジム代表)に、「10年後に日本一を獲るキッズを育てるからキッズクラスをやらせてくれ」とお願いして。キッズクラスを始めるために、まず雄律に柔術を始めさせました(笑)。
――その時、萌里選手は雄律選手と一緒に始めようとは思わなかったのですか。
萌里 最初は「何かやっているなぁ」と思うぐらいで、特に興味はなかったです。でも練習を見ていると雄律が下手やったんですよ。だから「私のほうが上手くできるわ」って(笑)。
雄律 確かに、お姉ちゃんが始めたら一瞬で抜かれたわ。当時は何も思わんかったけど、今となっては少し悔しい(笑)。
――ジュニアBORDERの試合では、距離を取りながら組んで勝っています。至近距離での打撃戦をやろうとは思わないですか。
雄律 ジュニアBORDERは顔面打撃(パンチ)がないので、そこまで考えないです。効かないから寝技に行ったほうが良いですよね。
智行 あのルールは寝技をしているほうが強いと思います。寝技で関節技の形に入って、見込み一本を取るほうが勝ちに近くて。
――では顔面へのパンチ攻撃が認められているアマチュアDEEPに出場した時は……。
雄律 速攻で組みました(笑)。
――アハハハ。
雄律 相手がストライカーやったので、速攻で組んでRNCを極めました。
――雄律選手はMMAでもキッズやジュニアの大会で優勝し、すでにプロ興行のプロモーターからも声が掛かっていると聞きます。
智行 そうですね……。会場に行くたび、プロモーターさんからは「将来プロになったら出てね」と声をかけていただいています。
――雄律選手は、いつからプロのMMAファイターになろうと思ったのですか。
雄律 小6の時に、将来はプロのMMAファイターになろうと思いました。
萌里 アハハハ! そういえば――。
智行 思い出し笑いしとる。
萌里 小学校の卒業式で将来の夢を言う時に「MMAでRIZINフェザー級チャンピオンになります!」って、階級も決めていたんですよ(笑)。
雄律 あの時は自分で勝手に考えた(笑)。当時RIZINで一番面白い階級やったから。
萌里 2年前なので、牛久絢太郎選手が斎藤裕選手に勝ってチャンピオンになった頃ですね。
智行 ちょうど牛久君と会って、練習も見てもらっていたころやったらから、そういう気持ちになったんやな。
雄律 身長が今のままならフライ級かバンタム級で、もっと伸びたらフェザー級かライト級でやりたいです。どの階級でやるとしても、チャンピオンになるという目標は変わらないです。
<この項、続く>