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【RIZIN WS01】佐藤将光を迎え撃つ、キム・スーチョル「ヴィーガンになって毎朝15キロ走れるように」

【写真】勝利のピースサイン。MMA界で、ここまでどや顔でピースサインをするのはスーチョルと八隅孝平ぐらいだ(笑) (C)MMAPLANET

31日(土・現地時間)、韓国はインチョンのパラダイスシティで開催されるRIZIN WORLD SERIES in KOREAでキム・スーチョルが佐藤将光を母国に迎え撃つ。
Text by Manabu Takashima

Road FCの顔、そしてRIZINバンタム級戦線の顔として活躍するキム・スーチョルはRIZINで戦うファイターとして異例の8カ月で4試合というペースで昨年はファイトし続けた。徹底的に自分を追い込むストイックなスーチョルはダメージの蓄積が心配されていた。13年ぶりの佐藤との対戦は、トップ戦線に返り咲くための一里塚。母国でのファイトを前にスーチョルにインタビューを行うと、「食生活を見直すことで以前よりハードな練習ができる」という衝撃的な一言が聞かれた……。


病院で検査をすると、免疫力が1/4に落ちていたことも分かりました

──RIZINインチョン大会で佐藤将光選手と戦います。まずRIZINが韓国で開催されることをどのように捉えていますか。

「韓国でRIZINが開かれるなんて、全く思っていなかったです。『ホントに? 俺、出るの?』という感じでした。ともあれ出場メンバーに選んでもらい、試合を組んでもらえたことは凄く光栄です。

本当に多くの人が期待をしていたのですが、PRIDEは結局、韓国で大会を開くことがなかったです。そのPRIDEの後継団体であるRIZINが韓国で大会を開くことに関して、同じように期待されているように感じます。最初から大成功を収めることができるかは自分には分からないですが、継続して行われると絶対に人気が出ると思います」

──Road FCとRIZINで戦うことに、何か気持ちの違いはありますか。

「日本で行われている時のRIZINは、観客数が飛びぬけて多いです。韓国ではRoad FCが少ないということは決していないのですが、とにかくRIZINは会場のファンの数が違います。日本の人たちは、ここまで格闘技が好きなのかとRIZINで試合をするたびに感じています」

──そのRIZINでの試合は昨年9月のバンタム級王座決定戦以来になります。あの時は1RKO負けを喫し、翌月にRoad FCバンタム級GP準決勝で勝利も年末の決勝ヤン・ジヨン戦はバッティングでノックアウトされ、TKO負けからNCにリザルトが変更されました。ともあれダメージを受けたことは確かで、休息が必要だと指摘されていましたが。

「脳のダメージは、CTもMRIも問題はなかったです。ただ、9月のRIZINのタイトル戦の前にブドウ球菌に感染し、全身が皮膚感染症となり腕が本当に酷くなってしまって……。年末のRoad FCでの試合後に病院で検査をすると、免疫力が1/4に落ちていたことも分かりました」

──えぇ、そんなことがあったのですか。

「そうですね……ブドウ球菌の感染で免疫が落ち、心臓にも問題が起こるかもしれないという状態になっていたんです。とにかく奥さんから『しっかり休んで』と言われて、真剣に考えるようになりました。結果、休息をとること。食生活を見直す。そしてトレーニングの方法も変えてきたので、かなり大変でしたね(笑)」

──誰もが認めるハードワーカーのスーチョル選手。徹底的に自分を追い込む練習方法も、変化が必要になったということでしょうか。

「実はトレーニングは以前より、ハードになっています」

──えっ、どういうことですか。トレーニング方法を見直したのに、より厳しい練習をするようになったと?

「それだけ体を動かせるようになったということなんです」

──……??

「感染症になってから一番見直したのは、食生活なんです。肉、牛乳、コーヒーなどを摂ることは全て止めました。いわゆるヴィーガン食を採り入れたんです」

──つまり動物性食品を一切摂らないと。

「ハイ。その結果、体の具合が凄く良くなって練習量を増やすことができるようになりました。毎日、朝の5時に起きて山道を15キロほど走っています。11時から2、3時間のプロ練習があって、それからウェイトもやっています」

──肉を食べない韓国人、いや信じがたいです(笑)。

「ハハハハハ。自分もサムギョプサル屋とグンネプチキンがスポンサーなので……なんとも(苦笑)。でも、大切な試合をモノにできないことが続いて、自分を許せなかったです。こんな大切な時に、感染症になるなんて……。食生活を見直して、本格的なトレーニングに戻ったのは4月になってからですね。1カ月半前です。これだけ動けるようになって、今は本当に気合が入っています」

ファイターとしては豪快な動きでなく、細かいところを大切にしています。佐藤選手も全く同じ

──つまり31日はフルポテンシャル発揮のスーチョル選手が見られるということですね。13年振りの再戦となりますが、今の佐藤選手の印象を教えてください。

「お互い、歳を食いましたね(笑)。20代の前半で戦い、これだけで年月が流れて再び佐藤選手と戦えるなんて嬉しい限りです。でも、本当に2人とも老けましたね(笑)」

──ルックスではなく、ファイターとしての印象をお願いします(笑)。

「素晴らしい選手、その一言です。パンクラス、修斗、ONEで戦い続けて、経験値でいえば自分なんて比較にならないです。修斗でチャンピオンになるなど、本当にトップ選手です。何より打撃から組み技に切り替えるときのスムーズさが抜群で、それは13年前に戦った時から感じていました。

そこは今も全く変わっていないですね。そういう意味ではスタミナや動きは、一切歳を取っていない……驚異的です。ただ自分達2人はファイターとして同類、似ていると思います。自分は一応KO勝ちや一本勝ちもありますが、ファイターとしては豪快な動きでなく、細かいところを大切にしています。佐藤選手も全く同じで。特にクリンチで相手が嫌なことをするファイトスタイルは、共通しています。だから今回の試合は、互いのディティール争い。それがキーポイントになると思います。どれだけ相手に嫌がらせができるのか。佐藤選手も、きっとそう思って戦うつもりでしょう」

──もう10年前になりますが、RIZIN初戦となったマイケ・リニャーレス戦。最高のMMA首相撲を披露したスーチョル選手ですが、ファン受けという部分で評価されませんでした。今回の佐藤選手との試合も、玄人好みの戦いになるのではないかと。

「フフフフ。マイケ選手との試合について触れてもらいましたが、今回もそういう細かい点が重要になってきます。そして、その点において同類の佐藤選手と比較しても、自分の方が少し上だと思います。本来、井上選手とのタイトル戦でも、そういう自分の良さを出さないといけなかったです。でも、あの体調ではそういう試合ができなかった。

だからこそ、今回はRIZINデビュー戦のような相手を封じ込める試合になると思います。それででも、ファンの皆も楽しめる試合になるはずです。互いに相手が嫌がる、しんどい試合をするわけですから(笑)。その試合ができることで、フィニッシュに通じる。佐藤選手が嫌がる攻撃を続け、苛め抜いて仕留めます。

この間の食生活の改善で、急激に上がったスタミナを武器に佐藤選手が息もできなくなるぐらいハイペースで動き続け、削っていきます。それができればフィニッシュ、自ずとサブミッションに捕らえるか、ノックアウトに繋がってきます」

──さらに排気量が上がったファイト、怖いですが期待させてもらいます。では日本ファンに最後に一言お願いできますか。

「去年は良い結果を残すことができなかったにも拘わらず、再びRIZINで戦う機会をもらえました。去年とは全く違うキム・スーチョルに期待してください」


■視聴方法(予定)
5月31日(日)
午後2時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN WS01対戦カード

<ライト/5分3R>
キ・ウォンビン(韓国)
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
キム・スーチョル(韓国)
佐藤将光(日本)

<ライト級/5分3R>
大原樹理(日本)
ジョニー・ケース(米国)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
シン・ユリ(韓国)
ケイト・ロータス(日本)

<ライト級/5分3R>
キム・シウォン(韓国)
宇佐美正パトリック(日本)

<バンタム級/5分3R>
ヤン・ジヨン(韓国)
金太郎(日本)

<フェザー級/5分3R>
ジ・ヒョクミン(韓国)
武田光司(日本)

<フェザー級/5分3R>
ソン・ヨンジェ(韓国)
中原由貴(日本)

<63キロ契約/5分3R>
クォン・ヨンチョル(韓国)
三浦孝太(日本)

<キック67.5キロ契約/3分3R>
ジョ・サンへ(韓国)
宇佐美秀メイソン(日本)

<キック62キロ契約/3分3R>
カン・ボムジュン(韓国)
井上聖矢(日本)

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