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【RIZIN LANDMARK06】佐藤将光が振り返る、太田忍戦─02─「小技が僕の真骨頂。今後はRIZINもしくは…」

【写真】RIZIN初参戦でその実力を存在感を見せた佐藤。これからの動向が気になるファイターの一人だ (C)TAKUMI NAKAMURA

10月1日(日)に愛知県名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で開催されたRIZIN LANDMARK06にて太田忍に判定勝利した佐藤将光インタビュー後編。
text by Takumi Nakamura

前編では組技に焦点を当てたが、後編では打撃と判定を含む試合の振り返り、佐藤の達人MMAがいかにして生まれたのか。また今後の戦いの舞台をどう考えているかも訊いた。

<佐藤将光インタビューPart.01はコチラから>


――打撃についても聞かせてください。今回は太田選手に組ませないためのプレッシャーをかけていて、いい意味で行き過ぎないようにしているなと感じました。

「それでもまだ距離は近かったですね。ジャブ・ストレートに反応できていない感じだったので、あれをもっとポンポン当てつつ、もっと強い打撃を当てて行きたかったのですが、その前に組まれてしまいました。ちょうど僕が構えているところ=フレームを作っているところの下から潜り込まれて。もう少し離れた位置に入れば、太田選手が潜り込むところに腕を差し込んで打撃を当てる距離を作れたのですが、そこを潰されてしまいました。あれは太田選手の上手さであり、自分の距離が近かったからだと思います」

「行き過ぎない」ことでプレッシャーをかけてジャブ・ワンツーを当てた(C)RIZIN FF

――こういった話を聞くと、太田選手に組まれつつもしっかり対処は出来ていたんだなと思います。

「テイクダウンディフェンスは出来ていたし、テイクダウンされてからの対処法も準備していたので、焦る展開ではなかったです。ただテイクダウンの対処で終わらず、自分が攻めている場面を作らないと、周りには伝わらないんだなと思いました。さっきのツー・オン・ワンの場面でも、手を持っているだけでなく、クラッチが切れたらギロチンを狙ったり、もっと明確に打撃を当てたり。そこまで持っていかないと、いくら対処できていても僕が相手に押し込まれていると判断されかねないなと」

――判定はスプリットになりましたが、佐藤選手としては意外な判定でしたか。

「僕的には思いっきり判定3-0で勝ったと思ったんで、判定を聞くときにヘラヘラしちゃっていて(苦笑)。ジャッジが1人太田選手につけても『あっちにつくんだ。でも俺の負けはないだろ』という変な余裕がありました。RIZINの判定基準はダメージが50%、アグレッシブネスが30%、ジェネラルシップが20%という優先順位でポイントがついていて、ダメージでは自分が取ったと思ったんです。でもジャッジペーパーを見返すと、ジャッジ3名ともダメージはイーブンだったんですよね」

佐藤自身は3Rの左ハイなど明確に差をつけ「自分にポイントがつくと思った」と振り返る(C)RIZIN FF

――あの展開でのダメージ=スタンドの打撃はイーブンと評価されるの?という感覚ですか。

「他の試合のジャッジペーパーを見てみると、ダメージに関してはニアフィニッシュに近い状況、スタンドだったら相手がガードを固めて亀になったところを殴り続けたり、そのくらい一方的な差をつけないとポイントに反映されないんですよね。僕としてはヒザ蹴りも当たっていて、3Rに左ハイキックも効かせたので、自分にポイントがつくと思ったのですが…。今後RIZINに参戦する場合は、もっと判定基準を理解しないといけないし、ルールミーティングの際に細かい部分まで確認しようと思います」

――判定が割れた部分もありますが、改めて今回の試合は佐藤選手の技の引き出しの多さやMMAにおける勝ち方が出た試合だったと思います。ご自身ではいかがですか。

「僕はあの試合内容でもRIZINのファンの人たちは評価してくれるんだなと思いました。試合自体は超地味で小技しか出していないような展開だったのに(苦笑)、そこを理解してくれているんだなって。もし同じことを海外でやったらブーイングされてたと思うんですよ、もっと打ち合えって。そうじゃなくてちゃんとMMAの細かい攻防を見てもらえるのはうれしかったですね」

個別の戦力では劣っていても、試合運びと技術のチョイスで勝てるのがMMAだ(C)RIZIN FF

――試合発表の際、佐藤選手は「僕には36年、紆余曲折・試行錯誤して、ずっと戦ってきた自信があります。

それをレスリングエリートの太田選手にぶつけることが楽しみです」と話していて、まさにそうなった試合だったと思います。

「小技が僕の真骨頂ですからね(笑)」

――その小技を効かせつつ、自分が勝っている部分で勝負する。その戦い方はどうやって身に着けたのですか。

「これはもう経験ですね。自分より力がある相手にどうすれば勝てるかを考えて、映像を見て研究して、練習で試して…その繰り返しで少しずつ今のファイトスタイルが出来上がっていきました」

結果はスプリット判定となり、佐藤は「今後RIZINに参戦する場合は、もっと判定基準を理解しないといけない」(C)RIZIN FF

――佐藤選手は格闘技経験なしでMMAを始める=坂口道場に入門したんですよね。

「高校までサッカーをやっていて、それから坂口道場に入門しました。だからどうしても柔道やレスリングの経験者と試合をすると、テイクダウンされて漬けられて負けることが多かったんです。でもそれを経験して『このタイプにはこうしよう』や『あのタイプにはこれでいこう』というのを少しずつ覚えて、それから勝ち星が増えるようになりました。だから今のファイトスタイルは時間をかけて積み重ねてきたもの、作り上げられたものだと思います」

――MMAは経験を積むことがより重要な格闘技ということですね。

「それこそ金原(正徳)さんがクレベル(・コイケ)選手に勝ったり、MMAはやればやるだけ技術が伸びる競技だから、若いうちに始めるに越したことはないですけど、色んな技術を体に入れていくことで強くなれるものだと思います。一点突破で勝つ選手もいますが、どこかで壁にぶつかると思うし、MMAで勝ち続けるにはあらゆるタイプの選手に対応できなければいけない。その経験をどれだけ積んでいるかが必要で、試合中にどこで山を作って、攻めどころ・詰めどころを作るか。対戦相手と自分を比べたときに、自分が勝っている局面をどう見つけて、臨機応変にそこを突いていけるか。僕はそこを追及して強くなったファイターだと思います」

――それでは今後についても聞かせてください。これからはRIZINを中心に戦っていくことになりそうですか。

「まさに今それを考えているところで、一つはRIZINの継続参戦、もう一つはPFLですね。まだPFLとは具体的に話をしているわけではなく、これからコンタクトをとる段階ですが、契約期間中の縛りも含めて、どういう条件なのかを知りたいです」

現状、RIZINへの継続参戦とPFL参戦を視野に入れている佐藤。達人MMAの次の舞台はどこだ?(C)RIZIN FF

――まだ海外で試合することも視野に入れているのですか。

「はい。今回ONEをリリースしてもらってフリーになって、次の道を探している段階で急遽RIZINからオファーをいただいたんです。僕も試合から遠ざかっていたので、まずは試合をやりたいというところでオファーを受けて、先のことはまだ考えられなかったので、今回は単発契約にしてもらいました。だから今は改めてこれからのことを考えたいと思っています。もちろんそこにRIZINという選択肢はありますし、RIZINに関して言えば、出る前と出た後では、出た後の方がRIZINの魅力や団体としての安定感やファンの熱を感じることができました。そういった経験も踏まえて次自分が戦う舞台を考えていきたいです」

――ありがとうございます。次の舞台がどこになるかは分かりませんが、どの舞台に立つことになっても佐藤選手の熟練の技を楽しみにしています。

「僕らしい試合を見せて、それを喜んでくれる人がいれば、どんどん試合をしていきたいと思います」

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